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新型コロナウィルスによる.未曾有な地球規模の危機的脅威、現在の人生を
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2020年(令和01年)1月7日からの 日本国内コロナウイルス発症と感染状況の記録     
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政府コロナウィルス 緊急事態宣言解除
  Japan Miracle-Ⅳ 2020年7月5日 By BBCnews  
  なぜ日本では新型コロナウイルスの死者が不思議
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Japan Miracle-Ⅲ 2020年5月31日 Byデイリー新潮
海外から注目“不思議な日本”のコロナ対策
2020年4月7日
日本政府コロナウィルス緊急事態宣言
Japan Miracle-Ⅱ2020年5月28日 By JB.Press
海外メディアが絶賛の日本モデル成功の鍵は何か
Japan Miracle-Ⅰ 2020年5月21日 By現代ビジネス
世界が首を傾げる日本ヌルい対策なのに被害が少ないワケ
日本は世界に
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周来友(中国) 7月24日記事
コロナ禍をうまく乗り
切った国 ベスト10
日本は?7月15日記事
感染者が123万人を突破した
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アジアと欧州 5月14日
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アメリカ合衆国・都市封鎖2020年3月22日~

ニューヨーク・タイムズスクエア
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感染爆発対策で今日からロックダウン(外出制限)ゴーストタウンと化するNY
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トランプ大統領は3月16日、国民に対し移動を制限するよう指示した。これは世界保健機関(WHO)が、新型ウイルスがパンデミック(世界的流行)になったと発表してから5日後に当たる。

アメリカでは各州が異なる時期にロックダウンに入った。カリフォルニアとニューヨークはそれぞれ19日と23日にロックダウンを開始した。一方、最も遅かった州のひとつ。ジョージアでは4月3日にロックダウンを始めた。

トランプ政権が欠陥のある検査を導入し、その実施が遅れたことで、各州が2月から3月末にかけてアウトブレイクの情報を十分に持っていなかったこ可能性もあると批判する声もある。

トランプ大統領自身もこの期間は、感染リスクを軽視していた。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大が深刻化するニューヨーク州では、3月22日午後8時(日本時間23日午前9時)からいよいよロックダウン(外出制限)が始まった。
基本的に全従業員の出勤を禁じて在宅勤務を要請し、また全住民に不要不急の外出をしないよう自宅待機を4月19日まで要請する行政命令だ。
Updated April 6, 2020: 外出制限は4月29日まで延長。
少し近所を歩いてみたが、どの店もシャッターは降り通行人も少なく、活気がない(電飾が残されているのが救われる)。大騒ぎ(ホリデー)が終わった後に街に静けさだけが残る、アメリカの元日のような雰囲気に似ている。
道で目が合うとニコッとするフレンドリーなニューヨーカーも、もういない。すれ違う人は距離を取りたがり、よそよそしい。ニューヨークに住んで18年にして、初めて目にしたり感じたりするものばかり。
今日はその1日目だった。
ロックダウン(外出制限)の背景
アメリカでの新型コロナウイルスの感染拡大は深刻だ。現地時間3月22日現在で、全米で2万9664人、死者377人となり、中国とイタリアに次ぐ多さになっている。
その中でも全米最多の感染者がいるのが、筆者が住むニューヨーク州(人口1950万人)だ。感染者1万5168人、死者114人。
州内の感染者最多は、感染者は9045人、死者99人のニューヨーク市(人口860万人)。ここ数日、感染者数は毎日+2000、+3000人規模で増加の一途をたどっている。

米コロンビア大学の研究チームはこのほど、アメリカで1週間早くロックダウン(都市封鎖)を始めていれば、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が原因の死者数を3万6000人少なく抑えられていたはずだという推計を発表した。
この研究ではさらに、ロックダウンが2週間早い3月1日に始まっていれば、5万4000人の命が助かっていたと試算。
これは研究対象となった5月3日までの死者6万5300人の83%に当たる。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカでは日本時間24日午前現在、9万7000人以上が亡くなっている。
ドナルド・トランプ米大統領は、この研究は「政治的な暗殺が目的だ」と一蹴している。

2020年7月10日 アメリカの新型コロナウイルス感染者、300万人超す=米大学集計
カリフォルニアとテキサス両州は共に7日に1万人の新しい感染者を確認した。写真はテキサスの病院
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デヴォス教育長官(左)とバ-クス新型コロナウイルス対策調整官(右)と共に記者団を前にしたペンス副大統領


米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると
(日本時間9日午前現在)

アメリカで新型コロナウイルスの感染が確認された人数は
300万人を超えた。アメリカの死者数は13万2000人を超えた。6月にトランプ氏が支持者集会を開いたオクラホマ州タルサでも、感染者が急増している。
アメリカの日別の新規感染者については7日に新たに6万人が確認され、7月2日に5万5220人だった日別記録を更新した。こうして感染者が急増するなか、米政府は学校などの再開を推進している。
ホワイトハウスの新型ウイルス対策班を主導するマイク・ペンス副大統領は、感染者増加のカーブは平らになりつつあるとして、学校など様々な活動に関する規制を「あまり厳しく」するべきではないと述べた。
ドナルド・トランプ米大統領は7日、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)に関してアメリカは「良い状態」にあると述べた。
7日にはカリフォルニア州とテキサス州が共に、1日で1万人超の新規感染者を報告した。
アメリカ政府の新型ウイルス対策を助言してきた、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士は、アメリカはまだ感染拡大の「第一波」の渦中にまだ「深く浸かっている」と苦言した。

政府は学校再開を推進

教育省で記者団を前にしたペンス副大統領は、政権のパンデミック対策の効果を強調した。
「大切な人を亡くして悲しむ人と共に悲しみつつ、アメリカ国民の努力のおかげで、国中の医療従事者の素晴らしい働きのおかげで、平均致死率は今も低く安定して推移していることを励みにすることができる」と、副大統領は着けていたマスクを外してから発言した。
ペンス副大統領は、米疾病対策センター(CDC)が近く、学校再開について新しいガイドラインを発表すると述べた。CDCがすでに示していた指針について、トランプ大統領は「とても厳しいし費用がかかりすぎる」と批判し、秋に再開しない学校への補助金を打ち切ると発言している。
アメリカで通常、新学年は8月か9月初めに始まる。CDCガイドラインは、生徒と職員が全員顔を覆い、必要ならば自宅に留まるよう助言している。さらにCDCは、学校はシフト制の時間割を導入し、生徒の席と席の間に十分な間隔をとり、共有スペースをなくすよう提案している。

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トランプ氏集会の後にタルサで急増

AP通信によると、オクラホマ州タルサ市の保健当局は、トランプ大統領が6月20日に市内で支持者集会を開いたことと、それに抗議するデモが相次いだことが、タルサでの感染者急増に「おそらく貢献した」と話している。
「この数日で500人近い新しい感染者が確認された。ちょうど2週間前に複数の大規模な集会が市内であっただけに、我々としては単に点と点とつなげるだけだ」と、タルサ市郡保健局長のブルース・ダート医師は述べた。

トランプ陣営はコメントしていない。

イギリス・都市封鎖2020年3月23日~

ロンドン
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英国は23日夜から全国的なロックダウンに入る。ジョンソン首相が国民向けのテレビ演説で発表した。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、不要不急の移動を全て禁じ、住民は自宅から出ないよう命じられた。
  期間は少なくとも3週間で、警察には人々の集まりを解散させたり違反者に罰金を科したりする権限が与えられる。
  生活必需品以外の店舗や遊び場、図書館、信仰の場所も閉鎖される。必需品の買い物や治療を受けるためなどを目的とする外出は認められる。
  政府は3週間後にこうした措置を緩和できるかどうか検証する。

3月に入り北イタリアからイタリア全土へと広がった新型コロナウィルスの猛威が日々報道され、それとともにイギリスの感染者数も日に日に増加していきました。3月11日には、WHOがCovid-19はパンデミック(世界的大流行)と定義しました。この時イギリスの感染者数は456人になっていました。
イギリスはイタリアの2週間遅れと言われており、ニュースで報道されるイタリアの悲惨な状況が2週間後のイギリスの姿としてとらえられ恐怖感を抱く人も増えていきました。それに伴い3月10日ごろには学校を閉鎖した方がいいのでは? という世論も多く聞かれるようになってきました。

その後の主なイギリスでの時系列をご紹介します。

3月15日(日)70歳以上、何らかの既往歴がある人たちは自主隔離に。
3月20日(金)パブ、レストラン、映画館、ジムなどの閉鎖。
3月23日(月)学校の閉鎖(医療関係、警察、物流に携わる人たちの子供は除く)
3月23日(月)最低3週間のロックダウンスタート

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ヨーロッパでもイタリア、フランスがイギリスより先にロックダウンに入っておりイギリス現地でもいつロックダウンになってもおかしくないという認識のもと買占めなどが起こっていました。
では、ロックダウンとは? 家から一歩もでられなくなるの!? 実はそうではありません。絶対に必要な理由以外での外出が禁止ということです。

以下の理由での外出は許可されています。
1、仕事に行く
(ただし、医療関係や物流関係のどうしても必要な仕事のみ、それ以外は在宅勤務もしくは休業に追い込まれています。)
2、食料品、医療品などの生活必需品を買いに行く
3、一日に一度は散歩やジョギング、サイクリングなどの適度な運動のために外出するのはOK。犬の散歩もOK。(ただしいっしょに行けるのは同じ世帯の家族のみ)

とにかく感染を広げないために、友人はもちろん、家族であっても同じ世帯でない場合は訪問したりすることはできません。

法的には違反の場合は警察が介入することができますが、驚いたことに大半のイギリス人はこのルールをしっかり守っており街や通りは本当に静かです。
買占めは減ったものの入場制限の厳しい買い物事情

感染をできるだけ少なくするために、人との距離は2m以上とるように決められています。そのためスーパーマーケットも一度に何人までと決められているため、スーパーの外には出てくる人を待つ長い列ができているところもあります。また、買占め予防のために1回に同じものは2品ずつと決められています。ただ、一時のパニック的な買占めはなくなり、ほぼすべての商品が店頭に並んでおり在住者としても一安心しています。

イタリア・都市封鎖2020年3月10日~

ローマ
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新型コロナ感染拡大への対応策として、日本に先んじて「緊急事態宣言」などを出した欧米では、強制力を伴う外出禁止など事実上の「ロックダウン(都市封鎖)」を導入しているケースも多い。違反者に罰金を科す国も目立つが、それでも新規の感染者数や死者数の増加に歯止めがかかるまでは数週間以上の時間が掛かっている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(日本時間)によると、累計の死者数が1万5000人超と世界最多のイタリア。1日の新規死者数が168人に達した3月10日に全土での強制力を伴う外出制限に踏み切ったが、増加ペースの鈍化まで半月あまりかかった。
外出する場合は理由を記した証明書を携帯しなければならない。違反すれば最大3000ユーロ(約35万円)の罰金だ。それだけ厳しい行動制限でも、感染の終息はまだ見通せない。感染拡大がピークに達した気の緩みもあってか、3~4日にはナポリなどの商店街が買い物客であふれる事態も。コンテ首相は5日、「外出してはいけない」と改めて国民に呼びかけた。


人が消えたヴェネチア
ヴェネツィアの水路、透明に 新型ウイルスによる封鎖措置が影響か
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迫る感染の不安−−家の目の前のホテルに感染者

イタリアで感染拡大が始まったのは、2月下旬。北イタリア・ロンバルディア州のコドーニョで、感染経路不明の陽性者が1名発覚した2月20日から。すべてが変わって行きました。
それまでのイタリアは、1月にローマで中国人観光客2名の感染が確認された後、1月末には中国路線便を運休。春節帰りの中国人も2週間の自主隔離をし、中国系商店も自主閉鎖するなど対策をとっており、感染者数は約3名のみだったこともあって、全国的に穏やかな日々が続いていました。
しかし、大量の検査を実施すると、思いのほか感染が広がっていることが判明。感染者数65名(うち半数は無症状)、2名の死亡者が出た2月23日に、コドーニョとその周辺地域はレッドゾーンに指定され、イタリア初の封鎖措置がとられました。
この際、ミラノ界隈で買い占めパニックが起きましたが一時的なもので、むしろ「経済を回そう」と普段通りの生活が続けられていました。いつも通りスキーバカンスや旅行に行く人も。私の住むシチリア州パレルモにも、北イタリアのベルガモから団体旅行者が来ていました(ベルガモは後に最大の被害地となり、火葬場が満杯で軍隊が棺桶を近郊の街へ移送する映像は、日本でも流れたかと思います)。
その団体旅行者が宿泊していたのは、我が家の目の前のホテル。ある日、そこからホテルで1名の感染者が見つかったことがありました。同じイタリアとはいえ、封鎖地域とは東京と鹿児島くらいの距離感。対岸の火事だったのに、とうとうシチリアでも初感染者が……。
しかし驚くより早く、感染者は病院に隔離され、ホテルは濃厚接触者を含む旅行者全員とスタッフ、約40名の検疫施設に早変わり。観光スポットも消毒され、市内の学校は一時休校。いつもののんびりしたイタリアとは到底思えない、素早く厳格な対応がとられたのです。
つまり、それだけ恐ろしいウィルスなのだと実感した体験でもありました。その後、検疫中に無症状者2名を特定。周囲への広がりはなく、機敏な対応による「守られてる感」も高かったせいか、近所はパニックになるどころか、検疫中の旅行者の食事を心配をしたり、しばしば訪れる防護服の保健所員を犬の散歩がてらに眺めたりする余裕さえもありました。
一方、ベルガモやミラノなど、封鎖地域周辺の北イタリアの街々では、感染が止まりません。3月4日の全国の感染者数は2505名(検査数トータル2万5856)、うち死亡79名(※対策本部発表時のデータ)。その88%が同エリアに集中。当時、日本ではイタリアは、検査しすぎで医療崩壊の噂が立ち始めた頃ですが、実際は医療崩壊しておらず、私立病院や他州への搬送が行われていました。それが、4日後3月7日には感染者数5883名(トータル検査数4万2062)、うち死亡233名と膨れ上がったのです。
次の対策として、3月8日にミラノを含む北部全域に“移動行動制限法令”が出されることになりましたが、正式発表前夜。曖昧な報道スクープによって不安にかられた人々が、ミラノから大脱出。感染の可能性の高い人々が、全国に散ってしまったのです…。
感染の全国拡大への懸念から3月10日には、休校、イベント中止のほか、飲食店の営業時間制限(6:00〜18:00)、高齢者の行動制限などを盛り込んだ同法令が、全土適用となりました。しかし、状況を不安視する声も上がり、その翌日3月11日にさらに厳しい内容を追加。3月12日から、すべての飲食店もクローズし、生活に必要最低限の機能を残して封鎖する、いわゆる“ロックダウン”が始まったのです。

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スーパーマーケット入店用の順番待ちチケット。時間帯によっても異なるが、待ち時間は平均で20〜30分程度か
スペイン・都市封鎖2020年3月14日~

スペイン・バルセロナ
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バルセロナ、ロックダウン(外出制限)生活Posted on 2020/03/18
林 真弓 通訳・ガイド・イベントコーディネーター バルセロナ

北イタリアの友人から長いメッセージが届いたのは3月12日の朝だった。
「スペイン政府の対応は不十分よ。家に閉じこもっていて!レストランやバルにも行かないで。できれば仕事にも行かないで。あなたのことを大切に思うから言ってることよ」
イタリアで起こっていることを驚愕の眼差しで見、「対岸の火事」ではないと分かってはいても、この友人からの忠告を苦笑いしながら読んだ。

「まさか。まだスペインはそこまでひどくない」

それがその日のうちに翌日からサグラダファミリアを始め主要な観光場所が閉められるという発表があり、14日には非常警戒体制が敷かれ、スペイン全土で人の移動を制限し、食料品店、薬局以外の店はすべて閉店することとなった。まるで迫りくる戦禍のように、徐々にしかし確実に私たちの普段の生活は失われていった。
それでも14日はまだ長い散歩が可能で、15日の朝は他のジョガーたちとともに近くの公園の周りを走った。ところが15日の午後にはジョギングも禁止、必要最小限の、しかも世帯に一人ずつしか外出が許されず違反した者には罰金という厳しい処置が発表された。

それ以来、外に出るのは買い物カゴを持ち、夫と交代でスーパーや八百屋に向かうときのみ。車の往来もすっかり減り、人の話し声がしない静かな道をマスクで半分顔を覆いながら歩む。時々人とすれ違うけれど1m以上間をあけながら目も合わさずに通り過ぎる。パトカーが徘徊し、要所要所に警察官が立っている。なんとなく何か悪いことをしているような気がしてなるべく警察官に出くわさないように歩く。3日前までは普通に友達とご飯を食べたり、公園でピクニックしたり、田舎にバイクで出かけたりしていたのに、この劇的な生活の変化は何なんだろう。うちの前のバルはいつも人がいっぱいで賑やかだったのに今は固くシャッターが閉められている。同じ街とは思えない。シュールリアリズムの絵画の中や核戦争後を描いた映画のセットの中にいるような錯覚さえ感じる。仕事もなく、収入ゼロのこの生活はいつまで続くのだろう。みんなで海辺にパエリアを食べに行ったり、タパスをつまみに行ったりできる生活はいつ戻ってくるんだろう。毎日挨拶を交わしていたご近所さんたちはどうしているんだろう。私でさえこんなに閉塞感を感じているのだから、お祭り好きで人との交わりが大好きなスペイン人たちは一体どうやって乗り切っているのだろうか。
14日の夜10時頃急に窓の外から賑やかな音が聞こえ、何だろう、とバルコニーに出てみる。住人たちが皆バルコニーに出て拍手をしたり、「ブラボー」と叫んだりしている。後に、これは新型ウイルスと戦っている医療スタッフに対する感謝の気持ちを表したものだったと知る。次の夜もまたフラッシュモブのようなバルコニーでの拍手。今度は私たちも参加した。そして3日目となる今日はいろんな友人からビデオ電話がかかってきた。みんな明るい表情をしていて安心する。お互いを気遣い、冗談を言い合い、画面越しに乾杯したり。少し状況を受け入れて、余裕が出てきたのかな、という感じがする。このロックダウン生活、2週間ともそれ以上とも言われる中、まだまだ先は長い。自分も含め、市民がどれだけ我慢できるのか、これからどう反応が変わっていくのか、まったく不明である。

唯一許された食料品の買い出しに出るときはできるだけ遠回りし、少しでも多く外の空気を吸って足を延ばすようにしている。観光客の消えた広い歩道から空を眺める。こんな状況でも地球はお構いなく自転と公転を続ける。プラタナスは芽生え、黄緑色の小さな葉をつけ始めた。濃いピンク色をしたハナズオウの花も街を彩り始める。春はすぐそこまで来ているのだ。

ドイツ・都市封鎖2020年3月22日~

ベルリン
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首都ベルリン3月22日より「ロックダウン」
具体的に起こっているのは、下記のようなこと。
・公共の場は2名以下でしか出歩いてはならない(基本的に1人。ただし、家族以外の1名、または家族の同伴のみ認められる)
・全ての飲食店は閉鎖      ・同居の家族以外との接触は可能な限り避ける    ・他人との距離は最低でも1.5m、可能なら2mあける   ・イベントやグループによるパーティーは自宅・公共の場所問わず全て禁止       ・酒場やクラブ、スポーツジム、美術館・コンサートホール、映画館、アウトレット、レジャー施設、売春宿、美容院やマッサージ、子供の遊び場は営業禁止
・保育園や幼稚園、学校はドイツの多くの地域で3月16日から既に休校

ロックダウンでもできること、許されていること
・カフェやレストランは閉まっていても、テイクアウトや宅配は可   ・スーパーや生活用品を扱う店は開いている
・職場への通勤、生活必需品の買い物、通院       ・託児や高齢者介護などのケアやリハビリ
・高齢で動けない人などのための他者へのサポート等   ・個人でのスポーツ、屋外の新鮮な空気を吸うための運動

ドイツは警察により監視され、違反すると具体的な"罰則"がある。
 通勤で仕事の同僚と2人で会話しながら歩いているだけでも、パトカーで巡回する警察と目が合ったり、人々からの視線をチクチクと感ずる。(罰則の内容に関しては、公には書かれていなく罰金250ユーロ[約3万円]などという噂が流れている。
 ロックダウンが開始されて、普段若者でごった返しているベルリンの街も、空っぽ、普段通勤ラッシュの時間帯も、電車には空席が目立つ。


2020年4月30日
コロナ優等生”ドイツの現実
欧州の大国のうち、新型コロナウイルス感染拡大への対策に現時点で成功していると言える国があるとすれば、それはドイツだ。他国に比べて死者数は少なく、経営難に陥った企業や収入減にあえぐ労働者に政府が経済支援を提供している。政治家たちは冷静で有能だという印象を与える。
 一方、奇矯な政策(編集部注:英国が採用した「集団免疫」などを指すとみられる)を打ち出す国の姿は対照的だ。英国では、なぜドイツのように多くの検査を実施しないのか、とジャーナリストが政治家を問い詰める。
 米国のテレビ各社はドイツのイェンス・シュパーン保健相に対し秘策を公開するよう要請している。あるコラムニストは、米大統領選において民主党の事実上の候補になったジョー・バイデン氏が、副大統領候補にアンゲラ・メルケル独首相を選ぶかもしれないと揶揄した。
 だがドイツの実情はより複雑だ。「われわれは完璧で、すべてを計画していた、とはとても言えない」。独ハンブルク大学でウイルス学を研究するヨナス・シュミットシャナジット氏はこう語る。
 複雑だった実情の第1は検査だ。検査は決定的に重要である。実施に向けて、官民合わせて200近い研究所からなる既存のネットワークに依存した。ベルリンのある病院が1月に検査体制を確立すると、他の病院も後に続いた。迫りくる危機を、政治家らが認識する前のことだ。
 エヴァンジェロス・コトソプロス氏は、「他国は研究所の設置から始める必要があったが、ドイツにはすでに研究所がそろっていた」と指摘する。同氏は、民間研究所「ソニック・ヘルスケア」のドイツ部門でトップを務める。ドイツは現在、週に35万件の検査を実施しており、これを大幅に上回る数の検査もこなせるとみられる。
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第2は地方の当局が迅速に施設封鎖、 
国政を担う政治家と衛生担当者が二の足を踏む中、地方当局が即座に動いた点だ。バイエルン地方とラインラント地方で初期の大量感染が見つかると、公共の場所を直ちに閉鎖し、感染者の接触状況の追跡を開始した。
 「ドイツは幸運でもあった」と言うのは国会議員で、疫学者でもあるカール・ラウターバッハ氏だ。理由は大きく2つある。一つは、イタリアの状況を受けて早くから警戒を始められたこと。もう一つは、初期の感染者の多くが若者だったため、入院者数と死者数を抑えられたことだ(ただし、どちらの数値も現在は増加している)。ドイツはここで稼いだ時間を使い、感染曲線を横ばいに保った。
 ドイツが次の段階へ進むに当たって、危機の初期段階において感染者の隔離に成功した経験をベースにすることが重要だ。メルケル首相はあらゆる感染経路を追跡したいと考えている。そのためには、さらに検査を実施するとともに(供給上の制約が克服できれば週に450万件まで可能と報道されている)、新たな感染者に接触した人を徹底的に追跡しなければならない。
 プライバシーに関する懸念はあるものの、アプリの活用が有効かもしれない。感染経路を追跡する作業の大半は公衆衛生局に勤める数千人の職員が担うことになる。ドイツ公衆衛生局は400余りの出先機関を持つ。同局には過重労働と資金不足が重くのしかかっている。

2020年5月17日
ドイツで営業再開のカフェ、「浮きポール」で距離確保

ドイツで営業再開のカフェ、「浮きポール」で距離確保
ベルリン(CNN) ドイツで新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)措置が一部解除されたことを受け、北部の都市シュベリーンで再開したカフェが、来店客同士の距離を確保するために「プールヌードル」と呼ばれる棒状の水泳用浮き具を使って話題を集めた。
カフェ・ローテはロックダウン中も営業を続けていたが、9日に店内での飲食を再開した。床に印をつけたり、アクリル板の仕切りを設けたりする代わりに、カラフルなプールヌードルが2本ついた麦わら帽子を客に配った。
店主のジャクリーン・ローテさん(52)が再開を記念して、プールヌードルを頭につけた客らの写真をフェイスブックに投稿。世界中から注目が集まった。
ローテさんは飲食店再開の動きを取材していた地元テレビ局に「これは客と客との間を引き離しておくための完璧な方法で、そして、面白い」と語った。来店客も喜んで応じたが、1.5メートルの対人距離を確保することの難しさを改めて感じたと、ローテさんは言う。
このカフェでは通常、店内に36、暖かい時期はさらに屋外に20のテーブルを配置していた。テーブル間の距離は80センチ前後だった。しかし現在のテーブル数は店内12、屋外8にとどまっている。
ローテさんは、今後さらに解除が進んで旅行者らが増えたらどうなるか、様子をみながら対応していきたいと話している。
フランス・都市封鎖2020年3月17日~
フランス政府は3月17日、新型コロナウイルス感染拡大抑制策として、少なくとも15日間とする外出制限を全土で始めた。パリのシャンゼリゼ通りに、ほとんど人の姿はなく、聞こえるのは車の音のみ。市内各地で警官が出歩く人を呼び止め、必要な証明書の所持と外出理由を確かめた。  「欧州で最も厳しい(自宅への)閉じ込め措置となる」。外出制限が始まる正午(日本時間午後8時)前、カスタネール内相は閣議後の記者会見で、既にイタリアとスペインで導入された措置の厳格適用を強調した。 外出が認められるのは、在宅勤務できない場合の職場への往復や生活必需品の買い物、通院や短時間の運動、ペットの散歩など。外出する際は毎回、氏名などの個人情報と外出理由を記して署名した内務省の「例外的移動証明書」を携帯しなければならない。(パリ共同)
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パリ

 新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、フランスでは3月17日正午からロックダウン(都市封鎖)が開始され、外出が規制された。外出が認められているのは非常に限られた範囲内で、花の都と呼ばれるパリでさえゴーストタウンと化した。外出規制は5月11日まで延長され、その後も国境封鎖、飲食店や公共施設の営業停止は継続で再開の目処は立っておらず、イベントや集会は7月中旬頃まで禁止。ロックダウン直後から精神面への影響や家庭内暴力など、2次、3次被害も報告されており、目を背けたくなるニュースが多い。 しかし暗く長いトンネルの中でも、フランスの人々は出口の光を見失ってはいない。立ち止まって周りを見渡し、足元を見つめ直し、新しい時代へと向かう準備を進めている。このような状況下でフランスにとどまる日本人の多くは、異文化の中で学ぶことがあったようだ。
職業や家庭環境の異なる6名の在仏日本人に、ロックダウン中の生活や今の思いについて聞いた。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける
《1》 竹内俊介(41)/「ルイ・ヴィトン」メンズ3Dデザイナー
「当初は他人事だったが、映画のようなことが現実に起きるんだなと」

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Q.仕事への影響は?

A.2月中旬に行く予定だった日本出張が直前でキャンセル。ちょうど2021年春夏コレクションのリサーチが終わって、ファーストサンプルのデザイン&型出しの段階でテレワークになった。今はボティーやシーチング、パターン用紙などを自宅に持ち帰り、在宅でできる範囲の仕事を進めている。内容はいつもと変わりなく、デザインを考えたり、トワルを組んだり、パターンを引くなど。チームでチャットやビデオミーティングで毎日連絡を取り合っている。ただしデザインを進めてもイタリアの工場が停止しているため、量産もプレのセカンドサンプルも、発注していた生地もストップしている状態。チームはこの期間に有給休暇や代休を取って、週2〜3日だけ仕事をしている。

Q.在宅仕事がはかどるコツは?

A.いつまで続くか分からずスケジュールが立てられない状況で、必要な道具や材料が身の回りにないため仕事モードの切り替えが難しい。しかしあまり深く考えないように、好きな曲を大きめの音量で流しながら仕事している。また、気持ちを引き締めるために仕事中は家の中でも新しい靴を履くようにしている。

Q.自宅でどのように過ごしている?

A.ユーチューブ(Youtube)やネットフリックス(Netflix)を観たり、部屋の片付け、料理してワイン飲んだり、いつもと変わらない。窓が大きく眺めがいいのが救い。

Q.ロックダウン解除後、仕事面で生じる問題は?

