Ken&Maryの日曜名画座
K&Mセカンドライフ名画鑑賞録
毎日が日曜日SecondLife
『一日一膳』 『一日一名画』 日曜名画座
≪資料:
goo映画から≫
恐怖の報酬  1952年(フランス)★★★★ 禁じられた遊び    1952年(フランス)  ★★★★★
主演: イヴ・モンタン 第6回カンヌ国際映画祭グランプリ男優賞
第3回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞
監督 ルネ・クレマン
主演:ブリジット・フォッセー   ジョルジュ・プージュリー 
あらすじ あらすじ
中央アメリカのラス・ピエドラスという町は世界各国の食いつめ者が集るところだ。コルシカ人マリオ(イヴ・モンタン)もその例外ではなかったが、彼には酒場の看板娘リンダ(ヴェラ・クルーゾー)という恋人がいた。そんな町へ、パリで食いつめた札つき男ジョー(シャルル・ヴァネル)が流れてきてマリオと親しくなった。ある日町から五〇〇キロ先の山の上の油井が火事になり、多くの犠牲者が出た。石油会社では緊急会議の結果、山上までニトログリセリンを運び上げ、それによって鎮火することにした。危険なニトログリセリン運搬の運転手は賞金つきで募集され、多く集った希望のない浮浪者の中からマリオ、ビンバ、ルイジ、スメルロフの四人が選ばれた。選に洩れたジョーは大いに不服だった。翌朝三時、マリオとルイジとビンバは約束通りやって来たがスメルロフは姿を見せず、ジョーが現れた。何故スメルロフが来ないのか、そんな詮索をする暇はない、ジョーが代りに加ってマリオとジョーの組が先発、三十分遅れてルイジとビンバの組が出発した。マリオの組は、ジョーが意外に意気地がなくて二人の協力がうまく行かず、後から来たビンバ組に追いこされてしまった。崖の中腹に突き出た吊棚の上を危うく通りぬけたのち、車は道路をふさいでいる大石のためストップしてしまった。しかし、沈着なビンバは少量のニトログリセリンを使用して大石を爆破し、無事に通りぬけることができた。そのあとは坦々とした行進がつづき、一同もほっとしたとき、突如ビンバの車が大爆発を起し、跡かたもなくけし飛んだ。爆発のあとは送油管が切れて石油がたまりかけていた。早くここを通りぬけないと油に車をとられて二進も三進も行かなくなる。マリオは思いきって車を油の中にのり入れた。そのとき、ジョーが油に足をとられて倒れたが、車を止めることができないばかりに、マリオは倒れたジョーの脚の上を通りぬけなければならなかった。そしてジョーを助け上げ、介抱しながらようやく目的地につくことができたが、そのとき、ジョーは既に息絶えていた。ニトログリセリンのおかげで火事は消しとめられ、マリオは賞金四千ドルをもらった。重責を果して空車を運転しながら帰途につくマリオの心は軽かった。しかし、リンダとの幸福な生活を眼前にしてはずむ彼の心を魔が捉えたのか、僅かのカーヴを切りそこねたトラックは、希望に開けたマリオをのせてもんどりうって崖下に転落した。
フランスで製作され1952年に公開された映画である。アカデミー賞外国映画賞ヴェネツィア映画祭金獅子賞受賞
一九四〇年六月のフランス。パリは独軍の手におち、田舎道を南へ急ぐ難民の群にもナチの爆撃機は襲いかかって来た。五歳の少女ポーレット(B・フォッセイ)は、機銃掃射に両親を奪われ、死んだ小犬を抱いたままひとりぼっちになってしまった。彼女は難民の列からはなれてさ迷ううち、牛を追って来た農家の少年ミシェル(G・プージュリー)に出会った。彼は十歳になるドレ家の末っ子で、ポーレットの不幸に同情して自分の家へ連れ帰った。ドレ家では丁度長男のジョルジュが牛に蹴られて重傷を負い、大騒ぎしているところだった。ポーレットはミシェルから死んだものは土に埋めるということを始めて知り、廃屋になった水車小屋の中に彼女の小犬を埋め十字架を立てた。墓に十字架が必要なことを知ったのも彼女にとって新知識であり、以来彼女はこのお墓あそびがすっかり気に入ってしまった。ジョルジュは容態が悪化して急死した。そのとき、隣家のグーアルの息子フランシスが軍隊を脱走して帰って来た。グーアル家とドレ家は犬猿の仲だったが、フランシスとドレの娘ベルトとは恋仲であった。ジョルジュの葬式の日、ドレは葬式馬車の十字架がなくなったことに気づいたが、これはミシェルがポーレットを喜ばすために盗んだのだった。ミシェルは更に教会の十字架を盗もうとして司祭にみつかり、大叱言を喰った。しかしミシェルとポーレットはとうとう教会の墓地まで出かけて、たくさんの十字架を持ち出した。ジョルジュが死んではじめての日曜日、ドレ一家は墓参に出かけたが、ジョルジュの墓の十字架がなくなっているのを見て、ドレは、グーアルの仕業にちがいないと思い込み、そこへ来たグーアルと大格闘をはじめた。しかし司祭の言葉で盗んだのはミシェルだとわかり、ドレはミシェルが何のために十字架を盗んだのか理解に苦しんだ。翌朝、ドレ家に二人の憲兵が訪れた。ドレはてっきり十字架泥棒がばれたものと思ったが、実はポーレットを孤児院にひきとりに来たのだった。ミシェルの必死の懇願にもかかわらずポーレットは連れさられた。雑踏する駅の一角、ポーレットは悲しく母を呼び求めて、ひとり人々の間を駈け去って行った。