A.解除された後も問題はあると思う。6月の21年春夏パリメンズがキャンセルになったため、今量産中のものとプレが止まっていてデリバリーが大幅に遅れるだろう。会社の売り上げが落ちるため予算がカットされ、僕の部署にも何かしら影響が出ると思う。それに対応しながら、与えられた範囲内で作っていくしかない。

Q.今後、自身が身を置く業界や仕事環境に変化はあると思う?

A.変化があるかどうかは分からないが、変わらないといけない。年に2回のコレクションと2回のプレコレクションのサイクルが、今の時代に合ってるのか疑問に感じる。常に周りの変化に対応していくしかないのでしょう。

Q.現在、最も懸念していることは?

A.新型コロナウイルスがいつまで続くのかということと、世の中の経済にどれだけ影響が出てくるのか。あと運動ができておらず、筋力がどんだけ落ちるのか。

Q.ロックダウン状況下で学んだことは?

A.当初は他人事だったが、映画のようなことが現実に起きるんだと感じた。近所では毎日20時になると誰かが音楽を流したり、みんなで拍手している。仕事のことばかり優先的に考えるのではなく、この状況でも冷静に、前向きに対応できる気持ちの余裕を持つことが必要なんだと思った。

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《2》 アサミ・マエダ(34)/ヘアスタイリスト、既婚
「人に触れないと成り立たない職業の私が今、社会の役に立てること」

天気のいい日はバルコニーで食事                日本を思いながら和食ディナー
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Q.仕事への影響は?

A.2月末のミラノコレクションでロックダウン寸前のイタリアに滞在していたため、パリコレ中に予定していた撮影が数件キャンセル(帰仏後、2週間隔離を求めるクライアントの分のみ)。日本やアジアからのクライアントも全てキャンセルになった。新型コロナウィルス収束までの撮影の見通しがなく、5〜6月に予定されていた「カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)」や全仏オープンの仕事は延期となり、6月のパリメンズもキャンセルになった。

Q.自宅でどのように過ごしている?

A.早寝早起きで、生活のリズムをできる限り変えないよう心がけている。暖かくてなってきたためバルコニーで朝食や昼食を取る時間が増えた。初めのうちは仕事道具や着物、洋服、身の回りの物の整理などをしていたが、最近は一日数本の映画鑑賞と、夫婦ともに料理が好きなためこの機会に手間がかかる料理にも挑戦している。そのほか趣味のガーデニングや、日本やアメリカ・ヨーロッパの友人とオンラインカフェやアペリティフをして気分転換している。

Q.ロックダウン解除後、仕事面で生じる問題は?

A.毎日手を動かす仕事のため、仕事のスピード感やカット、スタイリングの技術など、休んだことによって感覚的に鈍っている部分を徐々に取り戻していけたらと思っている。今後の課題としては、ファッション業界・美容業界に従事する者として、将来的に同じ状況に陥ったときにいかに仕事をストップさせず、社会に貢献していくのか解決策を見出すこと。

Q.今後、自身が身を置く業界や仕事環境に変化はあると思う?

A.今後さらに紙からウェブ媒体への仕事の移行が進み、撮影形態の多様化、細分化が予想される一方で、一件の撮影に当てられる予算は削減されている。今後さらにそれが加速し、人員が整理されて少人数での撮影が増える中、撮影全体のクオリティーの低下が心配。これら環境の変化に柔軟に対応するため、ウェブやネット関連の知識を身につけていくことが自分の課題。一緒に働くモデルやスタッフの方々や仕事に対して柔らかく誠実に向き合うことは、これまで通り大切だと思っている。

Q.現在、最も懸念していることは?

A.フランスは外出制限4週間目を迎えるが、収束の兆しが具体的に見えないことによりファッション業界が大打撃を受け、自身の職業を目指すきっかけになった雑誌や広告、カタログなどの紙媒体の仕事が減少すること。春に予定していた日本帰省がキャンセルとなり、日本での神前式の日程を変更せざるを得ないこと。

Q.ロックダウン状況下で学んだことは?

A.ファッション業界・美容業界の人間として社会にどう貢献できるのか――人に触れるという行為でしか成り立たない職業の自分がいま、社会の役に立てることは何なのかをあらためて考えるきっかけになった。次にメディアやSNSとの付き合いや向き合い方。自分の頭や心で今起きていることを考え、感じ、想像し、行動に移すことの大切さを学んだ。全世界が直面している問題のため、各国や地域による温度差や個人の見解や選択の違いをたくさん感じて受け止められたこと、またそれを柔軟に話し合える環境に感謝するとともに、学びを感じた。プライベートでは、毎日工夫しながら穏やかに過ごせる日々の幸せをあらためて感じている。

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《3》 ブノワ諒子(34)/翻訳家兼ショールームセールス 既婚、息子(3)
「どんな状況下でもチャンスはある。変化に柔軟に対応していくこと」

              ロックダウン中、友人のヨガインスタラクターによるヨガライブ
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Q.仕事への影響は?

A.翻訳業は基本テレワークのため、普段と変わりなく自宅で翻訳作業をしている。翻訳依頼は3月末あたりから徐々に減り、4月に入ってからかなり少なくなった。ショールームセールスの仕事も5月のプレ・コレクション、6月の21年春夏コレクションがなくなることが予想されるため収入はかなり減るだろう。パンデミックの前に、大きなプロジェクトの翻訳作業を完了しておいたのが幸い。

Q.在宅仕事がはかどるコツは?

A.息子の保育園が3月16日から閉鎖となり自宅で世話をしているため、仕事が普段よりはかどらない……。集中したいときは、夫に頼んで近所へ散歩に一緒に出かけてもらい、一気に仕上げている。

Q.自宅でどのように過ごしている?

A.基本的に生活のリズムは普段と変わらない。仕事量が減ったこともあり、空いてる時間はとにかくヨガ。インストラクターの友人が、インスタグラムで毎週水曜日にライブ配信しているヨガコースに参加したり、「デイリー・ヨガ(Daily Yoga)」というアプリで毎日1〜2時間ヨガをしている。ほかにも自宅の整理、読書、息子とお菓子作りを行っている。買い物は「ドライブ」というシステムを利用している。事前にオンラインで購入した商品を、指定された日時に車で取りに行くシステム。生鮮食品はなるべく地元の小規模なビオショップを利用して、大きいスーパーは避けている。

Q.ロックダウン解除後、仕事面で生じる問題は?

A.翻訳業は普段からテレワークのため、再開するにあたって特に問題はない。ファッション・ウイークでの仕事は今後どうなるか今の段階では見極められないが、徐々に翻訳業に専念していくつもり。

Q.今後、自身が身を置く業界や仕事環境に変化はあると思う?

A.今回の非常事態で、多くの人が自分の仕事のあり方を見直す機会になったと思う。私は基本的にテレワークのため、仕事方法には特に大きな変化はなかったが、フリーランスとして仕事をしている分、収入面にかなり影響が出ることを痛感した。反面、ロックダウン中に翻訳技術を向上させるために勉強したり、リサーチする時間が取れたりして、今後のモチベーションになった。どんな状況下でもチャンスはあるし、変化に柔軟に対応していくことが大切だと思う。

Q.現在、最も懸念していることは?

A.ロックダウンもすでに4週間が過ぎ、毎日息子の世話をしながら自宅で過ごすのに疲れが出始めた。この状態がいつまで続くのか今の時点で見通しがつかず、仕事量がいつから従来と同じ状態に戻せるかを懸念している。

Q.ロックダウン状況下で学んだことは?

A.日本人として、フランスや隣国イタリアの楽観的なラテンのメンタリティーから学ぶことは多いが、今回は裏目に出てしまったと思う。ただ、コミュニティー内にいるお年寄りの代わりに買い物をする若者など、さまざまな形でボランティアに関わる人たちの報道を見て、危機的な状況下でのフランス人の結束力を垣間見た。

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《4》 黒谷愛(30代)/画廊ディレクター秘書 パートナーと同棲中
「認識することで、少しずつ自分の心が喜ぶことを探していけるようになった」

ロックダウン中に画家ドラクロワ自身が生涯に渡って書いた日記を再読            自宅窓から毎日眺める学童保育所
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Q.仕事への影響は?

A.新型コロナウイルスの影響で、3月末から4月頭に参加を予定していた2つの大きなアートフェアが延期となった。最終的に1つは取り止めに、もう1つは6月上旬(変更の可能性あり)に延期が決まった。ロックダウン後、飛行機の減便により、以前より予定していた絵画の輸送が困難を極めた。3月末日までは自宅でテレワークを行い、4月1日から現在までは一時的失業のため一切の業務を行っていない。テレワークを行っていたときは、取引先の関係者とのコミュニケーションを重要視した。3月13日(金)までは通常の業務を行い、週明けにはいつもの通りに出勤をするつもりでいたため、締め切りがある業務の数々、特に必要な情報の獲得を取引先の力も借りて、迅速に行うようにした。

Q.自宅でどのように過ごしている?

A.主には家事をし、ほかの時間は読書をしたり、画集を見たりしている。テレワークを行うパートナーとともに、いつもと変わらない生活リズムで過ごしている。ロックダウンから最初の2週間は、生気を失ってしまったかのように、何かをしたいという感情を持てなくなってしまっていた。それがなぜなのか、理由はいまだに分からない。「これだけの時間がある」「今まで多忙でできなかったことに取り組めるよい機会」と頭では分かっていてもだ。以前から翻訳をしたいと思っていた本を取り出してきても、もっと知りたいと思っていた画家の画集を開いてみても、熱意を持つことができなかった。ただ無為に時間が過ぎることを望んでいたように思う。自身のこの状況をパートナーや友人、同僚に話したとき、程度の差はあれ皆が似たようなストレスを抱えていることが分かり、心が楽になった。認識するという行為はここで大きな手助けとなり、それから少しずつ自分の心が喜ぶことを探していくことができるようになった。

Q.ロックダウン解除後、仕事面で生じる問題は?

A.ロックダウン中に手をつけることができないでいた業務処理に追われると思う。また、6月には重要な展覧会やアートフェアが控えている。中止にならず、開催してほしい。長期間の静寂から急激に状況が変化すると予想し、今はしっかりと英気を養いたい。

Q.今後、自身が身を置く業界や仕事環境に変化はあると思う?

A.業界を問わず、世界規模の深刻な経済危機が待っていると考えている。どのようなことが起こるのか、今では現在のことでさえも分からないため、推測することはできない。とにかく現実をしっかりと直視し、希望を持って、頑張っていくしかないと思う。

Q.現在、最も懸念していることは?

A.この大混乱の後、文化事業並びに文化産業が社会でどれだけ必要とされるのかということ。フランス政府は、アートギャラリー、公共アートセンター、芸術家支援のために緊急基金(予算約2億4000万円)を設立した。ギャラリーに対する支援の基準を緩和し、延期されたアートフェアの参加ギャラリーに対する助成金は、すでに生じた経費を処理できるように支払われることが決まっている。しかしながらドイツやイギリスに比べると遅れを取っているように思われ、不安を感じている。ドイツのモニカ・グリュッター(Monika Grutter)文化大臣は早期段階から「現在の状況下で、文化は良き時代においてのみ享受される贅沢品などではないと認識しています。ある一定期間、文化活動を諦めなければならないとすれば、それがどれほどの損失であるかも、われわれは理解しています」と意思表明を行っている。彼女のこの言葉に、私は光をもらった。私たちは文化や芸術だけで生きていくことはできないけれど、それらを通じてそれぞれが美しいと感じた何かは、心の糧になる。きれいと思う印象が、3文字の“きれい”から無限に心の中で広がる経験を、社会が過小評価しないことを祈っている。

Q.ロックダウン状況下で学んだことは?

A.前向きに捉えて、新型コロナウイルスによって世界は新しい世界を描くチャンスを与えられたのではないかと思う。社会レベルでは、私たちはもっと謙虚に人間としての営みを立て直していく必要がある。個人レベルでは、各人が立ち止まり、考えるという行為を取り戻していくことが求められていると私は考えている。

《5》 小川慶(40)/シェフ 既婚
「自身のケアや家族との時間も、仕事と同じくらい大切なことだと感じた」

ロックダウン中 自宅での食事風景
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Q.仕事への影響は?

A.ホテルの厨房で働いているが、ホテルが営業停止のため出勤できなくなった。

Q.自宅でどのように過ごしている?

A.お菓子作りや料理をして、新しいレシピの試作に取り組んでいる。自分なりに時間を決めて、1時間やったら休憩するという形で、ダラダラとやらないようにしている。仕事仲間とは週に1回ビデオ会議をしている。

Q.ロックダウン解除後、仕事面で生じる問題は?

A.あると思う。今後、お客様と接するときは今まで以上に気を使わなければならないし、調理時はマスクや手袋を常時つけて、衛生面で徹底した配慮が必要になるだろう。

Q.今後、自身が身を置く業界や仕事環境に変化はあると思う?

A.よりいっそう地球環境を第一に考えなければならないが、それはよい変化だと思う。プラスチック問題や食材の廃棄問題は特に考えるべき課題。また、衛生面に関してもさらに注意を払わなければならないと思う。

Q.現在、最も懸念していることは?

A.飲食業界の低迷。特に個人でレストランを経営している方々は、今この時点で収入がなく家賃などを払わなくてはならない厳しい状況。ロックダウン解除後、経営が成り立たなくなるレストランがたくさん出るのではないかと心配している。

Q.ロックダウン状況下で学んだことは?

A.仕事環境と時間の価値について思うところがある。僕の職種は長時間労働で毎日仕事に追われて、個人の自由な時間がほぼなく、家族や自分のことに費やせる時間が持てなかった。しかしこの危機的状況で

《6》 ファビアーニ美樹子(34)/Galerie Mikiko Fabiani主宰アートディーラー 既婚、娘(2)
「夫と子どもがともに健康で、毎日笑顔でいてくれることが何よりも大切」

                               自宅で遊ぶ娘
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Q.仕事への影響は?

A.かなり出ている。付き合いのあるギャラリーは全世界でクローズし、アートフェアも軒並みキャンセルになり全てが停止状態。夫はリモートワークのできない立場で日々オフィスに出勤しており、ワンオペレーションで2歳児の育児と家事をせざるを得ず、私はテレワークでさえできない状態。
Q.在宅仕事がはかどるコツは?

A.子どもが起きる前にかなり早起きして仕事をしたり、おとなしく一人遊びかiPadに夢中になっているつかの間にメールを返したり、本当に基本的なことしかできていない。正直、未就学児や低学年の子どもがいる環境でのテレワークはパートナーの助けがなければ不可能ではないかと思う。

Q.自宅でどのように過ごしている?

A.子どもがストレスをためないように一緒に遊んだり、飽きないような工夫をしている。私が芸術教育学を研究していたこともあり、簡単な創作活動が中心。夫とは18時以降必ずアペリティフすることが日課。ただし、会話は新型コロナウィルス以外の話題に決めている。

Q.ロックダウン解除後、仕事面で生じる問題は?

A.他業種もしかりだが、アート業界はかなり厳しい状況になると思う。おそらく、投資目的としてお付き合いしている顧客層が、変化するのではないかと考ている。弊社は、プライマリーはすでにオンラインでの作品販売に重きを置いており、路線は変わらない。セカンダリーの顧客に関しては、前述したように変化が強いられるため、新たな顧客開拓が必要になるかもしれない。フランスはいつまでロックダウンが続くか分からず、先の見通しがつかず、展覧会などについては経費をできるだけ削った方法を検討している。

Q.今後、自身が身を置く業界や仕事環境に変化はあると思う?

A.アート業界の未来――アートフェアは難しい立ち位置になるかと思う。どのディーラーも口にしている通り、デジタル化が著しく進むだろう。ただアートと一言で言っても業界は幅広く、全てがデジタル化というのは不可能で、それぞれの判断がビジネスを左右するのではないか。私の仕事環境としては、プライベートビューイングというクローズドな形と、オンライン重視での作品販売という方法を変える必要がないと考えている。単にデジタル化と言えど、お客さまとのコミュニケーションの上で成り立つ信頼関係がこの仕事ではとても大事。その考え方は変えずにさまざまなコミュニケーションツールを使用しながら、デジタルな部分とアナログでしかできない部分を見極めて対応できればと思う。

Q.現在、最も懸念していることは?

A.どのように不況を乗り切るか、小さな会社のオーナーとして非常に不安。プライベートにおいては、いつまで続くか分からない状況下で子どもの成長に影響を与えていることがとても心配。

Q.ロックダウン状況下で学んだことは?

A.当たり前のことができなくなることで、自分の中にも変化があった。前述したように、仕事もまともにできない状況、さらには今後の見通しが立たない不安な環境でも、夫と子どもがともに健康で、毎日笑顔でいてくれることが何よりも大切だと感じた。こういった価値観を共有できる家族がいることが、何よりも幸せだと認識できたのはありがたいこと。

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ELIE INOUE
ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける




オーストラリア・都市封鎖2020年3月20日~

オーストラリア・シドニーで4月12日、復活祭を海岸で過ごす人々に移動を求める警察官(EPA時事)
 
感染拡大「鎖国」で抑制 帰国者隔離、外出禁止を徹底―豪州・NZ


【シドニー時事】オセアニアの主要国オーストラリアとニュージーランド(NZ)で、新型コロナウイルスの感染者拡大が抑えられている。日本と同じく諸外国と海を隔てる両国は、比較的早い段階で人の出入国を原則禁止する「鎖国」にかじを切った。また国内でも都市封鎖(ロックダウン)などを徹底していることが、奏功したとみられている。

世界各地で外出制限、着飾れる唯一の機会は…ごみ出し!

 豪州政府によると、13日時点で感染者6322人、死者61人。3月下旬には1日で450人を超えていた感染者数の増加は現在、33人にまで減った。NZの感染者は1349人、死者は5人にとどまっている。
 豪州では2月に中国からの入国を制限して以降、水際作戦を強化。3月20日から外国人の入国を禁止した。帰国した国民には宿泊施設で14日間の強制隔離が行われている。国民の出国も原則的に禁止された。
 また、東部クイーンズランド州など一部の州がウイルスの流入阻止のため州境に検問所を設置。事実上の「関所」となり、国内で移動が厳しく制限されている。生活必需品の買い物や仕事などを除き外出は原則禁止。家族以外では3人以上で集まることも禁じられ、シドニーで違反した場合、最大で罰金1万1000豪ドル(約75万円)、禁錮6月となる可能性がある。NZでも似たような外出規制が続く。
 
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「今年の復活祭(イースター)は違う、家にいるように」。モリソン首相は9日、コロナの感染防止のために、外出しないよう国民にメッセージを伝えた。連休となる復活祭には親類が集まったり、旅行を楽しんだりするのが一般的。今年は人々が教会の提供するインターネット上のサービスを利用。街中も閑散としている。
 豪メディアによると、同国のマーフィー首席医務官は13日、「最も懸念しているのは気の緩みだ」と強調。規制の早期緩和に難色を示した。
【新型コロナウイルス続報】オーストラリア、
ロックダウン開始で外出すると罰金も(2020年4月10日更新)
続々と閉鎖されていく施設
Report

By Ai Kaneko
元子役。2006年渡豪、役者として映画やミュージックPVなどに出演。現地撮影コーディネーターとしても様々な作品に携わる。日本帰国後はTV番組制作や旅メディア運営を経験。現在「暮らすように旅して、旅するように暮らす」をモットーに、”暮らし旅ライター”として活動中。今日も世界のどこかで心を震わせている。
現在(4月9日時点)、レストランやカフェはテイクアウトと宅配のみ可能、カジノ・バー・ナイトクラブ・映画館などの娯楽施設や、ジムなどスポーツ施設は営業禁止。ショッピングセンター自体は開いてますが、ほとんどの店が閉まっている状態。スーパー・薬局・郵便局・銀行・ガソリンスタンドは引き続き営業中です。
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ロックダウン(都市封鎖)ルール

ウイルスの拡散を抑えるため、人との距離をとる「ソーシャルディスタンシング(社会的距離)」戦略が取られているオーストラリア。筆者の住むクイーンズランド州でも、細かなルールが決められています。まず大前提として、外出は「絶対に必要不可欠な場合のみ」。食料・生活必需品の購入、通勤・通学、運動、医療機関への通院、介護、チャイルドケアへの送り迎え、法的義務のためなどは許されますが、それ以外は外出禁止です。

街からは人の姿が消え、静けさに満ちたその光景はまさにデッドシティ。まるで映画のワンシーンを見ているかのようです。多くの人々が日常生活の大半を自宅で過ごすことになり、インターネットが繋がらないこともしばしば。公共の場では「人との距離を1.5m以上とる」こと。スーパーの床には1.5m間隔で印がつけられるほか、セルフレジマシーンを一台おきに使用中止にするなど、隣客との距離が取れるようになっています。また「家族・同居人以外と外で会う際は、自分を含め2人まで」といったルールも。さらに葬式は10人まで、結婚式は5人までと人数制限が設けられました。

これらの規制に違反した際、個人に対しては最高1万3,345ドル(約90万円)、企業には最高6万6,672ドル(450万円)の罰金を科す権限が警察に与えられています。罰金や細かな規制に多少違いはあれど、他州でも同様の対応がなされているようです。国内で最も被害の大きいシドニーのあるニューサウスウェールズ州では、6カ月間の禁固刑が課せられる場合も。
「外出しない」が世界を救う
こういった政府の取り組みにより、オーストラリア内では危機感がだいぶ高まっているように思います。とはいえ、それでも新型コロナウイルス関連で罰金を課せられた人々が、一週間足らずで139名にも及んだとクイーンズランド州警察は伝えています。確かに先の見えない中での隔離生活は、ストレスもたまりますし気分も沈みがち。息抜きに出かけたくなる気持ちもわからなくはありません。しかし今、元気な私たちにできることは「外出しない」こと。それが自分だけでなく他人も守ることなのです。この危機を一緒に乗り越えましょう。
   Report By Ai Kaneko



2020年5月5日~
ブラジル・都市封鎖2020年5月5日~

サンパウロ州のジョアン・ドリア知事(右)とサンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長(25日のコロナ対策に関する記者会見
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【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、全国の感染者は27日午後4時現在の保健省発表で3417人、死者は92人と急増中だが、状況がより深刻なサンパウロ州では、重症者や死者の増加傾向が続く場合に備え、州閉鎖も考え始めていると27日付現地紙、サイトが報じた。 サンパウロ州では2月26日に全国初の感染者を確認、3月16日には全国初の死者も出た(確認は17日)。同州の感染者は、最初の感染者確認から30日目の26日に前日比22%増の1052人となり、死者は前日比10人増の58人となった。
 同州の感染者は若者も多いが、死者は高齢者や慢性疾患患者が中心だ。26日に確認された死者も、36歳の慢性疾患患者を含む92歳までの男性7人と64~77歳の女性3人だった。22日までの死者22人は皆、サンパウロ市で確認されたが、それ以降はサンパウロ大都市圏や内陸部でも死者が出ており、22~26日の死者は163・6%増えた。エスタード紙によると、26日現在の重症者は前日比42%増の84人だ。
 同州の保健関係者は、同州の感染者数が全国の36%、死者は75%を占めている事などから、同州での外出自粛令発令は遅過ぎたと見ている。同州の致死率は5・5%で、全国平均の2・7%より高い。
 このような現状を見、ジョゼ・エンリケ・ジェルマン州保健局長は「現行の外出自粛令は互いの間に距離を置いて感染拡大を抑制するため」と説明。より厳しい規制が必要となれば自宅での社会的隔離へ進むが、状況が悪化し、感染拡大で医療危機が起きれば、「ロックダウン」採用の可能性も口にした。 ロックダウンは中国の武漢を始め、イタリアやフランスなどでも採用された都市などの封鎖で、25日にはインドが国家として採用。26日には東京都が採用の可能性を示唆した。
 新型コロナウイルス感染症の主な症状は乾いたセキや発熱、喉の痛み、呼吸困難などだが、においや味がわからなくなる人もいる。また、症状が出ない人や発症前に他の人に感染させた例も報告されており、最善の感染回避策は、閉鎖された空間や人ごみ、他者との接触を避ける事だ。
《ブラジル》コロナ禍=アマゾン流域でロックダウン=北東部に続きパラー州都圏も

都市封鎖期間中も緊急援助金引き出しのための列が続くサンルイス市(
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新型コロナウイルスの感染拡大が著しく、現在以上に隔離率を高める必要があるとして、パラー州も5日、計10市のロックダウン(都市封鎖)を決めたと5、6日付現地紙、サイトが報じた。
 ブラジル初の都市封鎖は5日、マラニョン州サンルイス市と周辺3市で始まった。5日現在の同州の感染者は4530人で全国6位、10万人あたりの感染者発生率は640で9位だ。死者は271人で7位、10万人あたりの死亡率は38で8位だ。サンルイス市は、発生率が280・3で市別の順位で13位、死亡率は19・2で7位。4日現在の同市の集中治療室占有率は96・89%だ。
 他方、パラー州の感染者は4472人で7位、発生率は520で12位、死者は369人で6位、死亡率は43で7位だ。同州北東部にあるサントアントニオ・ド・タウアー市は、死亡率が22・2で全国5位だ。
 エウデル・バルバリョ知事によると、同州での都市封鎖期間は7~17日だ。10日までは啓蒙期間だが、その後は罰金などが科される。封鎖対象は、州都ベレン市と周辺6市、北東部2市、マラジョー地方1市の計10市だ。
 都市封鎖期間中も生活必需の活動は維持されるが、道路封鎖や監査も行われるため、基幹サービス従事者は写真入りの身分証明書と労働手帳か、それに準ずる書類の携行が必要だ。外出時のマスク着用も義務付けられる。
 基幹サービスに含まれるのは、スーパーや食品店、銀行、薬局、ロテリア、フェイラなど。期間中は、物資輸送用の車両と基幹サービス従事者の車両以外は、市境を越える事も禁じられる。
 同州では、1週間で死者が3倍増となった1日から規制強化を検討していた。ベレン市などは医療現場と葬儀業界が崩壊状態に陥っているが、4日の隔離率は州全体で47・27%、ベレン市は51・1%と低調だった。
 他方、都市封鎖の言葉は使わなかったが、セアラー州は外出自粛を20日まで延長。州都のフォルタレーザ市は、5日から実質的な都市封鎖状態に入っている。同州の5日現在の感染者は1万1470人で3位、発生率は1256で4位、死者は795人で3位、死亡率は87で2位だ。
 5月に入ってから外出自粛期間を延長したり規制を強化したりした州は、連邦直轄区を含む19州で、市単位で強化したところもある。
 また、集中治療室への入院待ち患者が700人近いリオ州とリオ市は、7日までに都市封鎖に関する見解を出すよう、検察から求められている。ペルナンブコ州やアマゾナス州でも都市封鎖を採用する可能性がある。



2020年2月27日


シンガポール・都市封鎖2020年2月日~
徹底したウイルス対策実施のシンガポール 他国が真似できない内容とは

シンガポールに移住したばかりの米国人ジェニー・キムさん(51)がマンション内で新型コロナウイルスの感染例を知った翌日、きちんとした身なりの男性が訪ねてきた。写真はシンガポールのスーパーを歩く男性と子ども。8日撮影(2020年 ロイター/Edgar Su)
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シンガポールに移住したばかりの米国人ジェニー・キムさん(51)がマンション内で新型コロナウイルスの感染例を知った翌日、きちんとした身なりの男性が訪ねてきた。後で分かったのだが、男性は政府の高官だった。
キムさんが引っ越してきたのはちょうど、新型ウイルスの流行が始まったころだった。男性はキムさんに家族はどう感じているかと尋ね、いくつかの医療用マスクを提供してくれたうえ、シンガポールは状況にうまく対処していると語り、キムさんを安心させた。キムさんの体験は、シンガポールで新型ウイルスとの戦いのために取られている潔癖なまでのアプローチをよく示している。警察捜査員や防犯カメラを使って2500人超を追跡、隔離。国際的にも賞賛された。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は今週、「シンガポールは徹底してすみずみまで調べている」と評価した。しかし専門家は、シンガポールのようなウイルス対処策は他の国は簡単にまねできないと話す。他の国々には、シンガポールのような地理的な特性や資金力、幅広い国家管理体制がないからだ。米ミネソタ大学の感染症専門家のマイケル・オスターホルム氏は「シンガポールが新型ウイルスを抑え込めないなら、できる国はないと思う」と語る。

国家の介入
570万人がひしめき合うこの島国では、(記事執筆時点で)新型ウイルスの感染者は84人と、日本のクルーズ船の大量発症事例を除けば、中国本土以外では最も多い。しかし専門家によると、シンガポールの感染者数が多いのは、探し当てる能力が高いことによる。
米ハーバード大学伝染性疾患動態センターの最近の研究によると、シンガポールは感染の監視や接触者追跡調査の能力によって、他国の3倍のペースで感染者数を突き止めているという。
国の規模も重要だ。中国・武漢市に比べると、面積は10分の1より小さく、人口はほぼ半分で、封じ込めが容易だ。
1965年の独立以来、政権党は変わらず、厳しい出入国管理も維持し、ウイルスをまき散らす可能性がある人々の監視を正当化できる厳格な法律もある。
1月末に初めて、中国人旅行者の感染例が見つかったタイミングで、140人に及ぶ政府の専門チームが、患者への聞き取りや濃厚接触者の特定と隔離のため設置された。
保健省当局者によると、航空会社に乗員乗客名簿の提出を求め、防犯カメラで患者の動きを追い、警察の捜査員も投入した。これまでに2593人ほどが隔離された。
シンガポール国立大学のチョン・ジャラン教授(政治学)は「ここではこうした個人生活への立ち入りが受け入れられている。この種の要求に対して、国民はかなり対応の準備ができており、これが追跡力の助けになっている」と述べた。
調査員に情報を伏せたり、不正確な情報を提供したりするのは犯罪と見なされる。隔離命令に従わなければ最大1万シンガポールドル(約80万円)の罰金か、最長6カ月の収監、もしくはその両方が科せられる。
当局は最近中国に渡航した労働者に14日間の禁足も実施し、1日に1000回以上にわたる電話や訪問で、禁足を守っているかを確認している。義務に違反すれば就労許可が取り消され、雇用主は外国人労働者を雇う権利を失う。
メッセージアプリ「ワッツアップ」の政府のアカウントには40万人近くが登録しており、政府から感染者数や予防法、インターネット上のうわさに対する警告など、新型ウイルスに関する注意情報が毎日送られる。
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豊富な資金

シンガポールの徹底した対応は、2003-04年のSARS(重症急性呼吸器症候群)での経験による面もある。同国の死者数は30人を超え、中国本土以外では最も多い部類の一つだった。
シンガポールは今月、最初に中国への渡航禁止を打ち出した国の1つでもある。中国はシンガポールにとって最大の貿易相手国であり、観光客数でも中国人が最も多いことから、渡航禁止は経済的な痛手が大きい。シンガポールの首相は既に、新型ウイルス流行で景気後退に陥る恐れがあると警告している。
しかしシンガポールには十分な資金がある。アジアで最も富裕な国で、国民1人当たりの名目GDP(国民総生産)は世界の上位10カ国に入る。18日には新型ウイルスの封じ込めと景気下支えのためとして、年度予算で45億ドル(約5040億円)の対策費を発表した。
シンガポールの対応にはミスも幾つかあった。政府が2週間前に新型ウイルスの警戒レベルを引き上げ、コメや麺やトイレットペーパーなど生活必需品の買いだめパニックを引き起こしたことでは、政府は「誤解が生じた」としている。
シンガポール流の方法は持続できるものではないかもしれない。流行がもっと深刻化すればなおさらだ。
WHOが調整役を務める「地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)」を率いるデール・フィッシャー氏は「今やっていることをいつまでも続けることはできない。緊急でない手術だからといってすべてを中止にし続けることはできないし、休日に出掛けるのを一切合切禁止することもできない」と指摘。「最終的には少し緩めざるを得ないだろう」との見方を示した。
冒頭のキムさんには海外にいる家族から定期的に、安全を確保してほしいとの電子メールが届く。しかし、当局の対応はキムさんに安心感を与えている。「家族は絶対に心配しているけれど、シンガポールの対応はとても良くて、新しい対応や政策はとても理にかなっているように見えると伝えて、家族を安心させている」という。


2020年3月17日
By Spencer Wells

徹底したシンガポールの新型コロナ対策はお手本となるか?

新型コロナウイルスの感染において、シンガポールは中国の主要な貿易相手国の1つとして早くから打撃を受けた。
しかし、国内で症例が発生した後のシンガポールの迅速かつ徹底した対応は、他の国々のお手本ともなるかもしれない。
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シンガポールの英国植民地時代の輝かしい白い頂点であるラッフルズホテルで、私はこの記事を書き始めた。2年半かけて完全に改装されたラッフルズホテルは、世界有数の豪華なホテルの1つだ。このホテルは多くの点において、1965年に独立した都市国家としての地位を確立して以来のシンガポールのあり方を象徴するものだ。
シンガポールの初代首相であるリー・クアンユーは先見の明のある政治家で、有力者でありテクノクラートでもあった。当地では創立者、指導者、真実の語り手、若い国の象徴として称賛され、現代のシンガポールの戦略を作った。とりわけ透明性へのコミットメント、迷信ではなく理性の力への信念、清廉な政治などを提唱した。これらすべてが組み合わされて生まれたのが、昨年末に中国で発生し、過去2か月で世界中に急速に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する、シンガポールの世界をリードする対応だ。
シンガポールは中国の主要な貿易相手国の1つとして早くから打撃を受けた。「武漢インフルエンザ」の最初の公式通知から数週間以内に、12件の症例が発生した。 しかし、これが季節性インフルエンザ以上のものであることにすぐに気付き、迅速な行動を取った。2002年から2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの経験に基づき、シンガポールは症例を注意深く追跡し始め、それらをつなげる共通点を見つけた。
新しい症例が検出されてから1日、時には2日以内に、当局はある人から別の人への感染の複雑な連鎖を、データベースを備えたシャーロックホームズのようにまとめることができた。2月には、シンガポールの政府または企業の建物に入るすべての人に連絡先の詳細の提供を義務付け、そのプロセスを迅速化した。
シンガポールが新型コロナウイルス感染症対応のお手本になるのは、単に症例を検出し、それらが発生した理由を説明できるからだけではない。シンガポール当局は核酸検査キットを迅速に開発し、出入国港に配備した。現場で検疫される人々に対しては、ウイルスに感染しているかどうかを職員が3時間以内に確認し、入国を許可するかどうかを判断する。
米国の対応は基本的にこの逆だった。早い段階では、ほとんどの人はこれが「中国」または「アジア」の問題だと思っていたようだ。パンデミックは米国では起こらないという思い上がった無頓着により、公衆衛生当局はガードを甘くしてしまった。 数十人、あるいはそれ以上の感染した人々が米国への入国を許可され、病気でも出勤することを許可あるいは奨励されてウイルスの拡散を速めた。
ウイルスに感染して発症した一部の人々は検査の実施を訴えたものの、中国への渡航歴がないか、病状が十分ではないとして拒否された。もっとも、この点については議論にも値しない。米国疾病予防管理センター(CDC)が開発・配布した初期の検査キットには欠陥があり、使用できなかったからだ。 この不当な検査の遅れは、米国人労働者の25%に病気休暇(sick leave)が与えられていないとの事実と相まって、病気の人々を職場に戻すことを強いて感染をさらに拡大させた。
この記事を書き終えつつある今、私はボルネオ南部の川のはるか上流、キャンプ・リーキーの近く、ビルーテ・ガルディカス博士の設立50年になるオランウータン研究センターにいる。私はこのところ2日間「オフ・グリッド(インターネットや電話がつながらない状態)」で、この記事を衛星経由で投稿する。私が出発したとき、状況は米国にとって良いものでなく、(予想どおり)ウイルスはすでに深く分裂している私たちの国をさらに二極化した。 このウイルスについて言えることは、政党、国境や純資産はお構いなしだということだ。彼らが気にするのは繁殖することだけで、ことさらそれが得意なようだ。
私が東南アジアへの旅行計画を進めると決めたとき、多くの人は頭がおかしいのではないかと言った。 数週間前の感染数を見た人は、「あなたは嵐の目の中に飛び込んで行くのですよ」と言った。今、私は故郷である米国で起きていることに対し、同じ驚きと恐怖の感覚を感じずにはいられない。米国と欧州が現在、嵐の中心となっている。私たちすべてが幸運であらんことを祈るばかりだ。

著者の Spencer Wellsは遺伝学者・人類学者。ナショナルジオグラフィック協会の元エクスプローラー・イン・レジデンス(Explorers-in-Residence)でもある。


中国武漢・都市封鎖2020年1月23日~

【北京=中川孝之】
中国湖北省の武漢市政府は23日、市内を中心に広がる新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を抑えるため、市外に出る航空便や鉄道のほか、市内全域のバスや地下鉄などの公共交通機関の運行を停止する措置を開始した。住民に「特殊な事情がなければ武漢を離れてはならない」と呼びかけている。感染の急激な拡大を受け、市内の事実上の封鎖が必要だと判断した。 武漢市内の公共交通機関は、23日午前10時(日本時間午前11時)から全ての運行を停止した。空港や鉄道駅なども出発便に関しては閉鎖されている。市当局は運行停止の期限に言及していない。武漢市は人口約1100万人の巨大都市だ。24日からの春節の大型連休を前に、地域の経済活動は深刻な影響を受けそうだ。
 中国政府の国家衛生健康委員会によると、感染者は23日午前0時(日本時間午前1時)までに死者17人を含む571人となった。
22日、新型コロナウイルス感染者の対応に当たっている武漢市の病院で、医療廃棄物を運ぶスタッフ(AP)
 中国の習近平(シージンピン)国家主席は22日、メルケル独首相、マクロン仏大統領とそれぞれ電話会談し、国際社会と協力して肺炎に対応する考えを伝えた。習氏は、中国が厳密な防疫措置と速やかな情報公開を行っていると強調し、理解を求めた。

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【北京=三塚聖平】新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が止まらないなか、各地では観光地の営業が停止され、「震源地」の湖北省武漢市では事実上の封鎖措置が続き、「ゴーストタウン」(香港紙)の様相を呈しているという。北京でも故宮=旧紫禁城(しきんじょう)=が休館するなど、中国は異例の静けさの中で25日の春節(旧正月)を迎えた。
 人口約1100万人の武漢では、飛行機などの公共交通機関が全面停止され、繁華街でも人の姿がほとんど見えないという。
 習近平指導部としては果断な措置をとることで、初期対応の遅れを挽回するつもりとみられるが、住民に過重な負担を強いる措置であることから不満が高まる恐れもある。
 武漢での公共交通機関の停止は23日、新型肺炎の感染拡大を防ぐため始まった。中国メディアによると「建国以来初」の措置といい、武漢を出入りする飛行機や列車を止め、バスや地下鉄など市内の公共交通機関も営業停止した。各地では高速道路の入り口が閉鎖され、警察官が並ぶ料金所前でUターンをして市内に戻る自動車があふれた。
 「ショッピングモールやレストランも人けがない。道路もラッシュの時間帯ですら空いていて、まるでゴーストタウンだ」
武漢住民は、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに語った。例年なら春節の書き入れ時だが、多くの商店や飲食店が休業しているという。市当局は25日、市中心部では許可を受けた車両以外の通行を26日から禁じると発表した。
 封鎖は武漢の周辺にも拡大。湖北省内の黄岡(こうこう)など12市も24日までに、武漢と同様の措置をとった。感染拡大が続くなかで、中国当局はなりふり構わず範囲を広げて強硬措置をとる。
封鎖対象地域では不安が増しているとみられ、武漢では市民による「買いだめ」で食料品や医療品が品薄になっていると伝えられる。大勢の人が押し寄せている病院では、病床が足りていないと指摘される。
 共産党機関紙、人民日報は25日、武漢で新型肺炎患者の専門病院の新設工事が進行中だと報じた。2月3日までに完成予定という突貫作業で、ベッド数1千床になると伝えられる。25日にはこれとは別に1300床の病院を半月以内に建設すると報じられた。
 また、人民解放軍は各地から計450人の医療チームを武漢に派遣。各地の医療関係者も相次いで武漢入りしている。SNSや官製メディア報道では、「武漢頑張れ!」という応援メッセージがあふれているが、当の武漢住民らの不満は事態が長期化すればさらに高まることが避けられないとみられる。
 封鎖措置について、北京の医療関係者は「人道的には問題があるが、感染拡大阻止の面では効果がある」と期待を示す。一方でサウスチャイナ紙は「予防策としてはすでに遅すぎるかもしれない」という伝染病専門家の見方を伝える。
 また、武漢は主力産業である自動車を中心に日本など外資系企業が多数進出しているが、武漢に拠点を持つ日系メーカー幹部は「今後の状況がまったく読めない」と困惑の表情を浮かべる。事態が長引けば経済への影響も広がるとみられ、習指導部にとって封鎖措置は副作用が大きい劇薬になる可能性がある。
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報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発してきた経済雑誌「財新週刊」。今回も財新の記者たちは武漢をはじめ中国各地で徹底的な取材を行っている。その成果は欧米のメディアでもたびたび引用されている。ここにご紹介するのは、「財新週刊」に掲載された渾身の特集記事だ。いま中国で何が起きているのか。医療従事者の苦悩、患者の悲痛、そして政策当局者の蹉跌……描かれるのはあくまでもファクト。新型肺炎が中国の人々にもたらした現実と、そこから脱出するための奮闘ぶりが、抑制された筆致によってあらわにされる。これは中国の人々の苦闘を人類の教訓とするための記録である。

2020年2月10日
武漢発レポート
1月23日午前2時、武漢市政府が公共交通機関の運行停止による事実上の「都市封鎖令」を発表したとき、張奇はホテルの一室でまだ眠らずにスマートフォンを見つめていた。
北京で暮らす張は、友人を訪ねるため1月20日に高速鉄道に乗って武漢にやってきた。このとき、メディアはすでに新型コロナウイルスによる肺炎が武漢で急増していることを報じていたが、張はほとんど気に留めていなかった。彼が武漢に着いた日も、街角に緊張した雰囲気はまったくなく、通行人の少なくとも半数はマスクを着けていなかった。
ところが1月20日夜、最高指導者の習近平国家主席が「新型肺炎の感染拡大を断固として抑えよ」という重要指示を発令。さらに感染症研究の第一人者で中国政府の専門家チームのトップを務める鍾南山が、中国中央テレビのインタビューで「ヒトからヒトへの感染が確認された」と明言するや、人々の不安や恐怖心に一挙に火がついた。
その火に油を注いだのが、23日未明の都市封鎖令だ。泡を食った張は大急ぎで荷物をまとめ、(高速鉄道のターミナルである)漢口駅に向かった。同日午前10時をもって駅が封鎖される前に、武漢を脱出するためだ。
「自分はただの旅行客。こんな危ない街に閉じ込められるのはまっぴらご免だ」。漢口駅の切符売り場で、張は財新記者にそう語った。
1月23日朝10時、漢口駅の入り口を封鎖する係員(写真:財新)

同じ頃、漢口駅から5キロメートルほど離れた武漢協和病院では、感染症科の主任医師の趙雷が仮眠をとっていた。彼はもう半月以上1日も休みを取っていなかった。同病院では2019年12月下旬から発熱を訴える患者の来院が急増し、ピーク時には1日800~900人に達していたのだ。
感染症科は院内に5階建ての専用病棟を持つが、その病室は肝炎など接触感染で伝播する感染症の隔離しか想定しておらず、飛沫感染で伝播する呼吸器感染症には無防備だった。そこで趙らは12月31日、病棟の1階を丸ごと呼吸器感染症専用の隔離区画に転用した。
ところが1階の24ベッドはあっという間に埋まり、続いて2階、さらに3階と4階も転用したが患者の急増に追いつかない。感染症科の30人弱の医師だけでは到底人手が足りず、協和病院は総動員体制を敷いた。呼吸器科や救急科の内科医が交替で応援に当たるとともに、看護師は所属科にかかわらず全院でローテーションが組まれた。
そんななか、1月11日に協和病院神経外科の入院患者が手術後に発熱し、容体が急速に悪化。CT検査の画像には左右の肺にすりガラスのような陰影が認められた。さらに、この患者の病室を担当する看護師も発熱し、14人の医療関係者に次々に伝播。1月15日、この患者は感染症科の隔離区画の病室に移送された。
「われわれ感染症の専門医にとって、都市の封鎖は意外ではない。例えば14世紀の欧州での黒死病でも、1910年の中国東北部での肺ペストでも、汚染地域の隔離が重要な役割を果たした」。趙はそう解説する。
とはいえ、常住人口が1000万人を超える武漢のような巨大都市を隔離したケースは、中国はもちろん世界史にも前例がない。新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、封鎖後の武漢の都市運営は厳しい試練にさらされている。
武漢市政府は1月23日に武漢を出る交通ルートをすべて遮断し、26日には市内の公共交通機関も停止した。新型ウイルスの市外への持ち出しと市内での拡散を防ぐためだが、それ以前の悠長で鈍感とさえいえる対応から、いきなり戦時体制に移行したのが実態だ。
1月31日24時までに、中国全土で新型コロナウイルスによる肺炎との診断が確定した患者数は1万1791人、死亡者数は259人。そのうち武漢市の患者数は3215人、死亡者数は192人に上る。
ただしデータの推移を見ると、総患者数に占める重症者や死者の比率は当初より下がりつつある。1月末時点では重症化率15.8%、死亡率2.2%と、通常の肺炎と大きく変わらない水準に落ち着いてきた。
状況好転の兆しは武漢市民にとって朗報といえるが、都市封鎖を耐え忍ぶ人々は同時に複雑な心情を抱いている。活気あふれる大都市だった武漢が、なぜ1カ月も経たないうちに疫病都市に転落してしまったのか。もしすべてをやり直せるとしたら、一体何から始めるべきなのか。
感染源はどこにあるのか
新型肺炎の最初期に注目を集めたのは、やはり感染源の所在だった。
「武漢に原因不明の肺炎患者が出現した。SARS(重症急性呼吸器症候群)かもしれない」──。2019年12月下旬、そんな噂がネット上を駆け巡った。この噂の出所は、武漢の医師たちのチャットルーム内で一部の医師が鳴らした警鐘だったことが後に確認された。
12月30日、武漢市衛生健康委員会が医療機関向けに出した「原因不明の肺炎の治療に関する緊急通知」がネット上に流出。そこには、武漢市内の多数の病院で原因不明の肺炎の症例が相次いでいることや、患者たちが生鮮食品の卸売市場である「華南海鮮市場」と関わりがあることなどが記されていた。
翌31日の早朝、防護服に身を包み噴霧器を背負った多数の防疫係官が華南海鮮市場に現れ、場内の消毒を行った。この光景は、多くの市民に2003年のSARSの恐怖を思い起こさせた。SARSは2002年11月に広東省で最初の症例が確認された後、中国全土と海外に急速に拡散。2003年7月に終息するまでに8000人以上が感染し、774人が死亡した。
同日午前には国家衛生健康委員会の専門家グループが武漢に到着。そして午後1時頃、武漢市当局が新型肺炎に関する初の発表を行った。そのなかで同委員会は、医療機関が診察した肺炎患者の多くが華南海鮮市場と関係があるとし、その時点までに27人の患者が確認され、うち7人が重症。その他の患者の病状は安定しており、2人は近く退院する見込みだとしていた。
翌日の2020年1月1日午前8時、武漢市江漢区の市場監督管理局と衛生健康局の公印が押された休場の通達が、華南海鮮市場に張り出された。
同市場は漢口駅から700メートルほどしか離れていない市街地にあり、いつも多くの人々でにぎわっている。2003年頃に開業した後、商売が好調で2度にわたって拡張。現在までに敷地面積約3万平方メートル、総建築面積約5万平方メートル、テナント数が1000軒を超える大規模な卸売市場に発展した。
「われわれテナントの大部分は卸売りと小売りを兼営している。武漢と周辺都市の飲食店は大量の食材を華南海鮮市場から調達していて、休場になったら武漢の商売が立ち行かなくなるよ」。ある商店主は、現地を訪れた財新の記者にそう語った。
名称は“海鮮市場”だが、場内では家禽(かきん)類や野生動物などありとあらゆる食材が売られていた。休場前に財新記者が回ってみたところ、市場の外周に並ぶテナントの多くが水産物を販売する一方、野生動物を扱うテナントはいずれも場内の奥の目立たない場所にあった。
華南海鮮市場は東西2つの地区にわかれており、野生動物の販売店は西地区に集中していた。その西地区には全部で600以上の販売ブースがあり、1000人を超える人々が働いていた。
「休場の通達が出るまでヘビやキジ、サンショウウオ、ワニ、ノウサギなどがずっと売られていたよ。大部分は市場外で屠殺(とさつ)されていたが、生きた犬やヘビがその場で屠殺されることもあった」
ある商店主はそう証言し、さらにこう続けた。
「そのほうが、味がいいからさ。例えば(鮮度の落ちた)ヘビの肉にはいやな臭みが出る。野生動物を売る店ではみな屠殺する生き物を素手でつかみ、防護なんてしていなかった」
そのためだろう。新型肺炎の初期の患者は西地区のブースの関係者に集中していた。しかも市場の衛生状態は劣悪で、ブースの前の通路には汚水が垂れ流され、場内の風通しも悪かった。近所に暮らす市民の間からは、市場から出る大量のゴミや悪臭、食材を運ぶトラックの違法駐車などに対する(行政への)苦情が絶えなかったが、問題は放置されたままだった。
流行性疾患の専門家による華南海鮮市場への検査から、新型コロナウイルスは野生動物の取引と関係している疑いが濃厚になった。
1月26日、中国疾病予防管理センター(CDC)は、華南海鮮市場で採取された585のサンプルのうち33のサンプルから新型ウイルスの遺伝子を検出したと発表。陽性サンプルの採取地点は22の販売ブースと1台のゴミ収集車で、それらの9割以上が市場の西地区に集中していた。
中国CDCは翌27日、「2019年新型コロナウイルスの感染状況とリスク評価」と題した報告書を発表。感染現場からの遡及調査、ウイルスの遺伝子配列の比較、病状の経過観察、血清サンプル検査などの結果から推察して、新型コロナウイルスの由来は野生動物であるとの認識を示した。
その感染経路については、2019年12月初めに華南海鮮市場の何らかの野生動物からウイルスが漏出して市場を汚染し、それがヒトに感染、さらにヒトからヒトへの感染を引き起こした可能性があるとした


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1月21日夜、武漢駅でスクリーンを見上げる家族連れ(写真:財新)
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感染源は一つではない
ところが、華南海鮮市場が感染源であるとする結論に疑義を突きつけるデータが思わぬところから浮上した。イギリスの医学専門誌ランセットが1月24日付で掲載した論文のなかの1枚の図表がそれだ。
この論文は、新型肺炎の発生直後から治療に当たってきた武漢金銀潭病院の黄朝林副院長を筆頭著者とする医師グループが執筆し、2020年1月1日までに同病院が収容した41人の患者の病状を分析したもの。問題の図表によれば、最初の入院患者が発症したのは2019年12月1日だったが、この患者は華南海鮮市場に出入りしていなかったのだ。
その後、12月10日にかけて新たに3人が発症したが、うち2人は華南海鮮市場との接点がなかった。2020年1月1日までに金銀潭病院が治療に当たった41人のうち、華南海鮮市場に出入りしていたのは27人だけだった。
金銀潭病院は武漢市の救急医療センターでもあり、もともとは武漢伝染病病院、武漢結核病院、武漢第二結核病院が統合されて発足した。武漢市では唯一の、国家衛生健康委員会が指定する最高級ランクの感染症専門病院だ。その医師グループの論文だけに、いいかげんなデータではあり得ない。
筆頭著者の黄は、財新記者の取材に対してこう証言した。
「現在の総合的な発症状況から見て、(新型コロナウイルスの)感染源は華南海鮮市場だけではなく、複数ある」
ただし黄は、ウイルスの由来は野生動物である可能性が高いとの見方には同意している。
(文中敬称略、初出:
「財新週刊」2020年2月3日号)
BY

新型コロナウイルスの震源地である中国・武漢の路上で、年老いた男性が歩道に倒れて横たわったまま死んでいる──。中国の中部に位置する武漢市では約1,100万人が暮らしているが、中国政府は1月23日に同市を封鎖し、すべてのバスと列車、飛行機、フェリーの運行を停止した。
翌週に入ると、封鎖措置はこれまでアウトブレイク(集団感染)の影響をまともに受けてきた湖北省の複数の都市へと拡大された。いまでは湖北省全体で約4,500万人が隔離下に置かれている。

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しかし、封鎖が2週目に入ってもアウトブレイクは鈍化する気配を見せず、何千万人という中国人が隔離下での生活を余儀なくされている。以下に紹介する写真は、世界的な蔓延の中心地として孤立した都市・武漢の姿を垣間見せてくれる。

新型コロナウイルスの集団感染は、世界最大の人口移動でもある春節(旧正月)が迫るなかで発生した。1月23日の午前2時に隔離措置が発表され、隔離が発効する午前10時までに30万人を超える人々が列車で街を脱出したと、武漢の交通当局がソーシャルメディアに書き込んでいた。この投稿は、すでに削除されている。
それから3日後、中国政府は武漢中心部のすべての一般車両の走行を禁止した。中国共産党傘下の英字新聞『チャイナデイリー』によると、公共交通が停止したいま、政府は市民の足とするために6,000台のタクシーを組織したという。

警備員が立っている「華南海鮮市場」。新型コロナウイルスの最初の感染は、この海鮮市場から始まったと考えられている。海鮮市場はじめじめしており、魚や鶏などの動物がここで屠殺され、猫、犬、カメ、ヘビ、ネズミ、マーモットまでを含む生きた動物も販売されている。この疾患は、市場にいた生きた動物から始まり、それが人間に感染したとの説がある。
このウイルスの最初のいくつかの症例が世界保健機関(WHO)に報告されてからまもない1月1日、海鮮市場は検査と除染のために閉鎖された。しかし、ここはウイルスの唯一の感染源ではない可能性がある。
コロナウイルスに感染したことが最も早く確認されたのは2019年12月1日に具合が悪くなった患者だが、この患者は海鮮市場とは何のつながりもなかった。初期の症例のうち13人が、やはり海鮮市場とはつながりがないことは、初期の感染源あるいは別の感染源が存在する可能性を示している。

こうしたなか、新型コロナウイルスの感染患者を治療するための1,000床の病院を武漢に建設する作業が、1月24日に始まった。もともとは地元労働者のために計画された休暇施設の周囲に建設中のプレハブ式のこの病院は、2月5日に完成する予定である。
巨大な病院を短期間に建てた経験が、中国にはすでにある。2003年のSARSのアウトブレイクの際には、7,000人の作業員が北京郊外に新たな病院をわずか8日間で完成させた。この病院は2カ月の間に中国のSARS患者の7分の1を治療したという。

1月25日、武漢市紅十字会医院にやってきた患者を防護服を着た医療スタッフが治療している。中国で確認された1万人以上の症例のほとんどが湖北省で、このウイルスによる死者はこれまでのところ中国国内に限定されている[編註:のちに国外でも中国人の死者が確認された]。
実際の感染者数は、公式発表よりはるかに多い可能性がある。穏やかな症状しか出ていない多くの人は医療機関に報告しない可能性があるし、罹患していることにまったく気づいていない人もいるかもしれないからだ。
新型コロナウイルスの蔓延をモデル化している疫学者は、この1週間で症例は20万に達する可能性があると予測している。米国のノースイースタン大学による別の予測は、武漢市内の感染者数が25,000人になる可能性があるとしている。

WIREDは、アメリカで創刊された雑誌。 本国以外で、イギリス、イタリア、ドイツ、日本の4カ国で発行・発売されている。
日本の支援、相次ぎ報道 中国、道頓堀の垂れ幕も

2020年2月12日

道頓堀に掲げられた中国・武漢への応援フラッグ=8日午前、大阪市中央区(恵守乾撮影)
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中国共産党・政府系メディアは2月12日、大阪・ミナミの道頓堀商店会が新型肺炎に苦しむ中国の人々を励まそうと「がんばれ武漢」の垂れ幕を掲げたことを相次ぎ伝えた。中国では、マスクを送るなどの日本の支援が好意的に報じられている。習近平国家主席の訪日を見据えた当局による雰囲気づくりの可能性もある。 12日付の党機関紙、人民日報は「がんばれ武漢」と書かれた道頓堀の垂れ幕の写真を掲載し「日本の各界はさまざまな形で感染症と闘う中国を励ましている」と記した。 人民日報系の環球時報も同日、同じ写真を1面に掲載。自民党所属の国会議員が中国への支援金送付を決めたことも伝えた。国営通信新華社発行の新華毎日電訊は「(日本の支援に)中国の大衆は濃厚な善意を感じている」とした。
 4月に見込まれる習氏の国賓訪日を巡り、日中両政府は肺炎拡大後も予定通り準備を進める考えを示している。(共同)
武漢市4月8日、都市封鎖を76日ぶり解除 5万5千人が市外へ

湖北省
武漢市は4月8日午前0時
、1月23日から始まった都市封鎖が76日ぶりに解除された

市外に通じる幹線道路の通行が可能になり、中国各地に向かう飛行機や鉄道の運行も再開された。一部の市民や他の地方出身者は、封鎖措置の再発令を懸念し、次々と市を出ようとした。
今回の解除措置により、武漢から市外への移動が可能になったが、住宅地ごとの外出制限は継続される。
  武漢市江漢区出身の陳さんは、勤務先の江蘇省無錫市の会社に戻ろうとした。陳さんによると、8日午前0時前には、市外につながる高速道路の料金所ですでに多くの車が待っていたという。
  陳さんは「今のうちに早く武漢市を出たほうがいい。明日になったら、また違う措置が発令されるかもしれない。最近、(市内で)また感染者が出たから、封鎖措置が再び実施されるのではないかと皆が心配していて、武漢を離れようとしている」と大紀元に語った。
 また、陳さんは、江蘇省に着いたら、隔離される可能性があるが、「とりあえず、武漢から出れればいい」と話した。
  現在、内モンゴル自治区に在住している劉さんは1月、両親を訪ねるために武漢市に来たが、都市封鎖でそのまま滞在していた。
  劉さんは7日午後11時ごろ、高速道路の料金所で封鎖措置の解除を待っていた。「武漢市を出る時、市の職員は私の健康証明書をチェックしなかった。料金所で待っているとき、後ろに数百台の車があった」と述べた。
  「市は毎日のように内容の違う政策を公表しているから、また封鎖措置が出たら、もう耐えられなくなる。80日間ぐらいずっと家の中に閉じ込められたから。今出れるうちに出たほうがいい」
  劉さんは内モンゴル自治区の自宅に戻った後に隔離される可能性があるとしたが、「それでもいい。自分の家に戻れるのがうれしい」という。
  中国ポータルサイト「新浪網」8日付によれば、中国鉄道総公司武漢支社の統計では、封鎖措置解除後、武漢から276本の列車が上海や深セン市、成都などの各地に向かう。乗車券の販売状況から、約5万5000人の人が列車などを利用して、武漢市から広東省の広州市や深セン市に行くとみられ、当日の利用者全体の4割を占めるという。
 SNS上では、8日に武漢市から出る際、市の役人らが健康検査などを行わず、核酸検査の結果や勤務先の稼働再開証明書の提示を求めなかったとの情報が寄せられた。  
一方で、武漢市での中共肺炎(新型コロナウイルス感染症)の感染は収束していないとの声が出ている。市政府は6日、無症状の感染者が出たとして、市内70カ所の団地について、「感染者ゼロ団地」の認定を取り消したばかりだ。
  (大紀元:記者・顧暁華/凌雲、翻訳編集・張哲)
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ロシア・都市封鎖2020年3月29日~
ロシア、全国ロックダウン-新型コロナ感染拡大で

世界最大の国土を持つロシアが30日、新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けて全国的なロックダウンに近づいた。首都モスクワでは29日に住民の外出が原則禁止された。
 ミシュスチン首相はテレビ放送された副首相らとの会議で、国内全ての地方首長はモスクワとその周辺地域が発表したのと同様の制限を導入する必要があると主張。その後、プーチン大統領もそのような厳しい措置が「正当化される」と擁護した。
 1270万人のモスクワ市民は、緊急の場合など例外を除いて自宅待機を命じられた。ロシアの主要都市では、これまでで最も厳しい制限措置だ。国営通信社RIAノーボスチがモスクワの新型コロナ対策タスクフォースを引用して報じたところによると、外出制限は当初4月14日まで。
  公式統計では、ロシアの新型コロナ感染症例1836人のうち3分の2に当たる1226人をモスクワが占める。ソビャニン市長はウェブサイトで、モスクワの感染拡大は「新たな段階に入った」と警告した。
2020年3月30日
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【モスクワ=小川知世】ロシア政府は4月9日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1459人確認され、1万131人になったと発表した。2日から1週間で約3倍に増え、1万人を超えた。外出制限下でも感染拡大が続いているが、5月9日に予定する戦勝記念式典の延期は9日時点で決まっていない。政権は国威発揚に向けて開催の可能性を探るとみられる。
ロシアの感染者数は7日から1日1000人を超えるペースで増加が続き、7割弱がモスクワに集中する。死者数は76人。3月下旬から4月30日までを有給の「非労働日」として外出自粛を促しているが、拡大に歯止めがかかっていない。
5月の戦勝式典は第2次世界大戦の終戦から75年にあわせて外国首脳を招き、就任20年を迎えたプーチン大統領が内外に大国としての存在感を誇示する場になるとみられていた。ペスコフ大統領報道官は9日、延期は決まっておらず、外国首脳への招待も取り下げられていないとタス通信などに語った。
プーチン氏はすでに4月22日に予定した憲法改正法案の是非を問う全国投票の延期を決定した。感染者数の増加が続けば、戦勝式典についても規模縮小や延期などの判断を下す可能性がある。




2020年2月26日
韓国・隔離政策 2020年2月26日~

2020年2月25日、大邱のスーパーで並んでフェイスマスクを購入する人たち。
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JPモルガンのシナリオは、大邱市の住民約240万人のうち3%が一次感染者だと想定。2次感染率については中国でのウイルスの経験に基づいて推定した。J・J・パク氏らアナリストが24日のリポートで解説した。
新型ウイルスの世界への感染拡大は予想が難しかった。統計学者が中国やその他の国・地域でのピークの感染数を予測しようとしているが、各国が封じ込めや旅行制限の措置を取り、感染方法が十分に理解されていないことが予想をさらに困難にしている。
韓国では感染者数が1週間前のわずか51人からこれまでに1146人にまで増え、アジアでの感染の中心になっている。
「急激で大幅な感染者増加」から、韓国経済には一段の下振れリスクがあるとJPモルガンはみている。韓国中銀が2月中に0.25ポイントの利下げで政策金利を過去最低の1%とすることも見込んでいる。


2020年2月26日
新型コロナ、隔離拒否を懲役刑に 韓国で関連法成立
【ソウル=恩地洋介】新型コロナウイルスの感染者が急増する韓国の国会で26日、感染が疑われる人が隔離措置に応じない場合の罰則を強め、感染症発生国からの外国人の入国を禁止できる関連法が成立した。これ以上の感染拡大を阻止するため市民らの行動を法的に制限する。韓国政府は立法措置を通じ、流行初期の封じ込めの失敗を挽回し、社会不安の拡大と経済への打撃を最小限に抑える構えだ。
韓国政府は集団感染が起きた南部、大邱(テグ)の状況を4週間で安定させる目標も掲げた。
韓国政府によると、26日時点の韓国の感染者は前日から284人増えて計1261人。中国に次いで世界で2番目に多い。新たにモンゴル人男性らの死亡が確認され、新型コロナの死者は同日現在で計12人となった。
26日成立した改正感染症予防法は、感染症の疑いのある人が隔離措置に従わず他人と接触した場合などに1年以下の懲役または1千万ウォン(約90万円)以下の罰金を科す内容だ。流行期にマスクや消毒剤が不足する場合は、輸出制限を発動できる条項も盛り込まれた。
韓国の保健当局は感染者に症状が表れてから2メートル以内で接触した人に2週間の自宅隔離を勧告している。従えば4人世帯基準で123万ウォンの生活支援費が支給される。
改正検疫法には、保健福祉相が感染症発生国からの外国人入国を禁じるよう法相に要請できる条項が追加された。韓国政府は日本と同様、新型コロナの発生地である中国の湖北省に滞在歴のある外国人の入国を禁じたが、法的根拠が乏しく、ビザの効力停止や新規発給の取りやめで対応した。
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韓国では最大野党の未来統合党など保守勢力を中心に、中国人の入国禁止を求める声がなお強い。大統領府ホームページの国民請願掲示板では中国人の入国禁止を求める請願が76万件にのぼる。
国会が法整備を急いだのは、感染者が爆発的に増える非常事態に対応するためだ。新興宗教団体の教会で集団感染が起きた大邱では、9千人とされる信者らの行動履歴を把握し切れず、住民が不安を募らせている。韓国政府は丁世均(チョン・セギュン)首相を現地に常駐させ、接触者の隔離やほかの地域への拡散防止に尽力する。大邱の状況が安定するには少なくとも4週間が必要だと判断しており、その範囲で改善を目指す考えだ。
米JPモルガン・チェースが24日に公表した報告書は、韓国全体の感染状況のピークは3月20日で、その際の感染者数は1万人に達すると予測。韓国銀行(中央銀行)が2.3~2.4%と見込んでいる2020年の実質成長率を下げるリスクが高まったと指摘した。
韓国には15年に流行した中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)を巡る苦い経験がある。国内で186人が感染し、38人が死亡した。後手に回った政府の初期対応は批判にさらされ、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権の支持率が下がった。観光客の減少や消費活動の低迷で同年の実質成長率を0.3ポイント引き下げた。
韓国政府はこれを教訓に防疫や感染者管理に関係する機関の権限を定める法律を整えたが、それでも新型コロナの爆発的な感染拡大を抑えられなかった。
新型ウイルス経済支援、最も手厚い国はどこ?
2020年05月8日
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新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためのロックダウン(都市封鎖)が世界中で敷かれ、各国が緊急事態に陥っている。1930年代以来で最悪の景気後退が予想される中、その打撃を和らげようと大規模な経済支援を打ち出している。

国際通貨基金(IMF)によると、4月7日時点で、世界中の国々が合わせて4兆5000億ドル(約478兆9000億円)相当の緊急措置を承認している。この額は、その後数週間は増加傾向にある。

では、各国の経済支援を比較するとどうだろうか。

新たな財政支出

米コロンビア大学経済学部のセイハン・エルジン教授は、世界中の同僚と連携し、166カ国の対応を追跡してきた。エルジン教授の試算によると、最も積極的な対応のひとつが日本政府が打ち出した、同国の国内総生産(GDP)の約2割にあたる108兆円規模の政策パッケージだ(日本を上回っているのは、欧州連合の基金からの利益を受けるマルタのみ)。他国と比べると、アメリカはGDPの約14%、オーストラリアは同11%、カナダは同8.4%、イギリスは同5%、コロンビアは同1.5%、ガンビアは同0.6%にあたる救済支出を打ち出している。

新型コロナウイルスをめぐる経済政策パッケージの規模をGDPにおける割合でみた場合の上位20カ国
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しかし、中央銀行の対応など支出以外の手段を考慮すると、この順位は変わってくる。

例えば、欧州の主要国では、ロックダウンによる打撃を受けた事業者に対し、新たな融資を保証すると政府は約束している。これには、銀行の融資を維持し、破綻を回避する意味合いがある。

米中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)も同様の目的で融資計画に踏み込んでいる。

こういった対応を考慮すると、フランスが最上位となり、イギリスは47位から5位に浮上する。

エルジン教授によると、最大規模の支出がなされたのは、より裕福で歴史が長く、病床がより少ない国だったという。投資家が債権購入に意欲的で、低い借入コストの恩恵を受けるアメリカや日本などの国もまた、新たな財政支出を調達する上で有利な立場にあるという。

一方でエルジン氏は、支出規模が有効性に結びつくと勘違いしてはならないと指摘する。

「これらの政策パッケージに含まれるすべての異なる項目は、異なる乗数効果を生み出し、異なる結果を生み出す可能性がある」

IMFのパオロ・マウロ財政局副局長は、企業向けの救済措置は「先進国」でみられる傾向だと指摘する。マウロ氏によると、救済総額は膨大になる可能性はあるものの、多くの企業は計画通りに融資を返済できることから、このような救済プログラムは比較的リスクが低いという。

こうした中、一部の貧しい国では、準備を進めている対策を実行するには、国際機関やそのほかの援助者から資金を調達する必要がある。

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インドの救済策には、貧困層への米や豆類の配給も含まれる
世界中の救済計画の中には、現金振り込みなどのいくつかの戦略が見受けられる。多くの国では、貧困層や非公式経済部門で働く、ほかの救済プログラムでは援助を受けられない可能性が高い人、あるいは仕事が封鎖措置の影響を受けている人を対象としている。例えばカナダは、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)で収入が途絶えた人に対し、月々2000カナダドル(約15万2000円)を最長4カ月間支給している。一方コスタリカでは、失業者に対し月々220ドル(約2万3000円)の手当てが支給されている。アメリカや一部のアジア諸国では、より広範な対策を講じている。

年収9万9000ドル(約1050万円)以下のすべての米市民(全世帯の約9割と推定)は、成人1人あたり最大1200ドル(約12万7000円)が支給される。韓国では、所得が低い方から70%の世帯に対し、100万ウォン(約8万7000円)の小切手を送付している。
香港は今年2月、成人1人あたり1万香港ドル(約13万7000円)を支給すると発表した。日本では、住民基本台帳に記載されている全ての人を対象に、1人あたり10万円が、シンガポールでは600シンガポールドル(約4万5000円)が支給される。対照的に多くの欧州諸国では、増加するニーズに対応するため、1回限りの給付金ではなく、比較的強力な既存のセーフティーネット(安全網)プログラムに頼っている。
例えば、イギリスの「ユニバーサル・クレジット」制度(低所得者向け給付制度)がこれにあたる。「経済学者が何を自動安定装置(オートマティック・スタビライザー)と捉えるかの違いだ」と、IMFのマウロ氏は指摘する。「米国内では自由裁量的対応が非常に大きい。
しかし比較する際には、社会的セーフティーネットがより小さいため、米国では実際により多くのことを行う必要があることを考慮しなければならない」

新型ウイルス経済対策における国民1人あたりの給付金額(出典:経済協力開発機構)

賃金助成金

ほかの一般的な戦略は、ロックダウン措置の影響を受けている企業への賃金補助だ。企業が従業員の雇用を維持することで、規制解除後に経済がより早く回復することが期待されている。オランダは、最も手厚い計画を進めている国の1つだ。政府は、対象となる企業の賃金コストを最大90%補助すると約束している。
一方フランスでは、総賃金の84%を補助している。また、最低賃金で働く人については、賃金を最大100%補助するという。イギリスでは少なくとも3カ月間、一時帰休になった労働者の賃金の80%を、1人あたり月に最大2500ポンド(約32万9000円)までを、カナダでは賃金の75%を最大3カ月間補助するという。これらの多くの計画は、既存の「短期労働」プログラムに基づいている。こうしたプログラムがまだ普及していなかったアメリカでは、直接的な対応はあまり講じられておらず、事業貸し付けに6500億ドル(約69兆1500億円)以上が投じられている。この貸し付けは、企業側が従業員数を維持し、2カ月以内にその大半を賃金の支払いにあてれば返済する必要はない。
いわゆる給与保護プログラムは需要過多でひっ迫しており、論争の的にもなっている。中小企業のための救済として実施されている貸し付けのほとんどを大企業が奪っているとの批判が上がっている。
別の複数企業は、賃金以外の出費が企業の存続を脅かしているとして、賃金の支払いに焦点を当てたルールを批判している。一方で、低賃金の労働者については、新たに拡大された失業給付を受けるほうがいいかもしれないとしている。

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多くの救済対策では、非公式経済分野で働く人への支援に苦戦している

米ワシントンのシンクタンク「タックス・ファウンデーション」グローバルプロジェクトのダニエル・バン氏は、賃金助成金は、企業の閉鎖が短期間であれば意味があると指摘する。閉鎖期間が長引いて経済状況が大幅に変わるのであれば、あまり効果は期待できないという。「難しいのは、経済の停滞がどれくらい続くのかや、企業や家庭あるいは労働者がこの停滞を経てどのような立ち位置に置かれることになるのかがわからないことだ」
今のところ、手元に資金がある多くの国はやりすぎるくらいの方がいいと判断している。そして、それさえも十分かどうかを判断するには時期尚早だと、バン氏は指摘する。

(英語記事 Which country has the most generous bailout?

  <関連記事>
2020.7.05(日) 【解説】 なぜ日本では新型コロナウイルスの死者が不思議なほど少ないのか 
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日本はなぜ、新型コロナウイルスの感染症COVID-19の死者がそれほど多くないのか? 
 縁起でもない疑問だが、「日本人のマナーが理由だ」、「免疫力が強いからだ」など、諸説が生まれている。
日本のCOVID-19による死亡率は、アジアで最も低いわけではない。韓国、台湾、香港、ヴェトナムはいずれも、日本より死亡率が低い。
それでも、日本の2020年1~3月の死者数は、平年同期より少なかった。一方、4月は東京で1000人近くの「超過死亡」が出たが、これはCOVID-19が原因の可能性がある。それでも今年を全体でみると、昨年より死者が少なくなるかもしれない。
このことは、COVID-19に対する弱点ともいえる条件を日本がいくつも抱えながら、近隣諸国のような厳しい新型ウイルス対策はついに実施しなかったことを思えば、かなり驚かされる。
■日本で何が起きた?
中国・武漢で流行がピークを迎え、同市内の病院はあふれ返り、各国が中国からの渡航者の入国を拒否していた2月、日本は国境をずっと開いていた。
新型ウイルスが広まるにつれ、COVID-19の様々な特徴が明らかになっていった。主に高齢者の命を奪うこと、人ごみや長時間の濃厚接触で感染リスクが大幅に上がることなどだ。それに照らすと、日本は人口に占める高齢者の割合が世界一高い。
また、大都市の人口密度も高い。東京圏の人口は実に3700万人にも上り、その大多数にとっての主な移動手段といえば、恐ろしいほどの過密状態で有名な電車だ。
加えて日本は、「1にも2にも検査」という世界保健機関(WHO)の助言に聞く耳を持たなかった。PCR検査を受けたのは、今になってもわずか34万8000人ほどで、人口の0.27%でしかない。
さらに日本は、欧州のような規模の厳密なロックダウン(都市封鎖)を実施してこなかった。政府は4月上旬、緊急事態宣言を出した。しかし、自宅待機の要請は任意だった。生活に不可欠とはいえない商店は閉じるよう言われたが、拒否しても法的な罰はなかった。
これまでCOVID-19対応のお手本とされてきたニュージーランドやヴェトナムなどは、国境封鎖や厳しいロックダウン、大規模な検査、厳格な隔離といった強硬手段を取ってきた。しかし、日本はそのどれも行っていない。
それでも、国内初のCOVID-19患者が報告されてから5カ月がたち、日本で確認された感染者は2万人に満たず、死者は1000人を下回っている。緊急事態宣言は解除され、生活は足早に平常に戻りつつある。
日本がCOVID-19の拡大を(少なくともこれまでは)本当に抑え込んだことを示す科学的証拠は、次々と積みあがっている。
ソフトバンクが社員4万人に抗体検査を実施したところ、新型ウイルスにさらされたのは0.24%だけだった。東京都と近隣2県の計8000人を無作為に抽出した抗体検査では、割合はさらに小さかった。東京都の陽性率はわずか0.1%だった。
安倍晋三首相は5月下旬に緊急事態宣言の解除を発表した際、誇らしげに「日本モデル」について語り、諸外国は日本から学ぶべきだとほのめかした。
■日本はどうやったのか?
麻生太郎副総理によれば、詰まるところ、日本人の「優れた性質」ということになる。麻生氏は今や散々に批判されている発言の中で、外国の指導者らから日本の成功について説明を求められたことについて、次のように述べた。
「そういった人たちの質問には、おたくとは、うちの国とは国民の民度のレベルが違うんだと言ってやると、みんな絶句して黙るんですけども」「民度」を「cultural level(文化レベル)」とした英訳もあったが、文字通りに訳せば「people's level(民衆のレベル)」(になる。これは、日本の帝国時代にさかのぼる概念で、人種的優越感や文化的優越主義を感じさせる言葉だ。
麻生氏はこの言葉を使ったことで強く非難された。だが多くの日本人と、多少の科学者らが、日本はどこか違うと考えているのは間違いない。いわゆる「X因子(ファクターX)」が、国民をCOVID-19から守っているのだと。
あいさつの時にハグやキスをしないなど、日本にはもともと社会的距離の維持が習慣として社会に組み込まれていることも、関係するのかもしれない。しかしそれが答えだとは誰も思っていない。
■日本は特別な免疫があるのか?
東京大学の児玉龍彦名誉教授は、日本人が以前にCOVIDにかかっていたのではないかと考えている。COVID-19ではなく、それに似た何かが国民に「歴史的免疫」を植え付けたというのだ。児玉氏は、日本の患者らが新型ウイルスにどう反応するかを研究し、この結論に至った。教授の説明はこうだ。人体にウイルスが入ると、免疫機能が働き、侵入した病原体を攻撃する抗体を作り出す。抗体にはIGMとIGGという2種類がある。これらがどう反応するかで、同じウイルスか非常に似たウイルスに感染したことがあるかがわかる。
「ウイルスに最初に感染したときは、たいていIGMが先に反応する」と児玉氏は言う。「それからIGGの反応が見られる。しかし、2回目の感染ではリンパ球がすでに記憶していて、IGGの反応だけが急に増える」。
では、検査で陽性と判定された日本人のCOVID-19患者は、何があったのか? 
「検査結果にはとても驚いた。検査にミスがあったのではないかと思った。すべての患者でIGGの反応が素早く現れ、IGMの反応は遅れて出た。しかも弱かった。まるで以前に、非常に似たウイルスにさらされたことがあるようだった」
児玉氏はSARSに似たウイルスがかつて、東アジアの一部で広がった可能性があると考えている。そしてそれが、日本のみならず中国の大部分と韓国、台湾、香港、東南アジアで、死亡率が低い理由かもしれないと話す。
しかし、この主張を疑問視する専門家も複数いる。
「どうしたらそういうウイルスがアジア限定のものになるのか」と、英キングス・コレッジ・ロンドン公衆衛生研究所長の渋谷健司教授は言う。渋谷氏は、免疫やCOVIDに対する遺伝的感受性に地域的な違いがある可能性を排除はしない。だが、死亡率の大きな差を「X因子」で説明できるかというと、これは疑問視している。
COVID-19との戦いで成功している各国はいずれも、かつて別の感染症を劇的に減らすことに成功した経験がある。それが原因だと、渋谷氏は考えている。
日本人は100年以上前の1919年、インフルエンザのパンデミック(世界的流行)でマスクを着け始め、それ以来、マスクを着ける習慣が定着した。せきや風邪の症状が出たら、周囲の人にうつさないようマスクをするのが、日本では当たり前となっている。「マスクは物理的なバリアの役割を果たしていると思う。それと同時に、『みんな気をつけましょう』とお互いに注意喚起する効果もある」。インフルエンザの専門家で香港大学公共衛生学院の福田敬二院長はこう言う。
日本の追跡システムも、結核の流行と格闘した1950年代までさかのぼる。政府は全国的な保健所のネットワークを構築し、新たな感染症の発見と厚生省(現厚生労働省)への報告体制を整えた。地域での伝染が疑われた場合は専門家チームを派遣し、接触者を徹底的に追跡し隔離することで感染症に対応している。
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■「3密」を早期に警戒
日本は流行初期に、2つの重要なパターンを発見した。
京都大学医療疫学分野研究員で、厚労省クラスター対策班のメンバーでもある神代和明医師によると、COVID-19の発症の3割以上が、同じような場所で起きていることが判明したのだ。
「データは多くの感染者が、ライブハウスを訪れていたと示していた。大声で叫んだり歌ったりする場所だ。そのため、そうした場所は避ける必要があると分かっていた」対策班は、「カラオケボックスで歌うこと、パーティー、クラブで騒ぐこと、バーでの会話、スポーツジムでの運動」など、「接近環境での激しい息遣い」をハイリスクの行動と特定した。
対策班はさらに、感染拡大はウイルス保持者のうちのごく一部が原因となっていることを突き止めた。
初期の研究で、SARS Covid-2に感染した人の8割近くが他人に感染させていないものの、2割は感染力が高いことが判明した。
こうした発見が、政府による「3密」回避の呼びかけにつながった。「3密」とは「換気の悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」、「間近で会話や発声をする密接場面」のことだ。
「ただ家にとどまるように伝えるより、おそらく効果的だったと思う」と神代氏は言う。
高リスクといえば職場も高リスクだが、これは回避対象に含まれなかった。それでも「3密」キャンペーンは感染拡大のペースを遅らせ、ロックダウンを回避させると期待された。感染が少なければ死者も少ないはずだと。
そして実際、しばらくはうまくいった。しかし、3月中旬になると、東京で感染者が急増した。ミラノやロンドン、ニューヨークなどと同じように、東京でも感染者が指数関数的に増えるかと思われた。
この時点で、日本は賢く行動した。あるいは運が良かった。そのどちらだったのかは、まだ明らかではない。
■すべてはタイミング
渋谷教授は、日本に学べることは、他の場所から学べるものとさほど変わらないと考えている。「大事なのはタイミング。それが自分にとっての学びだった」と教授は言う。
安倍首相は4月7日、強制力のない緊急事態宣言を発令。「できるだけ」家にとどまるよう国民に呼びかけた。
「この対策が遅れれば、ニューヨークやロンドンと似た状況になっていたかもしれない。(日本の)死亡率は低い。米コロンビア大学の最近の研究は、ニューヨークがロックダウンを2週間早く実施していたら、何万人もの命を救えたはずだと示唆している」と渋谷氏は話す。
米疾病対策センター(CDC)は最近の報告書で、心臓病や肥満、糖尿病などの基礎疾患がある人がCOVID-19にかかると、入院する確率は6倍、死亡する確率は12倍高くなるとした。
日本は先進国の中で、冠動脈性心疾患と肥満の人口比が最も低い。しかし科学者らは、こらですべてを説明できるわけではないと強調する。
「そうした身体的な違いは、ある程度影響するかもしれない。しかし、それ以外の面がもっと大事だと思う。目に見えるどんな現象も、簡単には説明できないと、私たちはCOVID-19から学んだ。最終的な結果には多くの要因が絡んでいる」と、香港大学の福田教授は言う。
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■政府の要請を国民が聞き入れた
安倍首相の「日本モデル」自慢に話を戻すと、そこから学べることは何かあるのだろうか?  
日本が封鎖も外出禁止もせず、今のところ感染者数と死者数を少なく抑えている事実は、他の国が進むべき道を示しているのだろうか? 
答えはイエスであり、ノーでもある。
日本の成功を説明できる「X因子」は存在しない。日本にとって大事なことは、他の国にとっても同じ。いかに伝染の連鎖を断ち切るかだ。
政府の呼びかけは命令ではなかったが、日本の人たちはもっぱら外出を控えた。
「運が良かったと同時に、意外だった」と渋谷氏は言う。「日本の緩やかなロックダウンは、本当のロックダウンと同じ効果があったようだ。日本人は厳格な措置がなくても、ちゃんと従った」
「感染者と非感染者の接触をどうすれば減らせるのか?」と福田教授は問いかける。「社会全体が一定の反応をする必要がある。しかし、日本の人たちによる今回の反応を、他の国が再現するのはなかなか難しそうだ」
日本政府は住民に対して、細心の注意を払い、混雑した場所に近寄らないこと、マスクをすること、手を洗うことなどを求めてきた。
そして日本ではほとんどの人が、その通りに行動してきたのだ。
(英語記事 Coronavirus: Japan's mysteriously low virus death rate
ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBCニュース東京特派員
2020.5.31(日) 海外から注目“不思議な日本”のコロナ対策 デーブ・スペクター氏の目にはどう映ったか
フジテレビ系列のニュースメディア「FNNプライムオンライン」は5月26日、「『大声上げない』“成功のカギ”!? 
海外で注目『日本モデル』」の記事を配信した。  ********************

  安倍晋三首相(65)は前日の25日、緊急事態宣言の解除を表明した際、次のように“自画自賛”した。
記事から引用させていただく。


《安倍首相「日本の感染症への対応は、世界において卓越した模範である。まさに日本モデルの力を示したと思います」》  
FNNプライムオンラインは、この発言が《世界各国でも伝えられた》とし、ワシントン・ポストの記事と、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長(55)の発言を紹介した。
《ワシントン・ポスト紙は、「日本のアプローチは独特で、政府の命令や制裁よりも、要請・合意・社会的圧力によって封じ込めた」と論評している。 そのうえで、「日本社会は、大声を上げたり、過剰な感情表現や身体接触をしない傾向があり、今後、さらにそうした習慣が加速するかもしれないが、それは、より安全になるということだ」とも解説している》 《WHOのテドロス事務局長も、死者数を最小限に抑え、新型コロナウイルスの感染拡大防止に成功したと日本を評価。 そのうえで、WHO・テドロス事務局長は「日本は成功したが、引き続き、感染の特定や追跡、治療や隔離を続けていくだろう」と述べた》 “手のひら返し”と思う方もおられるのではないだろうか。これまで欧米のメディアやWHOは、日本のコロナ対策を“生ぬるい”と批判的な文脈で報じることが多かったからだ。  
欧米メディアやWHOは“変心”したのか。もしそうなら、どのような背景があるのか、海外の報道に詳しいデーブ・スペクター氏に訊いた。 「結論を先に言えば、『結果が全て』ということでしょう。欧米諸国や中国、韓国などに比べ、日本はPCR検査を実施した件数が少ないことは事実だと思います。そのため感染者の数については、常に疑問視されてきました。しかしながら、死者数は極めて少ない。そのことが欧米メディアやWHOの注目を集めている背景だと思います」もちろん、新型コロナウイルスが直接の死因となった、全ての日本人を把握できているわけではないだろう。必ず“取りこぼし”は、あるはずだ。  
とはいえ、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の公式サイトによると、5月29日18時30分現在、アメリカの死者数が10万1627人なのに対し、日本は881人と桁が全く違う。 「欧米メディアから見れば、日本は“不思議の国”です。都市封鎖に代表されるような、強力な措置を全く講じなかったのに、死者数が少ない。その原因を知りたくてたまらない。なのでワシントン・ポストだけでなく、多くの海外メディアが『日本人はハグをしないからだろう』、『日本人が清潔好きだからだろう』、『日本は土足厳禁だからだろう』などの推測を報じているわけです」
(同・デーブ氏)

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欧米でも日本が“手本”に




デーブ氏は「基本的に、欧米メディアが列挙したポイントの全てを、要因と考えていいのではないでしょうか」と言う。日本人の生活様式そのものに死者数が少ない鍵がある、というわけだ。 「その中でも、特筆すべきは2点あると思います。まず1点目は、日本人の忍耐強い国民性です。ここで思い出すのは、『忠臣蔵』です。主君の無念を晴らすため、赤穂浪士は我慢に我慢を重ねます。あれをアメリカ人にやれと言っても無理でしょう。高額な罰金を科して外出を禁止しても、アメリカではロックダウン反対のデモが起きます。経済に大打撃を受けても、我慢して自粛を続けた日本人と対照的だと言わざるを得ません」  2点目としてデーブ氏は、日本ではマスクの着用が日常化していることを挙げる。裏を返せば、それほど欧米社会でマスクは一般的なものではなかったのだ。 「そもそもアメリカでは当初、『マスクは必要ない』が公式見解でした。その後、アメリカの疾病予防管理センター(CDC)などが『感染防止に有効』と改めます。最も感染拡大がひどかったニューヨーク州では、医療現場で“命の選別”が起きるなど、大変にシビアな状況を経験しました。その結果としてマスクを着けることが普通になったのです。それでもマンハッタンで多くの人がマスクで顔を隠しているニュース映像を見ると、『ニューヨーカーが全員、コンビニ強盗になった』ような衝撃を受けます」  一方でドナルド・トランプ大統領(73)はマスクの必要性を認めながらも、「自分はしない」、「記者の前ではしない」などと拒否の姿勢を鮮明にしている。これに賛意を示すアメリカ人も決して少なくない。
 デーブ氏は「トランプさんは顔のメイクが落ちるのが嫌でマスクをしないんでしょう」と笑い飛ばした上で、「日本人のようにマスク着用や自粛ムードで足並みを揃えることが、やはりアメリカ人は苦手です」と指摘する。 「アメリカは広いので、感染者数が極めて少ない州も存在します。州によって温度差もあるのは事実です。それでも共和党支持者が多い州はマスクの着用率が低く、民主党支持者の多い州では着用率が高いという調査結果も出ています。日本人のように国民が一丸となって新型コロナ対策を粛々と行うということは、やはりアメリカ人には難しいのでしょう。日本語に『馬鹿につける薬はない』という表現がありますが、今のアメリカの状況は『馬鹿につけるワクチンはない』と言ったところでしょうか」さらに日本人が新型コロナ対策で団結した要因として、「ダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大を間近で見たことも大きいでしょう」と指摘する。 「世界中が新型コロナウイルスを『中国の問題』と受け止めていた時に、横浜港に停泊した豪華客船で感染拡大が発生し、それを日本人は逐一、報道で把握しました。残念ながら大きな被害が出ましたが、専門家は貴重な知見やデータを得ました。何より日本人が“国内問題”として新型コロナウイルスの恐ろしさを認識したわけです。これは不幸中の幸いだったと言っていいのではないでしょうか」  日本の感染状況がメディアを通じて世界中に知られるにつれ、デーブ氏は「欧米と日本の“相違点”が減少していく」と予測する。 「アメリカでさえ、マスクの着用率が飛躍的に上昇し、人々は“ソーシャルディスタンシング”でお互いの間隔を確保し、飲食店でも感染防止に力を入れています。これはアメリカのコロナ対策で“日本化”が進んだ結果だと思います。でも、安倍首相が誇らしげに語るほど、行政は“日本モデル”を実施したでしょうか。それこそ当の日本人が疑問視しているはずです。アベノマスクにしても、届かない10万円にしても、日本人は国に怒っています。その一方で、日本人は一丸となって“日本モデル”を日常生活で実施しました。そこに欧米メディアは注目しているのだと思います」
週刊新潮WEB取材班 2020年5月31日 掲載
2020.5.29(金)

海外メディアが絶賛の「日本モデル」成功の鍵は何か

「ファクターX」の解明は日本の使命   (池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
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新型コロナの緊急事態宣言が解除された。
かつて海外メディアは「日本の新型コロナ対策は生ぬるい」とか「このままでは東京はニューヨークのような地獄になる」などと安倍政権を批判していたが、このニュースでは論調が一転している。 何といっても、日本の被害が圧倒的に少ないからだ。学校で出来の悪そうな子が1番の成績を取ったようなもので、最初は「そのうちだめになる」とか「数字をごまかしている」と言っていた海外メディアも、最近は素直に成績のよさを認め、その原因をさぐるようになった。

日本の死亡率はなぜイギリスの1/100なのか
イギリスのフィナンシャル・タイムズ(FT)は「安倍首相は日本モデルでコロナを撃退したと勝利宣言した」と日本の成果を称えた。FTの図でみると、こんな感じだ。
図1 新型コロナの累計死者数(対数目盛・人)、出所:フィナンシャル・タイムズ(FT)

注意していただきたいのは、これが対数目盛だということである。アメリカの死者は9万2000人、イギリスの死者は3万7000人だが、日本は830人。人口比でみると、イギリスの死亡率は日本の100倍以上である。普通のグラフでは、日本の数字は横軸に埋もれて見えない。
 BBCは「ロックダウンを実施する法的強制力が政府にない中、日本が新型ウイルスの感染拡大を抑制できたことについて、多くの感染症の専門家は不思議がっている」と論評した。

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 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこうコメントした。 日本の感染・死亡率の低さをどの程度、政府の功績と認めるべきかは議論の余地がある。政府当局者は、マスク着用の高まりと定期的な手洗いなどの良好な個人衛生が中心的な役割を果たした可能性があると述べた。日本の8つの大学の医学研究者のグループは、西洋人と比較した日本人や他のアジア人の遺伝的な違いが東アジアとヨーロッパの違いを説明するのに役立つかどうか調べている。 この大きな死亡率の差は、政策の違いだけでは説明できない。日本の自粛は法的拘束力がなく、西欧のロックダウンよりはるかにゆるやかだった。WSJは遺伝的要因を示唆しているが、これはどうだろうか。

遺伝でも獲得免疫でもない「ファクターX」
次の図はイギリスの財政研究所(IFS)が人種別のコロナ死亡率を比較したものだが、国民の80%を占める「イギリス系白人」を基準にすると、アジア系の死亡率はやや高い。

 中国系(遺伝的には日本人とほぼ同じ)の死亡率は白人の半分ぐらいだが、これだけで100倍の差は説明できない。黒人の死亡率が高い原因には所得の影響もあるので、遺伝的な要因だけで日本の成功を説明することはできない。
 では海外にいる日本人の死亡率はどうだろうか。外務省の発表によると、海外に滞在している日本国籍の人のうち、93人が新型コロナに感染し、うち7人が死亡した。 これがすべてだとすると、在外邦人は約140万人なので、死亡率は20万人に1人で、日本国内の15万人に1人という死亡率とほぼ同じだ。つまり日本人の死亡率の低さは日本生まれではなく日本育ちだという要因があるものと思われる。
 よくいわれるのが、他の種類のコロナウイルスに対して日本人がすでにもっていた抗体の交差反応(遺伝子配列の近いウイルスに対する免疫反応)ではないかという説だ。これは2009年の新型インフルエンザの感染が日本で少なかった原因とされるが、具体的にどういう抗体かはわからない。 もう1つは、東アジアには昔から中国系コロナウイルスが入っていたため、抗体の中にそれに対する免疫があり、その免疫記憶が機能したのではないかという説だ。これは児玉龍彦氏らのグループが発表したものだ。
 もし日本に感染で抗体を獲得した人が多いとすれば、その原因は獲得免疫だということになるが、これは児玉氏のグループが行った抗体検査で否定されている。500検体のうち陽性は3人。抗体陽性率は0.6%である。 消去法で考えると、遺伝でもなく獲得免疫でもない未知の要因がきいたと推定するしかない。これが山中伸弥氏のいうファクターXである。

予防接種をやめた先進国の感染率が高い

最後に残るのが、BCG接種で自然免疫(呼吸器疾患に対する非特異的な免疫)が活性化されたためではないかという説だ。国別にみたBCG接種率と新型コロナ死亡率には強い相関があり、肯定的な論文(査読前)が全世界で20本以上出ている。 
ただ因果関係はわからないので、オーストラリアやオランダなどでBCGの臨床試験が始まっている。今のところこれがもっとも有力な仮説だが、他の要因も寄与している可能性がある。100倍の差は、1つの要因では説明できない。 結核感染率と新型コロナ感染率の逆相関も強い。これは検査が少ないという原因も考えられるが、結核に感染した人は呼吸器疾患に対する自然免疫が強化されたためと考えることもできる。 図1のように西欧と北米以外の多くの国では死亡率は低い(10万人に1人以下)ので、これはむしろ西欧圏に特有の脆弱性と考えたほうがいい。これは常識とは逆である。

 今までの感染症は公衆衛生の遅れている発展途上国で多く、今回もWHO(世界保健機関)はアフリカの被害が増えることを警告しているが、大陸別ではアフリカの死亡率がもっとも低い。これは結核やマラリアなど、もっと深刻な感染症で自然免疫が高まっているためと考えられる。 他方コロナ死亡率の高い国の共通点は、公衆衛生が整備されて予防接種の義務化をやめたということである。従来の公衆衛生では、病原菌や寄生虫を駆逐して環境を清潔にすることが目的だったので、病原菌がいなくなると予防接種は必要なくなる。 医療が発達して病気が薬で治療できるようになると「反ワクチン派」が増え、予防接種を個人の選択にゆだねるようになる。こういうリベラルな民主国家に、新型コロナの被害は集中しているのだ。
それに対して途上国では公衆衛生も治療も不十分なので、政府が一律に予防接種することが安上がりだ。日本は先進国の中では例外的に途上国型の医療制度を維持している。国民皆保険という制度は、世界にもほとんどない。 このような制度的要因も含めた「ファクターX」を解明することは重要だ。それは今年の秋にも予想される「第2波」に備える対策として必要なだけでなく、「意図せざる成功」の原因を世界に伝えることは日本の使命である。

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世界がいよいよ首を傾げる…日本が「ヌルい対策」なのに被害が少ないワケ
5/22(金) 6:31配信   現代ビジネス
日本の謎

 今、世界は、
日本の感染者数や死者数が異常に少ないことに首を傾げている
例えば、米外交政策専門誌「フォーリン・ポリシー」はこんな論調だ。

「新型コロナとの闘いで、日本のしていることはすべて間違っているように見える。人口における検査率はたったの0.185%で、社会的距離戦略も中途半端にしか行われていないし、日本人の大多数が政府の対応を批判している。しかし、死亡率は世界の中でも最も少なく、病院は崩壊の危機を回避している。感染者数も減少しており、万事が変にうまくいっているように見える」
 さらに、中国人旅行者が多く、新型コロナの致死的な影響を受ける高齢者が世界的に多い社会であるにもかかわらず奇跡的に感染者数が少ないこと、実際の死者数は過小評価されている可能性はあるものの肺炎による死亡者が増加していない状況について、「日本がただラッキーなだけなのか、それとも、いい政策だからなのかわからない」と不思議がる。
AFP通信も日本の感染者数や死者数の少なさについて「Japan Puzzle(日本の謎)」と指摘している。
そんな「日本の謎」については様々な議論がされてきた。検査数が世界的にも少ないから(実態が把握できていない)という声や、クラスター対策が奏功しているという声、BCGワクチンの影響という声もある。
では実際、どれだけ日本の感染者数や死者数は少ないのか? 

検査数自体が他国と比較にならないほど少ないので、
これまでの総検査数における総感染者数を算出して比較してみると以下のようになる。---------
   日本:24万368件中、陽性は1万6237件=6.8%
   アメリカ:1168万691件中、陽性は152万2149件=13%
   イタリア:300万4960件中、陽性は22万5435件=7.5%
   スペイン:303万7840件中、陽性は27万7719件=9.1%
   シンガポール:24万6254件中、陽性は2万8038件=11.4%
   韓国:74万7653件中、陽性は1万1050件=1.5%
----------


 日本は韓国よりははるかに陽性率が高いものの、総検査数が24万件台とほぼ同数のシンガポールよりははるかに陽性率が低く、アメリカと比べれば2分の1近い。人口100万人あたりの死亡数を見てみると、
日本6人、韓国5人、シンガポール4人、アメリカ275人、スペイン591人、イタリア528人と、アジアの新型コロナ対策優等国よりは多いものの、欧米よりははるかに少ない。








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ロスのビーチ、驚きの光景
 しかし、この少なさは案外、謎でもなんでもないのかもしれない。
 そう実感したのは、ロックダウンの緩和に伴い、約50日ぶりに解放されたロサンゼルスのサンタモニカ・ビーチを歩いた時だ。
 5月13日、ロサンゼルスではビーチが解放された。もっとも、解放されたといっても、ビーチでの過ごし方は制限されている。水泳やサーフィン、散歩やジョギングなどのアクティビティをすることは許可されているが、サイクリングやピクニック、日光浴、ビーチバレーなどをすることは禁じられているからだ。先日、隣接するオレンジ郡で解放されたビーチに人々が殺到し、社会的距離が保てなくなる問題が生じたからだろう。
さて、解放されたビーチはどんな様子なのか。時々散歩していたサンタモニカ・ビーチを歩き、唖然とした。
なんと、多くの人がマスクをしていない! 
ロサンゼルスでは、5月15日、屋外でのマスク着用(バンダナなどでのフェイス・カバーも可)を義務づける「マスク着用令」が出たばかり。ビーチもマスク姿の人ばかりと思いきや、予想外の光景だった。
マスクについては、ロサンゼルスはすでに、スーパーでは客も従業員もマスクを着用するよう義務化していたが、屋外では着用を推奨するに留めていた。今回、屋外でのマスク着用を義務化した背景には感染者数や死者数が増加しているというロサンゼルスの実態がある。
ロサンゼルス市が中心となっている大都市圏ロサンゼルス郡の人口は約1000万人とアメリカの自治体の中では最大。そのうち感染者数は、カリフォルニア州の感染者数7万8725人の半数近くを占める3万7360人だ。この数は、アメリカの全自治体の中では、ニューヨーク州ニューヨーク市、イリノイ州クック郡、ニューヨーク州ナッソー郡、ニューヨーク州サフォーク郡に次いで5番目に多い(ジョン・ホプキンス大学の米国時間5月16日19時11分時点での集計)。
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感染者は着実に増えている
また、アメリカ全体では毎日の新たな感染者数は減少しており、感染の中心となったニューヨーク州でも減少しているが、ロサンゼルスでは新たな感染者数が毎日1000人前後のペースで着実に増加している。
増加の背景には、検査規模の拡大がある。
当初、ロサンゼルスは、症状がある65歳以上の市民や症状があり基礎疾患を抱えている市民、感染者と接したために隔離期間中にある市民を優先的に検査していたが、この制限を取り去り、症状のある人々なら誰でも検査を受けることができるよう検査対象を拡大、さらに4月30日からは、症状のない人でも無料で検査を受けることができるようになった。
つまり、アメリカでは初めて、誰でも検査が受けられる体制にしたのだ。新型コロナでは、無症状感染者が25~50%と多数いると報告されているが、そんな無症状感染者が外出規制の緩和とともに屋外に出て、知らず知らず、他の人に感染させる可能性がある。マスク着用の義務化には、そんな可能性を低減させようとする狙いがある。
マスク着用義務について、ロサンゼルス郡保健局ディレクターのバーバラ・フェラー博士は厳しく訴えている。
「自宅の外で、家族以外の人々と接触する場合、マスク着用は義務となりました。1人でランニングしたり、散歩をしたりしている時も、マスクをつける必要があります。外に出て、周りに他の人がいる時は、そこがハイキングコースであっても、駐車場であっても、歩道であっても、フェイスカバーをつけて下さい」
ロサンゼルス郡はビーチでは、水中以外では常にマスクをして6フィート(約1.8m)のソーシャル・ディスタンスを保ち、ビーチでの活動が終わったら、帰宅するよう求めている。
 規制緩和により屋外での活動を許すかわりに、屋外ではマスクを着用するよう取り決めたのだ。アンジェリーノ(=ロサンゼルスっ子たち)は、マスク着用と引き換えに、例えば、ビーチで活動する自由を手に入れたとも言える。
注意書きもあるのに…
 しかし、実際、ビーチのバイクロードを歩いてみると、義務化されたにもかかわらず、マスクをつけている人は、5割にも満たない印象を受けた。ビーチ入り口には、マスク着用や社会的距離を開けるよう警告する看板も立てられている。
 しかしそれでも、ウォーキングする中、マスクをしていないたくさんの人々に出くわした。中には、社会的距離もあけることなく大声でしゃべりながら禁止されているサイクリングをしていた4~5人の青年グループもいた。彼らがそばを通り過ぎる際に、唾液が風にのって飛んでくるのではないかと心配になった。
 マスクをしていてはジョギングやサイクリングをする際に呼吸しにくくなるし、暑くもなるからか、鼻は出して口部分だけ覆ったり、顎のところに引っ掛けたりする形で中途半端に身につけている人も目についた。
 彼らは新型コロナ危機という“ニュー・ノーマル”に慣れっこになってしまったかのように見える。
 そんなアンジェリーノを見て思った。
 やっぱりマスク、なのではないか? .
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日米の凄まじいギャップ
 筆者は3月初め、マスク姿の人ばかり目にしていた日本からアメリカに戻ったが、あまりの違いに驚かされた。そこでは、マスクをしていては気がひける空気が漂っていた。筆者もそんな空気の中、3月19日にカリフォルニア州で「外出禁止令」が出されるまでは、日本から持ち帰ったマスクをつけなかった。
 日本では、新型コロナが注目され始めた1月半ば頃から、自発的にマスクを身につけていた人が多かった。この間、テレビをつければ、どのチャンネルでもマスク着用の重要性と正しい着用方法がこれでもかこれでもかというほど解説されていた。こういう時、口を揃えて同じ警告を発する日本の横並び主義は有効なのかもしれない。日本は早期から、マスク着用による感染予防意識が高められていたと言える。
 一方、ロサンゼルスでは5月15日に「マスク着用令」が出されて義務化されたばかり。つまり、日本はマスク着用という点で、初期対応がアメリカより4ヶ月も早かったのである。この大きなタイムラグが、日米で感染者数、死者数に大きな差がある要因の1つになっているのではないか。
 ちなみに、シンガポールも4月半ばまで外出時のマスク着用が義務づけられなかった。実際、筆者が同地を訪ねた2月半ばは、市中にはマスクをつけている人があまり見られなかった。前述したように、現在、日本とシンガポールは総検査件数はほぼ同じくらいだが、陽性率はシンガポールの方がはるかに高い。
 比較までに、外出時のマスク着用は、米ニューヨーク州では4月17日、イタリアでは5月4日、スペインでは5月20日にそれぞれ義務化された。マスク着用における日本とのタイムラグを考えると、これらの地域で膨大な数の感染者や死者が出たのも、語弊はあるが、無理からぬ気がする。
 現在の着用状況も、日米で大きな差があると思われる。日本では、多くの人々が今も自発的にマスクをつけ続けていることだろう。一方、ロサンゼルスでは「マスク着用令」が出ても、ビーチの様子が示しているように、マスクをしていないアンジェリーノが数多くいる。
 ロックダウンがアメリカ各地で部分的に緩和される中、状況は、ロサンゼルス以外の地域でも大差がない。
 ウィスコンシン州で外出禁止措置が緩和された5月13日、同地のバーには客が押し寄せたが、ほとんどの客がマスクを着用していなかった。その中には、ロールモデルとなるべき看護師の姿もあったため、波紋を呼んだ。
 5月10日の「母の日」には、行政命令に反抗してオープンしたコロラド州のレストランに地元民が殺到したが、彼らもマスクをつけていなかった。
 そんな人々を見るに見かねてか、通りでは今、こんな落書きも見かける。

「マスク評価」の流れ
 折しも、マスクの重要性を再認識させる2つのニュースも報じられた。
 1つは、香港大学から、マスクに感染抑制効果があるとする研究報告。2つのケージの間に医療用マスクを設置し、感染したハムスターのいるケージから健康なハムスターのいるケージに向けて空気を流したところ、マスクにより感染が60%以上軽減できる可能性があるという結果を得たという。
 2つ目は、ニューヨーク州のクオモ知事が明らかにした、新型コロナの新たな感染者の大半が必要不可欠な仕事に従事している人々ではなく、買い物や運動、人との交流目的で外出した人々だったという事実だ。必要不可欠な仕事に従事している人々は、日常的にマスクを着用して感染予防しているからだろう。
 アメリカでは、6月1日までに新型コロナの死者が10万人に達するという最新予測が出された。しかし危機が認識されていないこの状況では、6月を待たずにその数に到達しそうだ。
 マスクが義務化されても「着用しない自由」を行使するアメリカ人。
 感染拡大早期からマスクによる予防意識が高められ、自発的にマスクを着用してきた日本人。
 日本には、新型コロナ以前から、風邪を人にうつさないようにするために、また、風邪にかからないようにするためにマスクを身につけている人も少なくない。
 冒頭の「すべて間違っているように見えるが、変にうまくいっているように見える」と米誌が不思議がった日本の新型コロナ対策の謎は、謎でもなんでもなく、結局のところ“日本の常識”だったのかもしれない。
. 飯塚 真紀子(在米ジャーナリスト)
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2020年5月5日 日本のコロナ対策は独特だけど、僕は希望を持ちたい(パックン)
「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」より

パックンの
ちょっとマジメな話
<ハードでもソフトでもない日本の封じ込め策。自粛の「お願い」だけなのは、権力の問題? それともリーダーシップの問題? 
いろいろあったが成功してほしい、いい国だから――。「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」より>
日本の独特なやり方に、世界の人はびっくりする。え? 口契約だけで仕事が成り立つ!? 宗教に頼らず倫理観を国民に植え付けられる!? 魚に火を通さずに食える!? COVID-19、新型コロナウイルス感染症に対するアプローチも驚くほど独特だ。
コロナ感染を防いだ、もしくは封じ込めた、世界の「成功例」と比べてみよう。成功モデルは主に2つ見られる。1つ目は都市全体を封鎖したり、広範囲で多少乱暴な手段を用いるスタイル。もう1つは、個人の動きを監視したり、小規模の感染予防を徹底するスタイル。ハードとソフト。荒々しいときめ細かい。「木綿」と「絹」とでも言おう。
ハードの代表例は新型コロナの発祥地でもある中国の武漢(12月に謎の感染症が発覚したときに、ウイルスより先に「情報」を封じ込めた中国政府の過失が大きいことは言うまでもないが、取りあえず言っておこう)
武漢市は交通網の封鎖や市民の外出禁止のほか、人口約1100万人の都市全体からの出入りも禁止した。超厳格なロックダウン(都市封鎖)だ。でも、2カ月弱で武漢は「新規感染者ゼロ」を発表し、今は封鎖を解除し、経済活動も徐々に再開している。失敗からの成功だ。
ソフトの例としては台湾が模範となる。早い段階で中国全土からの入国を禁止し、マスクの製造や配給を始めた。さらに入国管理と国民健康保険のデータベースを統合し、国民一人一人の外国渡航歴と健康状態を照らし合わせてリスクの高い人を見いだした。また、携帯アプリで自宅待機中の人を監視するシステムを導入した。こういった対策で経済活動をほとんど止めなかった台湾はいまだに感染者数を500人弱に抑えている。失敗なしの成功例だ!ほかにもきめ細かい対策例を見てみよう。韓国では1日に10万個以上の検査キットを製造し、「ドライブスルー検査」を実施した。中国・南京では地下鉄の改札やデパートの入り口などで道行く人の体温を測る検温ステーションを設置した。シンガポールでは市民の携帯の位置情報を集め、感染者との接触を追跡して、個人にアラートを出すアプリを開発した。ちなみに、おそらくシンガポールではパソコンを使えない大臣をサイバーセキュリティ担当にしたりしないはず。いい考えかも!

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「食べることを自粛するしかない」
程度や形式はさまざまだが、武漢のモデルをまねした都市が多く、世界で3人に1人がロックダウン中という試算もある。例えば、イギリスでは罰金付きの厳しい外出制限を警察が強要する。国民は買い物や通院、そして1日に1回、1種類だけの屋外での運動が許される。はい、「1種類だけ」。トライアスロンの練習だと3日ないとできないってこと。
荒くてハード。打撃が大きいけど、ロックダウンは有効的。イギリスの例に戻ると、最初はウイルスの脅威を軽視していたが、やはり感染は止められなかった。経済活動を止め、コロナとの闘いに専念したら回復路線を歩み始めた。これ、ボリス・ジョンソン首相個人の話だが、国自体も同じ流れを見せている。

徹頭徹尾「自粛の要請」だけ

さて、世界の成功例と比較して日本は? 大量検査はしない。街で検温しない。アプリを作らない。アラートを送らない。かといってロックダウンもしない。日本のアプローチは、ハードでもソフトでもない。木綿でも絹でもない。「高野」かな?
無理やり豆腐に例える必要はないけど、日本は独自のやり方をここでも見せている。水際対策が失敗した後、まず執ったのはクラスター(患者集団)対策。密閉・密集・密接という「3つの密」の環境を避けるよう国民に呼び掛け、2月末にイベントの自粛、3月上旬に休校が始まった。お笑いライブも一気に自粛対象となり、友達の芸人は「闇営業もない!」と嘆いていた。「食べることを自粛するしかない」と話す仲間も。
4月に入ると、自粛の網をどんどん広げ遊興施設の営業休止を求めた。ボウリング場、ライブハウス、バー、ナイトクラブ、キャバレー、性風俗、射的場などなど(初めて気付いたけど、この並びだと「射的場」も微妙にいやらしそう)。このウイルスは人の喜びを栄養源にするのかと思うぐらい、娯楽が生活から消された。
政府によると目標は「80%の接触削減」。しかし、最初は出勤を控えることは強く求めていなかった。どうも計算が合わない。例えば職場で30人と触れ合う人が夜遊びをやめただけで5分の1に接触を減らせるというなら、普段は毎晩120人と飲んでいたことになる。「サラリーマンみのもんた」という設定かな。
政府もさすがにこの矛盾に気付き、出勤率を下げるよう企業へ呼び掛けた。しかし、これは徹頭徹尾、「自粛の要請」にすぎないもの。強制するつもりは一切ない。それを証明するためにか、安倍晋三首相が自粛要請を発表したその日に、首相補佐官が体を張って数百人の立食政治資金パーティーを開いた。

権力なのか、指導力なのか    
これが最も日本独特な点。他国の外出制限・禁止と違って、外出自粛要請。つまり「お願い」だ。ロックダウンは通常罰則が付く。逮捕や拘留のほか、玄関のドアを溶接して家に閉じ込める(中国)、スクワットさせる(インド)、雀卓を壊す(また中国)、催涙ガスを使う(ケニア)、棒でたたく(またインド)などの手段で警官が街中をパトロールし強要する。日本ではDJポリスでさえ街に現れないし、たたかれているのは首相のみ。「うちで踊ろう」を家で聴いて踊らなかっただけで。
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権力の限界を主張する稀な政府
全国に緊急事態を宣言しても態度がご丁寧。他国の首脳は「出るな!撃つぞ!」(フィリピン)と言っているところ、日本は「ご不便をおかけしますが......何とぞご協力をよろしくお願いします」。国民の命を守るための、エレベーター点検の張り紙のような文言。いい国だね!
でも、協力に頼った曖昧な制度だと、自己判断でミスをする人は必ず出てくる。繁華街に行く若者。商店街に行くお年寄り。潮干狩りに行くアサリ好き。大分県での集団参拝や花見的な会食に行く〇〇夫人。まあ、「桜を見る会ロス」の気持ちは分かるけどね。
医療関係者や公職者たちの判断が甘い時もある。会食やカラオケを楽しんだ慶応病院の研修医や、居酒屋で歓迎会に参加した警察署長が実際に感染している。性風俗店に行った野党議員もいた。まあ、個人的な緊急事態の気持ちは分かるけどね。
硬くもきめ細かくもない日本の制度は、小さな穴だらけだ。まさに高野豆腐のように(あ、豆腐の例えが成立した!)。結局、穴から漏れるものも多く、感染を封じ込めることはできていない。
では、なぜ強制的に穴を閉じないのか? 権力の問題?
コロナ危機を利用して権力集中に走る外国政府が目立っている。イスラエルでは携帯のデータで国民を監視し、首相の汚職裁判を延期。チリでは、ロックダウンに動員された警察が反政府デモを制圧。ボリビアは予定していた大統領選挙を延期。極め付きはハンガリー。超法規的な権限をオルバン・ビクトル首相が無期限で握った。独裁者ならではの「ハンガリー精神」だね。
しかし、日本では一切そんな動きが見えない。むしろ、新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正しても、その後に緊急事態を宣言しても、国民の私権は制限しない! 強制力がない! と政府が自ら権力の限界を繰り返し主張する。
なぜなら、いい国だから!
でも考えてみれば、健康増進法改正によって、4月から屋内での原則禁煙があっさり命じられた。コロナ対策も健康を増進するためだが、強制力を持つ法案は出てこない。裏ですったもんだしているかもしれないが、罰金制度などを提案する政治家は表に出ない。なのに、お店で喫煙する人に30万円以下の過料が簡単に科されるのだ。まあ、しょうがない。吸ったもんだから。
次のページトランプ 給付金、安倍さんはマスクに名前を入れた

パックンの
ちょっとマジメな話
いい国でも、必要なときに国民の行動を制限する対策は取れる。では、リーダーシップの問題なのか?
安倍さんの指導力をどう評価するかは比較対象次第だ。ドナルド・トランプ米大統領と比べてみよう。
安倍さんはコロナの脅威を最初から軽視していない。トランプと違って、「アンダーコントロール」とは言わない(五輪招致のときにフクシマに言及した以外では)。
無根拠な誤報発信もしない。トランプは検査、ウェブサイト、入国制限、物流、ワクチン、薬、人工呼吸器などなどに関して事実と異なる主張を繰り返している。過去の嘘についても嘘をついている。例えば、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンがコロナ治療に効くとトランプは主張した。嘘だが、その後その成分が入っている洗剤を飲んだ人もいた。しかも2人! 今は1人しかいないけど......。
パイオニアだから迷って当然
一方、安倍さんは、話の内容と矛盾する「3密」の記者会見を開いても、あおらず、隠さず、正しい情報をきちんと活舌悪く伝えている。
安倍さんはコロナ対策を私物化しない。トランプは国民への給付金の小切手に自分のサインを入れることにした。日本国民に給付する「アベノマスク」に安倍さんの名前が入っているが、あれは付けたくて付いたものではない。
安倍さんはWHO(世界保健機関)への資金拠出を止めていない。ロックダウン中の自治体での反政府デモをあおっていない。「大統領の机に似合わない」という理由でマスク着用を拒否していない!
小錦さんの隣にいれば痩せて見えるのと同じで、トランプと並べると、安倍さんはかなりよく映る。しかし、日本政府のコロナ対策の問題点も認めざるを得ない。休校が早かったのに、その後の対応が遅かった。検査が足りないし、その説明に一貫性がない。休業補償や給付金の方針が二転三転し救済が遅延している。全体的な行き当たりばったり感がある。仕方ないかもしれない。日本はマイウェイを切り開いているから。パイオニアは迷って当然だろう。
個人的な意見だが、僕はWHOの推奨に従い、検査の数を増やして海外の成功モデルを取り入れたほうが確実だと思う。また、経済再稼働のために今は多少の私権は犠牲にし、予防策や国民の救済を急ぐために多少の民主的議論を省いてもいいと感じる。でも僕は例外かも。こう見えても、日本人じゃないから。
日本には日本のやり方がいいかもしれないし、成功するかもしれない。今のところは感染者数も死亡者数も大国の中では最低レベルだ。もしかしたら、普段から自転車にロックをかけないこの国なら、ロックダウンしなくても安全かも。
考えてみたら、俗に言う「放送禁止用語」も本当はテレビの出演者が空気を読んでオンエアで言わないようにしている「自粛用語」にすぎない(CMの間のスタジオはうんこちんちんの話ばかりだけど)。コロナ対策も自粛で成り立つかもしれない。そして、検査も監視もあまりせずとも、感染予防はできるかもしれない。そのメカニズムは想像できないが、可能性は否定できない。
希望を持とう。ひょっとするとどこのまねもしないで医療も経済も崩壊させずに危機を乗り越える「日本モデル」が確立するかもしれない!
ただ、成功しても、どこの国にもまねできないだろうね。
あと、失敗すると爆発的感染、医療崩壊、第2波、第3波の襲来、長期的な経済危機などが考えられる。大きな賭けだ。
まあ、ウイルスも自粛してくれればいいけど。
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 Newsweek  <2020年5月5日/12日号「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より>
2020年5月1日
「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
Sweden Human subject research


Sweden




ステファン・ロベーン
スウェーデン首相

   <より多くの人をウイルスにさらすことで集団免疫を獲得する、というスウェーデンだけの
            「人体実験」には国内から反対も出始めている>

ロックダウンに頼らない独特の新型コロナウイルス対策で知られるスウェーデンで、感染者が増え続けている。しかも米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、死亡率は4月30日時点で12%超。これは、感染者が1000人を超える国の中で6番目に高い割合で、現在の感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑える対策としては、北欧諸国も含むヨーロッパの多くの国が全国的な封鎖措置を取り、厳しい移動規制を敷いている。こうしたなか、スウェーデンは全国的な移動規制や外出制限をしないという独自路線を貫いており、ストックホルムの通りの人でもカフェの客入りも一見、普段通りだ。その「緩い」対策は、世界的にも論議を呼んできた。
ドナルド・トランプ米大統領は4月30日朝、公式アカウントにツイートを投稿。この中で「封鎖措置を取らなかったスウェーデンは、その決定の手痛い代償を払っている」と指摘。「同国では30日の時点で、死者数が2462人にのぼっている。近隣のノルウェー(207人)、フィンランド(206人)やデンマーク(443人)よりもずっと多い。アメリカは正しい決断を下したのだ!」と主張した。


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スウェーデンの首都ストックホルムでは、人々がアイスクリームを買うために並んでいた(2020年4月19日)
「集団免疫」戦略の効果は--------
スウェーデンはこれまでに2万1000人近くが新型コロナウイルスに感染したと報告しており、このうち2500人近くが死亡している。感染者の死亡率はノルウェー(約2.6%)の6倍近く、同じ北欧のフィンランド(約4.2%)やデンマーク(約4.9%)と比べても3倍近くにのぼる。かつて中国以外で最も高かったイランの感染者死亡率(約6.3%)も、スウェーデンの半分ぐらいだ。感染者数を見ても、スウェーデンの感染者数はデンマークの2倍以上、ノルウェーの3倍近くで、フィンランドの4倍以上に達している。
感染者の回復状況も思わしくなさそうだ。スウェーデンは4月に何度か感染者の回復を報告しており、最も多かった25日には一気に455人が回復したと発表しているが、それ以外の報告はない。その一方で、感染拡大が始まった3月上旬から、新たな新規の感染者の数は増え続けており、同国の公衆衛生当局によれば4月29日には新たに681人の感染が確認された。
新型コロナウイルスの感染拡大に対するスウェーデン独自の対策は、ウイルスにさらされる人の数を増やすことで「集団免疫」を形成し、感染拡大の第2波を防ぐという作戦の一環だとされている。
スウェーデン公衆衛生局の疫学者であるアンダース・テグネルは4月下旬にBBCラジオの番組に出演し、「我が国の死者のうち少なくとも半数は、高齢者施設の中で集団感染した人々だ。封鎖をすれば感染拡大を阻止できる、という考え方は理解しがたい」と主張。スウェーデンの方法は「ある意味で功を奏している。私たちの医療システムが崩壊に追い込まれていないことがその証拠だ」と述べた。

テグネルは4月21日、米CNBCの番組にも出演。スウェーデンの首都ストックホルムの住民のうち、最大20%が新型コロナウイルスに感染したことがあると述べ、「ストックホルムの人口の15~20%が既に免疫を獲得していると確信している」と主張。「これは完全な集団免疫ではないが、ウイルスの再増殖を抑制し、感染の(第2波が訪れる)スピードを抑える効果はあるだろう」と述べた。
ルンド大学(スウェーデン)のピーター・ニルソン教授(内科医学・感染学)は4月下旬、本誌に次のように語った。「個人的には、必要であれば(そして地元の政府や議会でそれを可能にする法律が可決されれば)感染者の特に多い地域を封鎖するのもひとつの選択肢だと考えている。だが我々は、まだその段階には達していないと思う。医療部門には大きなストレスがかかっているが、手一杯の状態ではない。まだ余力があり、ストックホルムにある臨時病院もまだ使っていない」
ニルソンはさらに「ストックホルムの状況はまだ改善には向かっていないが、安定が続いている」とも指摘。またスウェーデン当局は、市民にはソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を推奨しており、感染の症状が出たら自宅にとどまるよう勧告していると述べた。

学者たちは「今すぐ首都封鎖を」

スウェーデンではソーシャル・ディスタンシングが守られなかった場合(たとえば店の中に一定数を超える客を入れたなど)、当局がレストランに閉鎖を命じる可能性があり、50人以上の集会は禁止されているとニルソンは説明し、さらにこう続けた。「経済を守り、可能な限り店舗閉鎖や従業員の解雇を回避することも重要だ。そうしなければ、ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がもたらす二次的なダメージによって多くの人が死ぬことになるか、医療に必要なリソースが減ってしまう可能性がある」
異例の対策には、国内の一部専門家から批判の声も上がっている。カロリンスカ研究所のセシリア・セーデルベリ・ナウクレル教授(微生物病因)もそのひとりだ。
彼女をはじめとする2300人近い学者たちは3月末、政府宛の公開書簡に署名。医療システムを守るために、もっと厳しい対策を導入するよう求めた。「感染があまりに速いペースで拡大していることが心配だ」と、彼女は今週ラジオ番組の中で語り、感染者の多い地域(イタリアのアルプスやイラン)から帰国した市民が最初にウイルスを国内に持ち込んだ時の、政府の対応が遅すぎたと批判した。
彼女はさらに4月に入ってから、ロイター通信にこう語っている。「今すぐストックホルムを封鎖する以外に選択肢はない。国が完全な混乱状態に陥ることがないように、状況をコントロールすることが必要だ。外出制限をしないという方法は、これまで誰も試していない。それなのになぜ、国民の同意なしに、スウェーデンが初めてその方法を試さなければならないのか」
スウェーデンでは、高校や大学は閉鎖されてオンライン授業になっているが、16歳未満の子どもたちは今も学校に通っている。レストランやバー、カフェやナイトクラブも着席スタイルのサービスは許されており、買い物は普段どおりにできる。
新型コロナウイルスは4月30日時点で世界の少なくとも186カ国・地域に広まっており、感染者は320万人を超えている。感染後に回復した人は99万2500人を上回り、死者数は22万8700人以上にのぼっている。

2020年5月1日 Newsweekより転載


Sweden
2020年5月26日
「集団免疫」スウェーデンのその後

スウェーデン、新型コロナウイルスの死者4000人超える

2020年5月26日 16:36 発信地:ストックホルム/スウェーデン
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【5月26日 AFP】スウェーデンは25日、国内の新型コロナウイルスの死者が4000人を超えたと発表した。同国は近隣の欧州諸国に比べて緩やかな対策を講じていることで国際的な関心を集めている。
公衆衛生局は、死者4029人、感染者3万3843人が確認されており、死者の9割は70歳以上だと発表した。同国の人口は約1030万人。

スウェーデンの死者数は、より厳格な封じ込め措置を講じている近隣の北欧諸国の死者数を大きく上回っている。
 AFPの集計によると、スウェーデンの人口100万人当たりの死者数は339人で、ノルウェーの43人、デンマークの97人、フィンランドの55人に比べ非常に多い。 しかしそれでも、フランスの435人、英国・イタリアの542人、スペインの615人に比べると少ない方だ。
 スウェーデン当局は、厳格な外出制限を課さずに国民の命で賭けをしていると批判されている。だが公衆衛生局は、この対応は長期的に継続可能なものであり、大胆かつ短期的な措置には社会への影響を正当化できるほどの効果はないと主張している。
 同国ではソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と新型ウイルス予防策を守るよう呼びかける一方、16歳未満の子どもは通学を続け、カフェやバー、レストランなども営業を続けている。

スウェーデンの首都ストックホルムのショッピングセンターで間隔を空けて
座る人々(2020年5月12日撮影)
スウェーデンの首都ストックホルムの街中に貼られた、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を促すステッカー(5月11日撮影)

記者会見するデンマーク
フレデリクセン首相

デンマークのフレデリクセン首相は29日、新型コロナウイルス対策で3月半ばから続ける国境の閉鎖を、近隣のドイツ、ノルウェー、アイスランドに限り、6月15日に解除すると発表した。
隣国のスウェーデンは厳しい感染抑止策をとらず、感染による死者が北欧で突出しており解除対象から除いた。
 デンマークは欧州で比較的早く「ロックダウン(都市封鎖)」に踏み切った国の一つ。5月に入って1日の死者が数人程度にとどまっており、学校も4月半ばから再開している。 AP通信によると、フレデリクセン氏は記者会見で「感染は制御できている。楽観論とともに(我慢が続くことへの)いらだちが広がっているのは理解できることだ」と語った。 ドイツなど3カ国からの渡航者には、感染者が多い首都コペンハーゲンに宿泊しないことに加え、最低6泊の宿泊先を事前予約することなどを求める。スウェーデンとの国境開放は夏以降になる見通しという。 スウェーデンは一斉休校や商店閉鎖などをせず、自発的に他人との距離をとることを国民に求めている。ただ、高齢者介護施設での感染が広がり、一定の人口当たりの死者数は世界最多レベルになっている。

スウェーデン経済も新型コロナで打撃、苦慮するホテルが新サービス
           ポップアップrestaurantとは⇒ ⇒ ⇒

ステファン・ロベーン
スウェーデン首相

新型コロナウイルスの感染対策として、スウェーデンがほかの多くの国とは異なるアプローチを取っていることは、すでに世界的に広く知られている。

厳格なロックダウン(都市封鎖)を行っていないことは、各国のメディアの注目を集めている。

だが、そうした措置を取っていることは、必ずしもスウェーデン国内のビジネスが「通常どおり」であることを意味しているわけではない。混雑したレストランや、大勢で賑わう晴れた日の公園の写真などを目にした人も多いかもしれないが、実際にはパンデミック(世界的流行)は、多くの国民の生活に大きな影響を及ぼしている。
なかでも打撃を受けているのが、ホスピタリティ業界だ。たとえば、ヴェストラ・イェータランド県のリードヒェーピングにあるホテルは、例年この時期は客室の大半が宿泊予約で埋まり、レストランも多くの客で込み合う。だが、今年は3月に入り、パンデミックの影響で目に見えて予約が減少した。
「スタッドホテル・リードヒェーピング」のマネージャー、イェスパー・アルフレッドソンによれば、宿泊、レストラン、会議の予約がすべて大幅に減少。前年の同じ時期と比べ、最大およそ70%減ったという。
この前例のない状況を受け、アルフレッドソンは従業員らと協議。どうすれば安全にホテルを利用してもらえるか検討した。そのなかで、ある従業員が発案したのが、ホテル内に「ポップアップ・レストラン」をつくることだった。

キャンペーンを即開始
「ポップアップ・レストラン」
のコンセプトは、客室をレストランの個室のように利用してもらうというものだ。宿泊予約はほとんど入っていなかったことから、アルフレッドソンはすぐにもプロモーションを開始することを決定。同月中旬から、「67ポップアップ・レストラン」と名付けた新サービスを導入した(名称は、同ホテルの客室数に由来している)
現在のところ、スウェーデン国内では客室をリモートワークのためのスペースとして提供するサービスはあるものの、レストランの個室代わりとして提供している例は、他にはないという。
客室での食事は、ホテル内のレストランが夕食を提供している時間内で予約が可能。料金は食事代のみで、利用できる人数は1室当たり2~12人。12人以上での予約を希望するグループには、通常はゲストの宿泊用に使用していない特別室を提供している。また、そのまま宿泊することも可能なパッケージプランも用意した。
主な利用者であるリードヒェーピング周辺の住民たちに、このサービスは非常に好評とのこと。混雑した店内で感染を気にしながら食事をするよりも安心だとして、高く評価されているという。
アルフレッドソンによれば、すべての利用客に安全に食事を楽しんでもらうため、客室は一組が帰るごとに、念入りに掃除をしている。利用時間は2時間半としており、同日に2組が同じ部屋を利用することはないため、ホテル側としては問題なく対応できているという。
宿泊客で満室になるときほどの利益にはまったく及ばない状況であるものの、このサービスは同ホテルの事業の継続を可能にしている。また、人々のニーズに適したオプションを提供するホテルであることを、明確に示すことにも役立っている。
同ホテルは、予約が入る限りこの新サービスを続ける予定。だが、パンデミックが収束すれば、利用客は通常どおりレストランでの食事を選ぶようになり、終了することになると見込んでいる。

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英国では、ポップアップ(Pop up = ひょっこり現れる)
レストランが急増している。不景気で目立つようになった空き店舗を有効活用し、若いシェフがリスクの少ない期間限定のレストランをオープンしたり、料理研究家がネットワークを広げるため、不定期にレストラン(サパー・クラブ)を開店したりする動きがあったが、最近では、企業がその影響力に着目し、新たなマーケティングの手段として利用しはじめている。その現状について調べてみた。

ポップアップ・レストランが生んだセレブリティ・シェフ

先日「オブザーバー紙」が選ぶ「ヤング・シェフ・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれたスティーヴィー・パール氏は、ロンドンの有名店、リバー・カフェ、ピーターシャム・ナーサリー、モロで修行を積み、メキシコ、インド、日本などの国々を渡り歩き経験を積んだ。若干25歳だが、書籍「マイ・キッチン」の刊行をはじめ、新聞、雑誌、テレビと引っ張りだこのセレブリティ・シェフである。彼の原点は、2009年に開店した「ムーヴァブル・キッチン」という名のポップアップ・レストラン。ロンドン市内の各所で不定期(月1~2回)に開店後、予約の取れないレストランとして話題を集め、2010年にはテムズ川の見える新開発ビルに「ドック・キッチン」という常設レストランを開店した。イベントとテレビ番組のプロモーションを兼ねたポップアップ・レストランも登場している。2010年10月4~18日の15日間にわたり、ロンドンの外食業界を盛り上げるべく、約800軒のレストランが様々なイベントや特別メニューの提供をするロンドン・レストラン・フェスティバルが開催され、その一環で、BBC放送の番組「マスターシェフ」の名を冠したポップアップ・レストランが開店した。番組で決勝まで進んだ3人のシェフの料理が食べられるというもので、たった72時間で用意した料理はすべて完売したそうだ。場所は空き店舗ではなく、ウェストエンドにあるメイズ・レストランで、イベント、番組、レストランと三者の話題作りに役立った。レストラン業界の活性化にもポップアップのスタイルが大いに活用されている例だといえる。

企業がプロデュースするポップアップ・レストラン

フルーツジュースやスムージーのメーカー、イノセントは、5ポンドで5種類の野菜とフルーツが摂取できる「ファイブ・フォー・ファイブ・カフェ」を期間限定でオープンし、大盛況を得た。「ガーディアン紙」2010年10月12日付記事によれば、同社の担当は「綿密な企画は立てず、いつも商品を購入してくれる顧客と一緒にパーティを楽しむような気持ちでポップアップのカフェをやってみた。普段店舗をもっていないため、直接顧客とコミュニケーションをとることは難しいが、今回の試みで、リサーチ会社の調査では得られないような、顧客の年齢層や住んでいる場所、興味の対象など貴重なデータを得ることができた。対象の分母は小さくなるが、その分、顧客とより強い絆が生まれる。広告キャンペーンを展開するよりも費用対効果がある」と評価したという。確かに、常設レストランは莫大な初期投資と運営費がかかるが、ポップアップなら、必要最小限の出費で、新商品や新サービスを直接消費者に試してもらうことができる。個人のニーズに合わせた商品開発やサービスが求められる昨今、消費者にどれだけ近づくことができるか、というのが企業側の求めるものなのかもしれない。

ブームの背景と今後の展望

このブームを支える要素のひとつは、SNSサイトだ。フェイスブック、ツイッターなどを媒介にして、消費者に情報が素早く伝達されるおかげで、短期間であっても多くの人々に開店情報を知らせることができる。また、前述の記事の中で、マネージメント・コンサルタント会社、アクセンチュアのステファン・ザットランド氏は「ブームは、ますます大きくなるだろう。将来的には、ポップアップ・レストランやショップの集合ビルの構想もあり得る。客も、頻繁に新しい店がオープンすれば、定期的に足を運ぶ気になる」とさらなる発展を予測した。主催者と消費者、双方にとって有益に見えるポップアップ・レストランの今後の発展に注目していきたい。



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2020年6月17日
スウェーデンの新型コロナ対策は失敗だったのか

スウェーデン中部エステルスンド市内でランチをとる家族(Getty Images)
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報告:宮川絢子◎スウェーデン・カロリンスカ大学病院・泌尿器外科勤務。平成元年慶應義塾大学医学部卒業。日本泌尿器科学会専門医、スウェーデン泌尿器科専門医、医学博士、カロリンスカ大学およびケンブリッジ大学でポスドク。2007年スウェーデン移住。スウェーデン人の夫との間に男女の双子がいる。
「都市封鎖せず」と独自路線のソフト対策を貫いたスウェーデンの新型コロナウイルス対応は、継続して世界な話題であり続けた。しかし、同国の「部分的ロックダウン」の真実、その実態とはいったいどんなものなのだったのか? スウェーデンの新型コロナ対策は「正解」だったのか?
スウェーデン・カロリンスカ大学病院・泌尿器外科勤務の医師で日本泌尿器科学会専門医、および、スウェーデン泌尿器科専門医の宮川絢子博士(スウェーデン移住は2007年)に、死者数を増加させた本当の原因、メディアの功罪などについて、病床の実態やデータにも基づき以下、ご寄稿いただいた

日本では緊急事態宣言が5月25日に解除されたが、スウェーデンでは変わらずソーシャル・デイスタンス、50名以上の集会禁止などが継続して行われているものの、市民はほぼ通常通りの生活をしている。健康な高齢者が外出することも許されるようになり、スウェーデン国内の旅行も解禁になった。

データで見るスウェーデンコロナ対策の実態

スウェーデンの新型コロナウイルス感染による死者は5月25日に四千人を超え、同月、人口あたりの死者が世界で最も多い週があったことから、ロックダウンをしないスウェーデンの政策に対する国際的な批判が高まった。
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人口10万人あたりの死者数は、北欧諸国の中では突出してはいるものの、ロックダウンをした他のヨーロッパ諸国の中では6月1日時点で6番目に多い値であり、ロックダウンの是非に対する判断はいまだに不透明と言えよう。
スウェーデン国内における感染者および重症者、死亡者の発生状況は、4月中旬をピークに減少してきている。
ストックホルムはスウェーデンの中でも最も多くの感染者が出ているが、ストックホルムの感染者で入院治療が必要な患者の40%ほどを治療しているのが、私の勤務しているカロリンスカ大学病院である。複数の一般病棟がCOVID-19専用病棟に変わり、通常の5倍程度、およそ200床となったICUが満床になることはなかったが、4月中は100名以上を収容し、5月上旬に100名を切ってから順調に減少、現在は50名程度がICU治療を受けている。入院治療はおよそ200名程度で、足踏み状態である。

メディアの誤報道
スウェーデン国外のメディアは、ロックダウンをしていないスウェーデンの挙動に注目しており、多くの報道がなされているが、それらの報道には間違ったものが多く、医療現場にいるものとしては複雑な思いになる。
スウェーデンのCOVID-19感染対策の顔となっている国家主席疫学者、テグネル氏は、これまでずっとロックダウン政策を否定してきた。そして、スウェーデンの死者数が多いことに関しては、「守るべき高齢者を守ることができなかった」とコメントしてきた。6月3日のテグネル氏へのインタビューでは、「もう少しやれることがあったと思う」とコメントしたことが、「スウェーデンは政策に失敗した(ロックダウンしないことは間違いであった)と認めた」と世界中で誤報道されてしまった。その誤報道に対してテグネル氏は、「スウェーデンの政策は間違っていたとは言っていない。改善の余地があるという意味である」と説明しなければならなくなった。

スウェーデンの死者数を増加させた要因
しかしながら、死亡者の90%が70歳以上の高齢者であり、80歳以上の感染者や80歳以下であっても余病のある人については、集中治療室での治療適応外とされているため、多くの80歳以上の感染者は病院で治療を受けることはない(誤解を招かないように書くと、COVID-19感染以外の疾患については、パンデミックが発生していない通常時であれば、集中治療室での治療の年齢による制限はない)。80歳以上で入院するのは、通常健康な人である。介護施設に住む、もともと病気の高齢者については、感染しても病院へ送られる人は少数である。高齢者の死亡者のうちのおよそ半分は介護施設に住んでいた人達であり、介護施設でクラスターが発生したことが、スウェーデンの死者数を押し上げた一因であると言える。
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スウェーデンの介護施設事情
85歳以上の死亡者は男女合わせて1973人であるが、そのうち、介護施設に住んでいたのは1190人、ヘルパーの助けを受け自宅に居住していたのは559名。合計すると1749人になる。これは死者数の88.6%となる。つまり、85歳以上の死亡者のほとんどが、介護施設に住むか、ヘルパーの助けを受けていた。年齢が下がるとこの割合は下がるものの、大多数は介護施設に住むかヘルパーを使っていた。70歳以上の死者において、介護施設に住むかヘルパーを使っていた人の割合は72%にもなる。これは、勤務者を介したクラスターが介護施設で発生し、また、ヘルパーによって高齢者世帯へ感染が持ち込まれたと分析されており、そのために、高齢者における死亡者数が増えてしまったのである。
スウェーデンでは、医療と介護は担当する地方自治体が異なる。医療は日本で言うところの都道府県に当たるRegion、介護は市町村に当たるKommunという地方自治体が担当している。更に言えば、それぞれの地方自治体には、それぞれの政治家がおり、これらは国会議員とは異なる。1992年にエーデル改革が行われ、介護施設はRegionの管轄からKommunの管轄に移った。そのため、介護施設で必要な医療の分野が弱くなっていった。常駐する医師がいないことが多く、入居者数に対する医師数も十分でないため、クラスター発生時には十分に対応することができない。
さらに、徐々に民営化が進み、その結果として、コスト削減が行われるようになり、備品の節約だけでなく、人的コストの削減も行われた。安い労働力、また、時間給で働くパートタイマーが多く動員された。通常住居に派遣されるヘルパーも同様である。パンデミック発生の際、少しでも症状があれば自宅待機が強く推奨されたが、パートタイマーの場合、働かなければ現金を手に入れることはできないため、症状があってもそれを隠して働くということが行われていた。医療現場や介護現場で働く人のPCR検査が行われなかったことも災いした。
また、スウェーデンで、安いパートタイムの労働力を担っているものの多くは移民である。移民の中には、狭小な住居に多世代家族が同居していたり、言語の問題で情報が不足していたりする者も多く、クラスターが発生しやすい要因があった。そして、パンデミック当初より移民の中にクラスターが発生してしまったが、移民が介護現場やヘルパーとしての大きな労働力になっていることも、介護サービスを受ける高齢者が多く感染する原因となった。
日本はどうか?
日本では、学校が休校になった以外は、スウェーデンと似た政策であったと思われるが、感染者、死亡者は格段に少ない。日本人の優れた衛生観念などが有利に働いたという説明もあるが、人口比で死亡者数を見ると、東アジア諸国では日本同様に低い値であることから(図9:ourworldindata.orgのデータより筆者作成)、それだけで低い死亡者数を説明することは難しい。
今回の新型コロナウイルス感染で得られる獲得免疫以外の免疫機構、例えば、他のコロナウイルス感染やBCG東京株接種による交差免疫、また、遺伝子や環境などのバックグラウンドの違いなど、まだわかっていない要素があり、それらが日本を含む東アジア諸国に有利に働いたのではないかと思っている。
また、スウェーデンの新型コロナウイルス感染の高い死亡者数は、現時点では、ここで述べたようなスウェーデンの福祉の欠陥をつかれたものと考えられ、ロックダウンしなかったことが失敗であると結論づけることはできない。各国それぞれ異なった事情があり、統計の手法も異なる中で、感染症対策にも一つの正解がある訳ではないと思う。まだパンデミックは収束しておらず、今後の経過から目が離せない。
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本稿を執筆中、スウェーデンでの新感染者が増加したことにより、「スウェーデンのロックダウンしない政策は失敗だった」と言う報道に加速がかかった。本稿の最後に、新感染者が増加した背景をのべる。これは、スウェーデンにおけるPCR検査のキャパシティーが増え、重症者が減少したため、より多くの医療従事者の検査を始めたこと、また、今までは検査の対象とならなかった、入院を必要としない軽症の患者全例に、診療所(家庭医)で検査を行うことになったため、検査数が増加したことによる。
スウェーデン以外のEU諸国の第一四半期のGDPがマイナス成長しているのに対し、スウェーデンの第一四半期のGDPはプラス成長しており、経済に対する影響が比較的軽微であることを付け加えておく。
なおストックホルムでは、6月15日から全ての住民がCOVID-19のPCR検査と抗体検査が無料でできることになった。このことで、さらに感染者数が増えて世界中から批判が高まるに違いない。
2020年7月1日

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スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まっていた





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コロナ禍でも夏を満喫するストックホルムの人々(6月24日)

<新型コロナ対策で独自のソフト路線がやり玉に挙げられるが、高齢者への感染拡大はそれ以前から必然だった>
スウェーデンは、福祉国家の模範だった
1000万人の住民が、手厚い社会保障のおかげで豊かな生活と平等、社会正義を謳歌していると世界から称賛されてきた。
だがこの数カ月で、そのイメージに疑問符が付いた。新型コロナウイルスの流行を受け、スウェーデンは多くの国と違ってロックダウン(都市封鎖)を実施しなかった。欧州各国で人々が自宅に引きこもるなか、首都ストックホルムでは、人々がテラス席でビールを楽しむ姿が見られた。
公衆衛生の専門家からは、市民の生命より経済を優先しているとの批判が相次いだ。だが同国政府は、目指すところは他国と同じで、社会的に最も脆弱な人々を守りながら医療崩壊を避けることだと反論。違うのは、当局が国民の行動を具体的に指示するのではなく、推奨するという「軽微な接触」戦略を取っていることだけだと主張した。
しかし、同国の死者数が周辺国を大きく上回るペースで増え、5000人を超えたことなどから、批判の声が高まった。さらに死者の多くが、政府が守ると宣言していた高齢者であることも、スウェーデンの信頼性を失わせた。
現在の状況こそ、スウェーデンのソフト戦略が誤りだった証拠だとする声は強い。同国のコロナ対策を主導してきた疫学者アンデシュ・テグネルは、戦略全体は失敗していないし、何が正解だったのかはまだ分からないとする。それでも犠牲が大き過ぎたと認め、現在の知識を持って3月時点に戻れるなら高齢者などにはより厳格な対応を取っていたと語っている。
この発言を無責任だと責めるのは簡単だろう。だが、現実はもっと複雑だ。
まず、そもそもこれを「集団免疫戦略」だとする批判について考える必要がある。純粋な意味での集団免疫戦略は、感染を抑止せずに社会に拡大させることだが、スウェーデンは違う。大規模な集会は禁じられ、社会的距離も推奨されている。テグネルは、戦略は感染ペースを下げるためのもので、集団免疫は副次的なものだと繰り返してきた。
封鎖以外の道も必要だ
さらに、ロックダウンが長期的な死亡率を下げるという科学的な証拠はない、というのがスウェーデンの見解だ。ロックダウンで死者数を抑え込んだ国は、いずれ第2波に見舞われるというのだ。同国の元疫学責任者ヨハン・ギーゼッケは、「感染防止のためにできることは非常に少ない。ロックダウンは重症患者の増加を先延ばしにできるが、規制が緩和されれば状況は元に戻る」と、指摘する。
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高齢者が守れなかった!

また、モデリングによればストックホルム県での感染者の割合は20~25%とみられるが、同地域での調査で抗体が確認されたのは人口の7.3%だけだった。新型コロナの抗体獲得については、まだ不明点が多い。だが、例えば無症状患者には抗体が作られないなどが事実であれば、ワクチン開発まで経済の崩壊を眺めながら延々とロックダウンを続けるのとは、別の道を考えるべきだろう。
コロナ対策を考える上で、不確かな要因はまだまだ多い。だが、現時点でも判断可能なことの1つは、社会的な弱者の保護策が成功したかどうかだ。6月1日時点で、国内の老人ホームで暮らす70歳以上の高齢者の2036人が新型コロナ感染で死亡している。自宅で専門ケアを受ける高齢者も1062人が死亡した。
しかしテグネルは4月24日、英BBCのインタビューで「ロックダウンで老人ホームへの感染拡大を防げたかどうかは疑問」だと語っている。
だが彼の主張は、簡単に入手できるデータに基づく、ごく基本的な所見を無視している。「恐らくロックダウンは多くの老人ホームで施設内の感染拡大を減らすのに役立った」と、ボストン大学の疫学者エレノア・マリーは指摘する。その要因はウイルスが施設内に持ち込まれるかどうか、持ち込まれた場合どのように拡大するかの2つだという。
ストックホルムでは老人ホームのスタッフの40%が短期・時給契約の未熟練労働者、23%が臨時雇用だ。彼らは若く、複数の仕事を掛け持ちし、他人との接触が多く感染のリスクが高い。ロックダウンしていれば、彼らがバーやバスの車内で感染するリスクは減らせたはずだ。
しかしスウェーデン当局は施設への訪問禁止と、医療・安全・衛生面での勧告という限定的アプローチを選択。禁止するのが遅過ぎ、かつ、政府の指針に従うだけのリソースも訓練も不足していた。
政府が4月1日にようやく訪問禁止に踏み切ったときには既にストックホルムの3つのホームの1つで感染が拡大。低賃金労働者(普通は大家族で公共交通機関で通勤する)の感染リスクは明らかだった。政府の勧告に従わない人々が出てくるのも目に見えていた。協調的なお国柄とはいえ、若くて健康に自信のある人たちが親や祖父母に会いに行かないと思うのは幻想にすぎない。
4月末までに当局は失敗を認めた。「高齢者を守れなかった。非常に深刻で社会全体にとって失敗」だとレーナ・ハレングレン保健社会相は語っている。
2月時点で、公衆衛生庁は国内の感染拡大のリスクは(パニック拡大のリスクに比べて)小さいと主張。当局は備えは「現状では」十分だと市民に請け合ったが、誰もが信じたわけではない。
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誰もが「過失」を認めない
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高齢者ケアは介護放棄と監督不行き届きの構図と切り離せない。2017年の保健福祉庁のデータによれば、人手不足や訓練不足なども原因で、ケアを受けている高齢者の15.6%に当たる4万人が栄養不足に陥っていた。
6月27日時点でスウェーデンの新型コロナによる死者は5280人、人口100万人当たり523人だ(ノルウェー46人、デンマーク104人、フィンランド59人)。周辺国にできたことがなぜスウェーデンにはできなかったのか。
誰に聞いても納得のいく説明はない。スウェーデンの介護施設のほうが入所者の年齢が高いからとか、施設の規模が大きいからとか。ステファン・ロベーン首相は緊急対応のリソース確保は各地域の義務だと主張。ヨハン・カールソン公衆衛生庁長官はケアスタッフの準備不足の証拠を示されて、驚いていると語った。
どれも真実だろう。誰もが失敗を認めても過失を認めないのは歯がゆいが、責任転嫁は無意味だ。ロベーン政権が政治的介入をせず専門家に任せたのは正しいが、どんなに優れた指導者でも構造的欠陥は数カ月では直せない。
現在の危機を招いた責任は、地方任せにしてきた政府と、何より、最も脆弱な人々を守るという最大の使命を忘却した社会民主主義体制にある。

From Foreign Policy Magazine <本誌2020年7月7日号掲載>
2020年4月13日
.......AERA2020年4月13日号 より転載
新型コロナ「過去1千年なかった経験」完全終息時期を歴史から予測.......

新型ウイルスの猛威は過去の主な感染症と比べても群を抜いている。AERA2020年4月13日号では、新たな敵と人類の闘いがどのような展開をたどるのかを、歴史から読み解く。
「コホッ、コホッ」 スティーブン・ソダーバーグ監督の映画「コンテイジョン」(2011年)は、グウィネス・パルトロウ演じる女性がせき込むシーンで始まる。商用で香港を訪れた彼女が米国の自宅で謎の死を遂げたのと同じ頃、世界の大都市で次々と人が死亡。人々は誤情報に踊らされ、街では強奪が横行、世界は大混乱に陥る。原因は新型ウイルス──。
 9年前の映画が今の世界を予見しているように見えるのは、人類がこれまでに幾度となく病原体との闘いを繰り返してきた経験があるからだ。東京医科大学病院の濱田篤郎教授(渡航医学)はこう指摘する。
「農耕社会が始まって何千年もの間、感染症は人類にとって大きな脅威になってきました。集団で生活することによって、空気感染や飛沫(ひまつ)感染が起きやすくなる上、動物を家畜にすることで動物の感染症がヒトの世界に入ってきたためです」
 古くは2400年以上前、ギリシャでアテネとスパルタが争った「ペロポネソス戦争」のころに、アテネで多くの人々が亡くなる疫病が流行した。アテネの没落につながったとも言われるが、今も何の疫病だったのかは分かっていない。
 医療ジャーナリスト、サンドラ・ヘンペル氏の『ビジュアル パンデミック・マップ』(日経ナショナルジオグラフィック社)によれば、記録に残る最初のペストの流行は、6世紀に現在のトルコ・イスタンブールで始まり、東ローマ帝国の皇帝の名から「ユスティニアヌスのペスト」と呼ばれるものだという。「世界の全人口の33~40%が死亡した」との記述もある。
 そして、濱田教授が注目しているのは14世紀にヨーロッパなどで流行したペストだ。
「人類としては最も被害が大きく、本当に絶滅の危機に近いほどの死亡者が出たペストでした。ヨーロッパだけで3千万人くらいが亡くなっていると言われています」
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この14世紀のペストについて、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也・主席研究員はこう話す。
「ヨーロッパで当時暮らしていた1億人ほどのうち、大流行した数年間でそれほどたくさんの人が亡くなるわけです。町中に死体が捨てられて、触った人たちも次々に感染する。一般市民に情報も届きにくい時代で、死者数だけでなく、人心に恐怖を与えたという意味でも影響は相当なものがあったと考えられます」
20世紀に入ると、最大で約5千万人が亡くなったとも推計されるスペインかぜが流行した。天然痘は1980年に撲滅されたが、その後も新たなウイルスの出現と、治療薬やワクチンの開発が繰り返されている。
 ところが、濱田教授は今回の新型コロナウイルスは、これまでに経験した感染症とは違うと感じている。
「動物からヒトに感染した病原体があっという間にパンデミック(世界的な大流行)を起こすという経験は、少なく見積もってもこの1千年ほどはなかったのではないでしょうか」
 濱田教授は、今回の感染拡大に至るまでに、「20世紀後半以降くすぶり続けていた状況」があったと受け止めている。
 アフリカで70年代後半から広がったエボラ出血熱。マレーシアで98年以降に感染が見つかり、脳炎などの症状を引き起こしたニパウイルス感染症。02~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、09年にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザ。12年に中東で患者が初めて見つかり、韓国でも38人の死者を出した中東呼吸器症候群(MERS)──。
 未知のウイルスが動物からヒトに感染して流行する。その背景には人口増加が関係していると、濱田教授はみている。
「特に第2次世界大戦後、人類がアジアやアフリカなど世界中の至るところで開発行為を進めました。これまで接することのなかった動物との接触を繰り返すことで、未知の病原体の感染が広がってきたと考えられます」
 過去の感染症と人類との闘いから、今回の新型コロナウイルスの感染拡大はどのような見通しが立てられそうか。
 前出の篠原氏は「日本は少なくとも、感染が広がる欧州と比べて国境管理がしやすい利点があります。衛生環境も比較的良く、健康保険の制度もしっかりしているため、すぐにパニックになる必要はないでしょう」。
 ただし、今の段階でまだ安心できる要素があるのかどうかは分からない。濱田教授は、WHOが公表しているSARSの終息までにかかった時間と感染者数を表すグラフを示しながらこう話した。
「グラフから読み取れる感染者の増え方は似ていても、感染者数の規模が全く違います。SARSはパンデミックにならず半年ほどで収まっていますが、今回はそうはいかないと考えられます。いったん終息することはありえますが、完全に終わるのはワクチンができるまで無理ではないでしょうか」
 治療薬がないまま感染が広がるウイルスに、パニックはまだ続くかもしれない。まずは自らが感染しないこと。そして、感染してもうつさないこと。そんな行動が必要だ。
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2020年4月13日号 .......AERA記事より転載
   2020年4月7日
  「国民の命と生活を守る」安倍総理.緊急事態宣言発令と緊急経済対策
2020年
04月07日
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三総理は4月7日7都府県に緊急事態宣言を発令した。同日夜、官邸で記者会見を行い、発令の理由と大型緊急経済対策の内容を説明しました。
緊急事態宣言は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくもので、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡に発令されました。期間は5月6日までで、この間、各知事は不要不急の外出自粛や学校休業、興業施設の利用制限の要請などを行うことが可能となります。
会見で安倍総理は、「もはや時間の猶予はないとの結論に至った。国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある事態が発生した」と説明。その上で「今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くない」と述べ、国民に冷静な行動を求めました。
一方、緊急経済対策は(1)感染防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(2)雇用の維持と事業の継続(3)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復(4)強靱な経済構造の構築(5)次の備え―が柱。財政支出は39兆円、事業規模は108兆円で、国内総生産(GDP)の2割を上回ります。
このうち雇用の維持と事業の継続では、減収世帯に対し、1世帯あたり30万円、子育て世帯に児童1人あたり1万円を給付するほか、売り上げが減少した中堅・中小・小規模事業者に200万円、フリーランスを含む個人事業主に100万円給付することなどを明記。安倍総理は「日本経済が今まさに戦後最大の危機に直面していると言っても過言ではない。その強い危機感の下に雇用と生活は断じて守り抜いていく」と決意表明しました。
未曾有の国難ともいえる事態に直面する今、わが党は政府や関係自治体などと緊密に連携を図りながら、国民の命と生活を守り抜く覚悟です。
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法律に基づく「緊急事態宣言」を受けて、安倍総理大臣は7日夜に記者会見し、東京など7都府県の住民に対し、5月6日までの1か月間、人との接触の7割から8割の削減を目指して外出の自粛を要請するとしたうえで、正しい情報に基づいて冷静な行動を取るよう呼びかけました。

記者会見での主な発言。

軽症者などの宿泊施設 関東1万室 関西3000室確保 「医療現場は危機的な状況」

冒頭、安倍総理大臣は、新型コロナウイルスの感染者への対応にあたる医療関係者に謝意を示したうえで、病院の機能維持を図るため、医療物資の提供体制を強化する考えを示すとともに、軽症者や無症状の人は、宿泊施設で療養してもらうとして、ホテルチェーンの協力で関東で1万室、関西で3000室を確保したことを明らかにしました。
そして「こうした努力を重ねても、都市部を中心に感染者が急増しており、病床数は明らかに限界に近づいている。医療従事者の肉体的、精神的負担も大きくなっており医療現場はまさに危機的な状況だ。医療提供体制がひっ迫している地域が生じていることを踏まえれば、もはや時間の猶予はないとの結論に至った」と述べ、「緊急事態宣言」を行うにあたって、法律で定められた要件を満たしたという認識を示しました。
五輪警備の警察官宿舎 改修し軽症者受け入れへ
宣言を踏まえ、最も感染者が多い東京について、今月中を目途に、東京オリンピック・パラリンピックの警備にあたる警察官のために準備していた宿舎を改修し、800人規模の軽症者を受け入れられるよう整備するとともに、必要に応じて、自衛隊などの医療スタッフを動員し臨時の医療施設として活用することも検討する考えを示しました。


人との接触 7割~8割の削減目指す

感染拡大を抑制するためには、国民の行動を変えることが大切だとして、政府として、東京など7都府県の住民を対象に生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう要請すべきと考えたと強調しました。さらに、専門家の試算として、人と人の接触機会を最低7割、極力8割削減できれば、2週間後には感染者の増加を減少に転じさせることができるとしたうえで、大型連休が終わる来月6日までの1か月間、人との接触の7割から8割の削減を目指して、外出を自粛するよう呼びかけました。

「テレワーク」「出勤者数7割減」など求める

具体的な対応として、▽社会機能の維持に必要な職種を除き、テレワークを行うこと、▽どうしても出勤が必要な場合はローテーションを組むなどして出勤者の数を最低7割減らすこと、▽人との距離を十分取るなどの取り組みを求めました。

また、▽オンラインによる学習や診療を積極的に活用すること、▽「密閉、密集、密接」の3つの密を避ける行動を徹底すること、▽集会やイベントを避け、飲み会や家族以外の多人数での会食も行わないよう呼びかけました。

『自分は感染者かも』という意識を」

「この感染症の恐ろしい点は症状が全くないにもかかわらず感染している人が多いことだ。『すでに自分は感染者かもしれない』という意識を、特に若い人を中心に、すべての皆さんに持っていただきたい」

「日本経済 戦後最大の危機」

経済への影響について、「世界経済だけでなく、日本経済が今まさに、戦後最大の危機に直面していると言っても過言ではない。強い危機感のもとに、雇用と生活を断じて守り抜いていく」と述べ、GDP=国内総生産の2割にあたる、事業規模の総額で108兆円程度の緊急経済対策を実施する考えを示しました。

『都市封鎖』を行うものではない」

「今回の宣言は、海外で見られるような『都市封鎖』、『ロックダウン』を行うものでは全くない。東京や大阪での感染リスクは、現状でも不要不急の外出を自粛して普通の生活を送っているかぎり、決して高くない。地方に移動するなどの動きは、厳に控えていただきたい」
安倍総理大臣は「社会機能はしっかり維持していく」として、自治体とも協力しながら、電気、ガス、通信、金融、ごみの収集・焼却などのサービスは、平常どおり続けるようにすると強調しました。
また、高齢者介護施設や保育所に対し、必要とする人へのサービスを継続するよう求めるとともに、食品など生活必需品の製造・加工や、物流、小売店などの事業者には営業の継続を要請する考えを示しました。

「冷静な行動 心よりお願いする」

そして、「正しい情報に基づいて、冷静な行動を心よりお願いする」と呼びかけたうえで、「国家的な危機にあたり、ウイルスとの戦いに、皆さんの力をお借りしたい。あらゆる分野で、全国で立ち上がって下さっている皆さんこそが『希望』だ。共に力をあわせれば、ウイルスとの戦いに打ち勝ち、緊急事態という試練も、必ずや乗り越えることができると確信している」と強調しました。

対象外の地域も「『3密』に注意を」

緊急事態宣言の対象となっていない地域について、「基本的には緊急事態宣言の対象とはしていないが、いつ感染が広がるかは分からない。そういう意味においては、十分に『3密』に注意していただきたいと思っている」と述べました。

「個別の休業補償ではなく 困難な状況の皆さんに現金」

緊急経済対策に関連して「イベントなどの中止、延期などの要請、夜の街での自粛要請などによって甚大な影響が及ぶが、ある特定の業界にお願いしても損失はその業界にとどまるものではない。個別に補償していくということではなく、困難な状況にある皆さんに現金給付を行いたい」と述べ、個別の休業補償に否定的な考えを示しました。また、中小・小規模事業者に対する実質無利子・無担保の融資について、8日、総理大臣官邸に金融機関の責任者を招き、融資を進めるよう要請する考えを明らかにしました。
収入が減少した世帯への現金30万円の給付について、「自民党にも一律で給付すべきという議論があったが、本当に厳しく収入が減収した人たちに直接行き渡るようにしたいと考えた。なるべく早く補正予算案を通していただき、5月に直ちに出て行くようにしたい。今回スピードも重視した」と述べました。

「『アビガン』使えるようにする」

新型コロナウイルスの治療薬として効果が期待される「アビガン」について、「医師に『アビガンを使ってもらいたい』と言い、その病院の倫理委員会の審査で使えるようになっていれば、使っていただけるようにする。観察研究の中で行っていくという形で使っていただきたい」と述べました。

「いつ宣言を出すか 緊張感持って考えていた」

感染拡大を抑制する上で、緊急事態宣言の判断が遅いのではないかという指摘が出ていると質問されたのに対し、「特別措置法を改正した日から、いつ緊急事態宣言を出すべきか ずっと緊張感を持って考えていた」と述べました。
そのうえで、「むしろ緊急事態宣言については『私権を制限するから慎重に出すべきだ』という議論がずいぶんあった。しかし、私たちは、出すべきときには出すべきだと考え、最大限の緊張感を持って、専門家の皆さんに分析をしていただいてきた」と述べました。

「感染者拡大 スピードをどれぐらい抑えられるかが重要」

また、「イベントなどの自粛、学校の一斉休校も行ったが、感染者の拡大を防げなかったことは確かにその通りだ。しかし、このスピードをどれぐらい抑えることができるかということが重要だ。日本も早く、そのピークをはるかに小さいところで抑えていきたい。そして、減少に転じさせたいと思っている」と述べました。そして、緊急事態宣言を行う上での判断材料として、▽十分な医療体制を確保するため軽症者や無症状の人を医療機関から宿泊施設などに移ってもらう準備が整ったこと、▽宣言を行えば、ロックダウン=都市の封鎖が行われるという誤った認識を一定程度払しょくできたことなどを挙げました。

「最悪の事態の場合 私が責任取ればいいというものではない」

記者団から、「対策が失敗した場合、どのように責任をとるのか」と問われたのに対し、「最悪の事態になった場合に、私が責任を取ればいいというものではない」と述べました。

中小企業など対象の給付金「電子申請で受けられるように」

中小企業などを対象にした給付金について、「なるべく簡易に、電子的に申請して受けられるようにしたい。なかなか電子申請が大変だという方々は全国の商工会議所などで支援し申請していただくことにしたい」と述べました。

外出自粛要請「警察が取り締まることはない」「できるだけ東京にとどまって」

また、外出などの自粛要請に関連して、警察に取り締まりを要請するのかと問われたのに対し、「罰則はないので、警察が取り締まることはない。ただ、協力要請はさせていただきたい」と述べました。東京から地方への人の移動については「東京では都市封鎖・ロックダウンのようなことは行わず、経済・社会の機能は維持していくので、できるだけ東京にとどまっていただきたい」と述べました。

「感染しないよう なるべく規則正しく生活」

みずからが新型コロナウイルスに感染した場合の対応を問われたのに対し、「私自身は感染しないように、できるだけ手洗いをし、免疫を維持するためになるべく睡眠の時間を確保したいと思っている。生活のリズムを守るという意味では、なるべく規則正しく生活していくことも大切だ」と述べました。その上で、「もし私が感染した場合、しっかり意識があれば、公邸などで自己隔離しながら、基本的に総理としての執務を行う。意識がないということになれば 麻生副総理兼財務大臣が臨時代理ということになり、一瞬でも遅滞がないように対応していきたい」と述べました。

「医療提供体制 強化が重要」

海外の医療現場では患者を選別せざるを得ない事態も起きていることについて、「医療現場にとって、大変辛い事態だ。そういう状況にならないよう重症者対策を中心に医療提供体制を強化することが重要だ」と述べました。その上で、「今回の経済対策では、医療提供体制の整備に最優先に取り組むこととしており、病床の確保や医療機器の整備、専門医や看護師などの確保もしっかりと強化していきたい。今の段階は、軽症者や無症状の人も病院に収容されているが、ホテルなどに軽症者に移ってもらえれば、病床数も相当程度、空きが出てくるので、体制を整えていきたい。重症化しやすい高齢者への感染をできる限り抑える対策にも力を入れてきたい」と述べました。

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2020年5月14日

EU、夏休みを前に 域内の移動制限を段階的に解除へ 
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欧州連合(EU)は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を大きく受けている観光業界の再建に向け、段階的に加盟国の国境を開放していく計画を発表した。

欧州委員会のパオロ・ジェンティローニ経済問題担当委員は「安全対策や制限があっても、今年の夏を観光シーズンにしたいというのが我々のメッセージだ」と話した。
EUでは現在、域内の自由な移動を認めるシェンゲン協定の対象区域を含め、国境が封鎖されているが、各国が封鎖解除に動いている。
オーストリアとドイツは移動の制限をやめることで合意。15日からは国境で抜き打ち検査を行い、6月15日からは自由な移動を再開させる。
オーストリアのセバスチャン・クルツ首相は、「国民が生活しやすくなるよう、通常の生活に向けて一歩を踏み出す」と話した。
イギリスの住民はすでに、海外での「ぜいたくな」夏休みは難しいと警告されている。イギリスは今後、空路での入国者には14日間の自主隔離を要請する方針だ。ただしアイルランドとフランスへの渡航の場合は、隔離を求めないとしている。
ドイツの大手旅行会社TUIは30%のコスト削減に向け、最大8000人の人員整理を行うと発表。新型ウイルスの影響の大きさを物語っている。ドイツ政府はTUIの上場を維持するため、18億ユーロ(約2100億円)のつなぎ融資を行うと発表した。

EUの計画とは

欧州委員会は、国境開放のガイダンスは安全と無差別の原則に従っていると説明。環境業は欧州経済の10%を占めており、加盟27カ国の数百万人の雇用を創出している。
マルグレーテ・ヴェステアー副委員長は、体調が悪かったり、COVID-19の症状を感じている人は移動できないと離した。
拘束力のないこの計画では、加盟各国が協力して移動の制限や国境での検問を段階的に解除していく一方、対策を継続して域内での新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)を抑えていく。
まずは季節労働者の国境を越えた移動を認め、それからウイルスを同程度封じ込めている国同士の国境を、最後にEU域内のすべての国境を開放する計画だという。
ヴェステアー副委員長は「労働者や旅行者は、ホテルやレストラン、海岸が安全であることを確認する必要がある」と強調。また、現在各国が導入しているさまざまなCOVID-19追跡アプリを、欧州全体で使えるようにすべきだと述べた。

少しずつ街はにぎわいを取り戻してきた(首都ベルン)=AP
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返金かクーポンか

欧州の消費者が抱える大きな疑問のひとつに、旅行をキャンセルした場合に何が起きるかということがある。
ヴェステアー副委員長は、旅行各社が資金不足に直面しているとした上で「欧州の消費者は現金での返金を受ける権利がある」と認めた。
また、消費者が返金ではなくクーポンの受け取りに合意すれば企業への影響は少なくてすむため、どのようにクーポンを魅力的にするかを考えるべきだと述べた。
「もちろん通常通りの夏にはならないが、協力すれば(中略)完全に夏を失わずにすむ」
欧州委員会によるその他のガイダンスは以下の通り。
◾鉄道や飛行機の旅券はオンラインで購入・確認し、保安検査場では物理的な距離を取るようにする
◾接触を避けるため、機内での飲食品の販売をやめる
◾飛行機やバス、電車、フェリーなどでは乗客数を制限し、除菌ジェルなどを提供する
◾同居していない乗客同士は席を離す
◾交通機関の職員は全員、防護用具をつける。運転手席は遮へい物で保護する
ジェンティローニ委員は、イタリアの観光シーズンは前半の3~5月が失われ、すでに大きな影響を受けていると話した。

EU各国の対策は?

加盟国の多くがそれぞれにロックダウン(都市封鎖)の解除を進めている中、EUは域内とシェンゲン協定加盟国が協力して動くよう求めている。
一部の国ではすでに、入国者に隔離措置を行っている。スペインでは15日から、入国者に14日間の隔離を課す。
イギリスは今年1月末にEUを離脱したものの、2020年末まではEU法に従う必要がある。イギリスも空路での入国者に14日間の自主隔離を要請する方針だ。ただし、フランスとアイルランドとは二国間協定を結んでいるため、両国からの入国者には隔離を行わない。
フランス北西部ブルターニュ地方では、13日から厳しい制限のもとに海岸を開放している。
イギリスのマット・ハンコック保健相は、今年は「大規模でぜいたくな海外での夏休み」は見込めないが、7月から一部のレジャーを再開させると話した。
エストニアとラトヴィア、リトアニアは15日から「バルト・バブル」政策を開始し、3カ国間の移動を自由にする。一方、他国からの入国者には隔離措置を施すという。
「大封鎖」を解き再始動するアジアと欧州


2020年5月12日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がピークに達したと見られるアジアと欧州の一部の国々は、徐々に経済を再開させている。ワクチンも有効な治療法もない中、政策当局者は、経済活動再開の利益と感染率が再上昇した場合に生じかねないコストのバランスを取っていくことになるだろう。どちらの方向で判断を誤ってもその代償は非常に大きいこともあり、政策当局者は難しい選択を迫られることになる。
それを踏まえて、各国当局は段階的に順を追って再開するというアプローチをとるとともに、さらなる予防策や感染拡大防止策を採用している。アジアではいくつかの国が既にこの進め方で一定の成功を収めているものの、まだリスクは残っている。そして欧州ではそのリスクはより大きいかもしれない。封鎖解除の戦略がアジアと欧州でどう異なるのかを比較していく。
感染症流行の打撃を最初に受けたのはアジアだ。感染は中国からアジアの他の国々へと瞬く間に広がり、まだ沈静化に至っていない国もある。南アジアと東アジアではこれまでに25万人以上が感染し9,700人が死亡しており、中国、インド、インドネシア、日本、シンガポール、韓国が感染者数全体の85%以上を占めている。
1月末の中国での都市封鎖、そして韓国での検査・追跡・隔離による積極的な感染拡大防止措置の後、両国では2月に新規感染者数がピークに達した。ちょうどその頃ウイルスの感染拡大が打撃をもたらし始めた欧州では、確認された新型コロナウイルス感染者数が今や180万人に達し、世界合計の半数近くを占める。死者数は全世界で28万人強のところ、欧州で報告されている死者の数が16万人近くに上っている。
都市封鎖措置の経済的影響

ウイルス感染拡大を遅らせるため、欧州とアジアの大半の国では厳しい都市封鎖措置を採用したが、その経済的影響が明らかになってきた。2020年第1四半期のGDPは季節調整後の年率換算値で中国が36.6%、韓国が5.5%低下している。局地的な感染拡大が最初に始まったのは中国で、これを受けて同国は厳格な封鎖措置を導入した。一方、韓国は経済を止めることなく、より対象を絞った感染拡大防止戦略に従った(下を参照)。GDPに生じた影響差には、こうした事実が反映されている。
欧州の2020年第1四半期GDP(同じく季節調整後の年率換算値)を見ると、フランスで21.3%と史上最大幅の落ち込み、スペインでも19.2%、イタリアでも17.5%の低下となっている。第2四半期はさらに悪化すると見られている。
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アジアはどのように経済活動を再開させているか

少数のアジア諸国では感染拡大防止策が流行抑制に効果を発揮したため、再開に向けて既にかなり前進している。
中国では、報告されている新規感染者数は非常に低い水準で安定している。2月半ば以降、中国政府は段階的に順を追って経済を再開させているが、継続的なリスク評価に基づいて、必須のセクターや、特定の産業、地域、人口集団を優先させている。その一方で、デジタル化やビッグデータやテクノロジーを駆使して接触者追跡支援も行っている。
極めて重要な点は、こうした取組みが、一部の省で始まった無作為スクリーニングを含む大規模な検査や、携帯電話アプリ活用の体系的な追跡(新規陽性者と接触した人を迅速に洗い出すため)によって補完されているということだ。それに加えて、移動制限や、感染者とその接触者に対する他の規制措置も実施されている。中国では、これまでのところ再開に水を差すような感染第2波なしに進展しているが、活動の正常化がさらに進むにつれて状況が変化する可能性もある。
韓国もまた世界的な感染症流行の初期段階でウイルスに遭遇し、感染拡大抑止策を首尾よく即座に導入した。韓国の取り組みは、大規模な検査実施、感染判明者や感染リスクが高い人の強制隔離、接触者追跡でのデジタル化やテクノロジーの幅広い活用に基づいている。それに加えて、学校や公共施設の閉鎖、社会的距離確保に関する包括的な指導、旅行者に対する検疫措置も実施されている。
とはいっても、韓国では、国内での移動の自由や事業活動に幅広い規制が一度も課されなかった。その結果、経済活動の再開は徐々に、そして社会的距離の確保が緩やかになるとともにほぼ自動的に進んでいる。当局は「日常的な社会的距離確保」に関するガイドラインをさほど厳格でないものへと移行させていて、現行ガイドラインでは市民に対して、体調が悪い時は外出せず、対人距離を保ち、頻繁に手を洗い、マスクを着用し、屋内空間は定期的に換気するよう指導している。
シンガポールもまた、韓国同様の戦略に従って感染の早期封じ込めに成功した。しかし新たな感染流行の発生を受け、4月上旬に感染拡大抑止措置を強化している。
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欧州も徐々に再開へ

一部の欧州諸国も経済を徐々に再開させていく計画を発表しており、中には既にそのプロセスを開始した国もある。出口戦略のタイミングや順序付けやペースは国によって異なり、感染症流行の進行状況の違いもだが、国ごとの選好も反映している。
例えば、デンマークとノルウェーでは、まず幼稚園・小学校やサービス業から再開させた。一方スペインでは、製造業や建設業で制限を解除し、小売りを含む小規模事業の一部についても安全対策を取りながら制限解除とした。ドイツは小売店に対する制限を解除、学校も徐々に再開させている。こうした解除・再開は、必要とあらば、再度の引き締めを可能にする中断メカニズムに従う。イタリアは製造業と建設業を厳格な安全規則に則った上で再開させ、限定的に一部の小規模商店も再開させた。フランスは小学校や商店や産業の5月11日再開を許可したばかりだが、再開は地域ベースで差別化しながら進める。
スウェーデンは独特の取り組みと、活動の完全封鎖はしないという決断で目を引くが、その戦略がより効果的であるのか否か、結論づけるのは時期尚早だ。
どの国も保健対策や対人距離確保措置により感染流行の新たな波が起こるリスクを軽減することを想定しているが、対策の種類や、どれだけ強い措置を取るかは国によって様々だ。

アジアと欧州の封鎖解除後を見据えて

再開戦略は国により様々だが、欧州は中国と比べて、感染流行サイクルの早い段階で経済を再開させるようだ。また欧州は、大規模検査や接触者追跡や感染者隔離を実施する能力の点でもアジアの最善例に後れを取っているかもしれないが、これはプライバシー規則が厳格であることの表れでもある。例えば、欧州委員会は追跡アプリを推奨してはいるが、使用はあくまでも任意だ。新型コロナウイルスとの闘いに打ち勝ったと確信をもって宣言できる国は存在しないとはいえ、欧州はこうした傾向ゆえに中国を含むアジア諸国と比べてリスクが高くなっているようだ。
欧州でもアジアでも、都市封鎖などの制限は市民に多大な経済的犠牲や精神的犠牲を強いている。そして人々がこれらの措置の解除と経済の再開を切望するのは痛いほどよく理解できる。しかしながら、新規感染を速やかに特定して抑え込む措置が広く整備される前に性急に事を進めてしまうと、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止のためにこれまで成し遂げてきたことが水の泡となってしまい、新たな人的犠牲や経済的犠牲が生じる危険がある。この先例のない封鎖を解除する行程を計画する際、アジア・欧州の国々は、慎重に歩を進め、焦ってしまったがゆえに時期尚早となり感染流行の再発を招くことがないようにすべきだ。
李昌鏞(イ・チャンヨン)   ポール・トムセン 著
李昌鏞(イ・チャンヨン)はIMFアジア太平洋局長。IMFでの勤務前にはアジア開発銀行でチーフエコノミストを務めた。アジア開発銀行では、経済動向や開発トレンドについての情報発信を担当するとともに経済調査局を統括した。韓国の大統領直属G20首脳会議準備委員会企画調整団長も務めた。金融委員会への任命前には、ソウル大学の経済学教授、ロチェスター大学の准教授。また、青瓦台(大統領府)、財政経済部、韓国銀行、証券保管振替機構、韓国開発研究院などで、韓国政府の政策アドバイザーとして活躍。主要な関心分野はマクロ経済学、金融経済学、韓国経済。こうした分野で幅広く論文を発表してきた。ハーバード大学で経済学博士号を取得。ソウル大学で経済学士号取得。

ポール・トムセンは2014年11月からIMFの欧州局長を務めている。デンマーク国籍。44か国の国別サーベイランス、欧州中央銀行などEU機関との政策対話、IMFが支援するプログラムのための議論を統括している。また、欧州におけるIMFの広報活動、欧州政府高官との対応も担当している。現職の前には、世界金融危機、そして、その後のユーロ圏危機の影響を受けた欧州諸国に対するIMFプログラムを主に担当した。それ以前には、1987年から2008年にかけて中東欧諸国を担当し続け、同地域について幅広い知見を得た。IMF代表団団長として域内の複数国を担当し、1998年金融危機時にロシア課長として務め、2001年から2004年にはモスクワにあるロシア駐在代表事務所長の役を担った。

IMFコミュニケーション局
感染者数が123万人を突破したブラジルの「コロナ禍」報道は正しいのか?
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2020年6月26日
Brazil
6/26(金) 15:31配信  HARBOR BUSINESS Online
KTa☆brasil(ケイタブラジル)>【KTa☆brasil】公式サイト:keita-brasil.themedia.jp

ブラジルの新型コロナウイルス(以下COVID-19)感染者が123万人、死者は5万5000人を突破したという。このことについて日本のマスコミで連日報道されているのは、ブラジル保健省の発表によるCOVID-19感染者数/犠牲者数の断片的情報をもとに、「爆発的に増えています」という内容ではないだろうか。これは事実である一方で、誤った紹介の仕方、誤解を生む印象の強い報道がほとんどだ(実際の世界各地の数値は、Googleで国名を入れるとリアルタイムに地域別グラフ・マッピングで確認できる)。
 今回は日本の皆さんに、ブラジルについて正しくご理解いただき、誤解されないよう、ブラジルのCOVID-19における事実関係を整理・解説したい。
 ブラジルに関して、誤解を生みやすい日本のマスコミ報道のポイントをまとめてみた。
①「ブラジルでは~」という報道のあり方
②「ボルソナロ大統領の失策によって~」という報道
③「南半球ブラジルは冬に向かっていて今後感染がさらに懸念される」という報道
④「発表されている数」は本当か?

「ブラジルでは~」という大雑把な紹介が不正確さと誤解を呼ぶ

 日本のTV各局や報道機関をチェックすると「ブラジルが~、ブラジルでは~」と端的にニュースを流しているのが常だ。一般的にはよく知られていないかもしれないが、ブラジル連邦共和国はアメリカ本土やEUよりも国土面積が大きく、日本の約23倍もの国土に約2倍の人口を持っているのだ。
 大国であるブラジル国内には時差があり、3つの時間帯に分けられている。当然、民族文化、地理的な気候、食文化、経済、歴史に至るまで多様な差異がある。平面の地図ではなく、正確な面積を表す地球儀を見ていただくと一目瞭然だ。
 それを「ブラジルでは~」と一言で片づけることはCOVID-19に限らず、かなり不正確さを生む報道で、誤解を生みやすくなる。たとえば、日本でも正確な情報を伝える場合に「ヨーロッパでは~」とは言わず、「どの国の~どの都市では~」と伝えるし、「アメリカでは~」とは言わず「ニューヨーク州~何市では~」となるはずだ。西海岸南部のサンディエゴで起きていることと、東海岸北部のニューヨークで起きていることを一緒に考える日本人はあまりないはずだ。
 大国において「一つの州が日本の規模と同等くらい」であることは珍しくない。番組でテロップこそ出ているが「サンパウロ州では~」さらに「大都市サンパウロ都市圏では~」「サンパウロ市内では~」などと“ブラジルの状況を正確に説明するメディア”が日本ではあまりにも少ないのが現状だ。
 現在のブラジルは、人口が約2億1000万人。面積は日本の約23倍、州の数は26州+連邦首都ブラジリア直轄地(合計27)。COVID-19に限らず「まるでブラジル全土で物事が一律であるかのような不正確で乱暴な報道」はそろそろ終わりにするべきではないだろうか。
 以下、COVID-19についてのブラジル連邦共和国:最新状況(現地時間2020年6月25日現在)をまとめてみた。
【COVID-19感染者数(死亡者数)】(抜粋)
◇ サンパウロ州 約24万8587人(1万2588人)
◇ リオデジャネイロ州 約10万6133人(9450人)
◇ アマゾナス州 約6万7267人(2731人)
◇ 首都ブラジリア連邦区 約3万8871人(509人)
◇ マトグロッソ・ド・スル州 約6523人(61人)
〈参考:各州保健局と、そこからの更新にもとづき、ブラジル主要各メディア:Extra紙、O GLOBO紙、G1、Folha de S.Paulo、Uol、Estado de S.Pauloが報じた数値。およびGoogle(リアルタイムより少し遅い)による正式発表〉
 州ごとに見てみると、サンパウロ(南半球最大の大都市)が2位のリオデジャネイロ州の倍以上で、桁違いに多いのがわかる。また、ブラジル国内でも大きな差異があるのがわかる。これが「人口に対する数」となると、また印象が大きく変わるはずだ。日本でも東京都心と地方とで感染者数に差異があるように、州内でも差異があるのが当然だ。

「南半球のブラジルは冬に向かい、感染がさらに懸念される」という報道のおかしさ

 前述のように、ブラジルは国内で大きな差異があって一律ではない。赤道直下の北部は常夏だ。基本的には、南半球では南へ行けば行くほど寒くなるが、ウルグアイやアルゼンチンと国境を接するブラジル最南部リオ・グランデ・ド・スウ州でも亜熱帯性気候に属する。
 最も冷え込み、積雪もあるサンタカナリーナ州の一部の山間部であっても、日本の真冬のような厳しい冷え込みになる日数は少ない。だから、日本の報道にある「ブラジルは冬に向かっている」という表現はまるで、ブラジルに日本レベルの冬がやってくるかのような不正確な印象を与えるのではないだろうか。

「ボルソナロ大統領の失策によって~」という報道のウソ
 ブラジルはCOVID-19以前から、現職のボルソナロ大統領(2019年1月~)に対するプロテスト派と支持派とに分かれ、これまでにない大きな歪みと苦悩にあふれている状況だ。
 ボルソナロ大統領による人種差別、女性蔑視的発言はこれまでもたびたびあり、世界的に話題となってきた。またブラジルの銃規制を緩め、アメリカから銃器を積極的に輸入するという流れもこれまであった。
 COVID-19では感染予防対策をするどころか、多くの犠牲者を記録してもなお続く数々の強硬的失言には疑問を持つ支持者もいる。まるでブラジルの持たざる大衆をさらに苦しめ、階級支配体制を強化するようにも見えなくない。
 次に、ボルソナロ大統領のCOVID-19についての発言をまとめてみた。
▼世界的流行のはじめ:「COVID-19はマスコミによるデッチ上げだ」
▼COVID-19犠牲者1人:「ただの風邪にすぎない!」
▼犠牲者10人:「アスリートのように健康管理すれば良いだろう!」
▼犠牲者100人:「一部の高齢者が死ぬだろう!」
▼犠牲者1000人:「私は墓堀り人ではない!」
▼犠牲者1万人:「だから何?」
▼犠牲者2万人:「州知事たちと市長たちが悪い!」
▼犠牲者3万5000人:「死者数を隠そう!」
 こうした無責任なボルソナロ大統領によって、ブラジルはCOVID-19対策をしない方針で、野放し状態となって来たのだろうか? 答えは「NO」だ。
 日本のメディアでは報道されていないが、大国ブラジルの各州知事の権限・独立性は大きい。日本政府よりも早い時期にボルソナロ大統領とは正反対のCOVID-19対策を早急に行なっていた州知事や市長も数多くいる。ボルソナロ大統領のコロナ対策の無さはブラジル国民の批判の的だ。しかし、「ブラジルは大統領が“コロナはただの風邪”と言って対策をしない方針の国」と単純に考えるのも大きな間違いなのだ。
 現在もCOVID-19対策をめぐり、ブラジル政府議会と大統領派、各州/各市の方針は異なり、そのやり合いは続いている。すでに保健省大臣が4月以降だけで2名が更迭された。死者数を非公開にしたボルソナロ大統領に対し、ブラジル最高裁判所がすぐに対抗。行政に情報開示の指示を出し、政府保健省による発表は再開された。

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発表されている感染者・死者数は本当なのか?

 その一方で「反ボルソナロ大統領派」の中にも、ブラジルのCOVID-19感染者数、また死亡者数の発表に対して、懐疑的な人たちがいるのが現状だ。さまざまな見解がブラジル国内でもある。
○「感染者数は実際よりもっと多いはず」
○「死者数は、COVID-19による死者ではない数も入れられている」
○「もともと基礎疾患に問題があった人たち、他の健康的問題があった人たちがCOVID-19で亡くなった場合が少なくない」
 こういった見解がブラジル人たちの生の声だ。
 ブラジルに限ったことではないが、マスコミによって日々数値が発表される一方で、“COVID-19を取り巻く実態は未だ不明瞭な点が多い”のも現実ではないだろうか。
 このような理解や考察なしに、大国の出す目立つ総量数だけをもとに「ブラジルでは~」と(特に日本では)乱暴に印象づけられているのではないだろうか。

<文・/KTa☆brasil(ケイタブラジル)>【KTa☆brasil】公式サイト:keita-brasil.themedia.jp
東京生まれの日本人。世界各大陸で活動する音楽家、ライター、番組レポーター。神奈川県の在日米軍施設の近くで育つ。同時にサッカー/野球/F1GPとの関わりから「汎ラテン圏の民衆力」に着眼。米国を経て1997年よりブラジル各地での活動を継続中。共著書『リオデジャネイロという生き方』(双葉社)ほか、寄稿多数。MTVやFM各局、NHKテレビ「スペイン語講座」などのレギュラー出演を経て、戦後日本体制の常識に疑問を持つ。世界各地の民族史と音楽史、移民史、混血文化史を、現地との関わりを持って研究し続けている。『Newsweek』誌「世界が尊敬する日本人100」に選出。

 
2020年07月15日 【襲来!新型コロナウイルス】コロナ禍をうまく乗り切った国ベスト10位
東南アジアから7か国! 日本9位の理由が「クルーズ船騒ぎ」とは?

各州バラバラの対応で感染拡大を許したアメリカ。コロナ禍で失業率14.7%~アメリカ社会にとって数字以上に大きな傷
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新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっている。WHO(世界保健機関)が2020年3月11日にパンデミック宣言を出してから4か月が経った。
各国が新型コロナ感染拡大防止のため、さまざまな対策を打ってきたが、アメリカやブラジル、インドのように感染拡大に歯止めがかからない国と、台湾、香港のように抑え込みに成功した国と明暗が分かれる。
そんななか、ニッセイ基礎研究所が7月3日、「新型コロナウイルスと各国経済 コロナ禍をうまく乗り切っている国はどの国か? 49か国ランキング」という調査レポートを発表した。

1位台湾、2位マレーシア、3位香港、4位タイ、5位中国...

東南アジア諸国が10位中7か国を占め、日本も9位にランクインしている。いったい、なぜ東南アジア諸国はうまく乗り切っているのか、レポートをまとめた調査員に取材した。
レポートをまとめたのは、ニッセイ基礎研究所の経済研究部准主任研究員・高山武士さんだ。
厳しい感染防止対策と経済維持政策はブレーキとアクセルの関係にあることから、各国政府は難しい舵取りの中で政策実行を行っている。そこで、高山さんは感染を抑制し、かつ経済活動も維持できている国を「うまくコロナ禍を乗り切っている国」としてランキング付けを行い、評価した。
コロナ対応力評価の先行事例としては、米のニュースメディア「POLITICO」や英エコノミスト誌、企業と非営利団体のコンソーシアム「Deep Knowledge Group」などが、それぞれ独自の切り口で評価を発表しているが、高山さんは非常にシンプルでわかりやすい切り口で各国を評価、総合点を導き出した。「コロナ被害」と「経済被害」をいずれも小さく抑えているかという観点で評価したのだ。
「コロナ被害」については(1)累積感染者数(2)感染拡大率(3)致死率、のデータを使った。「経済被害」については、コロナ禍によって失われたGDP(国民総生産)の損失を推計した。そして、それらを合計して総合点を計算した。
その結果、1位台湾、2位マレーシア、3位香港、4位タイ、5位中国、6位韓国、7位オーストラリア、8位ニュージーランド、9位日本、10位ノルウェーと、10位以内に東南アジア諸国が7カ国もランクインした
=図表参照。

逆にワースト10位は、ペルー、ブラジル、メキシコ、スペイン、フランス、英国、ベルギー、米国、スウェーデン、イタリアと、中南米と欧米諸国ばかりという結果になった。


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(図表1)各国のコロナ対応の評価の上位20位まで(ニッセイ基礎研究所・高山武士氏作成)
東南アジア躍進の秘訣は初動体制の早さと島国だから

どうして、こんな結果になったのだろうか――。J-CASTニュース会社ウォッチ編集部は、調査をまとめた高山武士さんを取材した。
――ランキング上位国をみると、1位台湾、2位マレーシア、3位香港をはじめ東南アジア諸国が10位までに7か国も入っています。これはアジア人が新型コロナウイルス感染症にかかりにくいとよく言われるように、アジア人特有の生活習慣や人種的な理由が考えられるのでしょうか。
高山武士さん「過去に似た種類のコロナウイルスがアジアで流行して住民の一部に免疫があるとか、人種などによる遺伝情報の違いで免疫能力に差があるとか、あるいはBCGを接種している国に患者が少ないとか、いろいろな可能性が指摘されています。京都大学の山中伸弥教授もホームページで、日本人やアジア人に感染者が少なく、致死率が低い理由の『ファクターX』を解明すれば、今後の対策戦略に活かすことができるはずと指摘しています。

私は医学の専門外なので、そうした理由については言及できません。生活習慣の違いに言及する方もいます。たとえば、欧米人は日曜ごとに教会に集まって密集したり、握手やハグを交わしたりする人が多いが、アジア人は少ない。また言葉も、欧米人が使う言語は破裂音が多く飛沫が飛びやすい。アジア人、特に日本人はモゴモゴと喋り、飛沫が少ない。また、パーティー文化の有無も大きいでしょう。いずれも感染者数の多さに影響を及ぼした可能性は否定できません。しかし、そうした習慣よりも何よりも、コロナ対策の初動が早かったことが東南アジア諸国で被害が少なかった大きな理由として注目したい点です」
――初動体制の早さが決め手になったということですか?
高山武士さん 「はい。台湾や香港、韓国などは2002年~2003年に中国南部から全世界に拡大したSARS(重症急性呼吸器症候群)や2015年のMERS(中東呼吸器症候群)のパンデミックの時に、手ひどい被害にあっています。その時の経験が生かされて、昨年(2019年)暮れ、中国・武漢で『謎の肺炎』が発生しているという情報が流れた時に、中国当局が詳細な発表をする前に各国が素早く動き出しました。
もっとも早かった香港は昨年末から空港で監視と感染者のモニタリングを開始しました。台湾も12月31日から国民に注意を呼びかけています。中国に遠慮して対応が遅れたと、メディアから批判を受けた日本でさえ、1月7日から『咳や発熱等の症状』がある人に対して、自己申告制ですが検疫官に申し出るよう空港で検疫体制を敷きました。こうした水際作戦の早さが功を奏しました。東南アジア諸国の多くが島国であることや、国の面積が狭いことも有利に働いたと考えられます」
2020年07月24日 日本は世界に誇るべき「社会主義国」です
                     周 来友(しゅう・らいゆう)

POGONICI/SHUTTERSTOCK
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<貧しくとも豊かな生活が昔の中国にはあった。だが私の祖国はあれから大きく変わった。移り住んだ日本で、まさか理想の社会主義を見つけるとは思ってもみなかった>

ご存じの読者も多いと思うが、中国は完全なる社会主義国だった。1978年に改革開放が始まるまでは、贅沢こそできないが、皆が平等に暮らせる社会がそこにはあった。

1963年に浙江省紹興市で生まれ、23 歳で来日するまで紹興と北京で生活していた私にとって、思い出深いのが配給制度だ。肉の配給は月に1回、つまり肉にありつけるのは1カ月に1度だけだった。年に1回は「布票」と呼ばれる布の引換券が配られ、それを元に布を購入していた。その布を使って母が、ミシンで新しい服――いわゆる人民服――を作るのだ。


こんな話をすると同情する人もいるかもしれないが、私自身に嫌な記憶はない。むしろ配給は待ち遠しいイベントだったのである。そんな、貧しくとも豊かな生活が昔の中国にはあった。しかし中国は、あれから大きく変わった。

今はむしろ日本のほうが「社会主義国」だ。配給制度こそないけれど、平等で弱者に優しい社会がそこにある。少なくとも私はそう感じる。資本主義の悪い面ばかり取り入れ、社会主義の悪い面ばかり残してしまった祖国。まさか日本で、理想の社会主義を見つけるとは思ってもみなかった。

社会主義が嫌で中国を脱出してきた人の中には、日本が中国よりも社会主義的だと知ってガッカリする人もいる。しかし私は、むしろ最近の中国にガッカリしており、その思いはこの新型コロナウイルス禍でますます強まった。「特色ある社会主義」などとうたっているが、弱者ばかりが割を食うあの弱肉強食社会のどこが社会主義なのか。

日本では教育の機会がおおむね保障されており、大卒で会社に入れば、だいたい皆同じくらいの給料からスタートする。中国もアメリカも過酷な競争社会だが、日本では正社員ならそうそうクビになることはない。また、日本に人種差別がないとは言わないが、中国人として日本で学び、働いてきた私自身は、これまで差別された経験がない。中国ではアフリカ系の人々への差別が深刻だが、それと比べるのはおかしな話だろうか。

それに、日本では医療費が安いため、病気になれば貧しくても医者にかかれるし、スーパーやコンビニ、ファストフード店も多いので、食べ物も割と安価に購入できる。東京ではあちこちでホームレスの人たちを目にするが、彼らも他の国でよく見掛けるような「物乞い」ではない。

【関連記事】コロナ騒動は「中国の特色ある社会主義」の弱点を次々にさらけ出した


ロックダウンしても何の補償もしない中国と比べれば

もちろん、そんな日本にも貧困から抜け出せない人は大勢いて、とりわけ最近は格差が拡大していることを私も知っている。それでも、貧しい人や苦しんでいる人を助けようとせず、逆に石を投げ付けるような者が多い今の中国と比べれば、ずいぶんましだと思ってしまう。 コロナ禍での経済補償に対しても、額が不十分だ、給付が遅過ぎると怒っている人が多いが、補償はゼロではない。ロックダウン(都市封鎖)で国民の経済活動を封鎖しながら何の補償もしない中国を知る私からすれば、中国籍でも給付してくれる日本の特別定額給付金制度は大変ありがたい。 このコラムで韓国出身の李娜兀(リ・ナオル)さんも書いていたが、外国人にもコロナ支援の手を差し伸べているのは非常に素晴らしいことだ。韓国でも外国人には支給していなかったし、アメリカの給付金も留学生の多くが対象外だったらしい。どうです? 私も中国とだけ比べて日本が素晴らしいと褒めているわけじゃないんです。 日本のメディアは格差拡大の現状を憂い、それに対する政府の施策を厳しく批判する。それ自体は報道環境が健全であることの証しだ。ただ、私のような見方があることも知ってもらいたい。日本は日本流の「特色ある社会主義」を誇りに思い、それを世界にもっと「輸出」すべきだ。

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