奇蹟の輝き 1998年(アメリカ)★★★ キューリー夫人 1943年(アメリカ) ★★★
主演:ロビン・ウィリアムズ 主演:グリア・ガースン ウォルター・ピジョン  
あらすじ あらすじ
医師のクリス(ロビン・ウィリアムス)は愛する妻アニー(アナベラ・シオラ)と二人の子供イアン(ジョッシュ・パドック)とマリー(ジェシカ・ブルックス・グラント)に恵まれて、幸せな日々を送っていたが、ある日不慮の事故で子供たちを失い、悲しみに沈む。ほどなく、彼自身も事故で命を落とし、天国へと召された。かつての恩師アルバート教授(キューバ・グッディング・Jr.)と出会い、彼に導かれてロマンティックな天国で歓喜に浸るクリスだったが、地上では子供と夫に先立たれたアニーが悲しみのあまり自殺してしまった。自殺した者は地獄へと落とされてしまう。これを知ってショックを受けた彼はアニーを救うために天国を出て地獄へと旅立つ決心をする。アルバートは彼を死後の世界の道案内人トラッカー(マックス・フォン・シド)の元へ連れて行く。案内人はクリスにアニーはクリスに会っても彼が誰か分からないだろうと告げるが、クリスの決意は固い。クリスは地獄の世界でアニーを探し求め、ついに彼女を見つけるが、アニーはやはり彼が誰か分からなかった。だが、アニーを思うクリスの愛が奇蹟をもたらすのだった。










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パリ・ソルボンヌ大学のペロー教授の講義をきく学生の中にマリー・スクロドウスカというポーランドの女学生がいた。彼女は物理学と数学を研究していたが、教授は彼女に鋼鉄の磁性を専攻するように勧め、実験室として物理化学部のピエール・キューリーの実験室の使用を斡旋した。教授は2人を紹介するため自宅に招いた。内気なピエールは相手が女であることを知って困ったが、しばらくするうち彼女の明敏な頭脳を尊敬するようになった。1日マリーとピエールはアンリ・バックレル教授の実験室に招かれ、不思議な現象を参観する。それは為真乾板の上に鍵を乗せ、その上にれき青ウラン(ピッチブレンド)を置くと乾板が鍵の影像を感光するのである。何か新しい光線がれき青ウランの中に含まれているに違いない。しかしマリーとピエールとは自分たちの研究があるので、この現象の研究に没頭することは出来なかったが、2人とも常にこの現象を考え続けるのであった。マリーの卒業が近づいた。卒業すれば彼女はポーランドへ帰るのである。ピエールは極力マリーにパリで留まることを勧めるが、彼女が帰国の決心を覆えさないので、最後の数日を田舎に住む自分の両親の許で送るように勧める。ここでピエールは勇を決してマリーに結婚を申し込み、彼女の承諾を得る。2人は自転車で新婚旅行に出発し、楽しい幾日かを過ごしたが、語ることはいつもれき青ウランのふうしぎな力についてであった。ついに2人はその研究に専心することを決心した。2人の研究は辛かった。しかし協力してあらゆる困難と戦い、着々研究は進められた。ついに2人は新元素の存在を確信するに至った。しかし大学当局は2人の研究に費用を出すことを拒み、2人が実験室として与えられたのは見すぼらしい掘立小屋であった。彼らはこの小屋に立て篭って日夜を分かたぬ実験に没頭し、数ヵ月の後、ついにラジウムの分離に成功したのである。かくしてキューリー夫妻は一躍世界に名を馳せることになった。この発見を独占企業化すればあらゆる富は彼らの物になる所であった。しかし彼らは富貴を好まず、ラジウムを無料で世界に送った。彼らはお互いを持っている。この上何が欲しかろう。大学は素晴らしい実験室を夫妻のために建てた。その落成当日、盛大な式典の後で、実験室は夫妻に捧げられることになっていた。その日は雨が降っていたが、ピエールは愛妻が晴れの式典につけるための耳飾りを買いに外出した。帰宅の途中彼は滑る歩道に足を奪われ、荷馬車にひかれて不慮に死を遂げてしまった。彼女が人生から求めるすべてを失ったマリーは、しかしピエールと共に始めた研究を単身雄々しくも続けるのであった。



奇跡の人  1962年(アメリカ) ★★★★★ 疑惑の影  1942年(アメリカ)★★★
主演: アン・バンクロフト パティ・デューク 
アカデミー主演女優賞/アカデミー助演女優賞
監督 アルフレッド・ヒッチコック
主演: テレサ・ライト  ジョゼフ・コットン
あらすじ あらすじ
1880年代の後半、ケラー家では7歳のヘレン(パティ・デューク)の色も音もない、感触だけを頼りに生きている姿に、大きな悩みを持っていた。盲学校に依頼してその卒業生アニー(アン・バンクロフト)が少女の教育に来てくれた。彼女の苦闘が始まる。手でアルファベットを綴る方法、行儀の躾け、だがヘレンのそれは強制の結果でしかないことに気づき、深刻な懐疑に包まれた。ただ、何かを求めて成長しようとするヘレンの気持ちに支えられ、夫妻に自分とヘレンの2人だけにしてくれるよう頼み、肉親の同情と燐憫の生涯を説いた。2週間、アニーは与えられた猶予に全力を尽くした。森の中の小屋。アニーを嫌うヘレンもやがて慣れ、食事、散歩、手の綴りも上手くなった。2週間は過ぎ、あと1週間をケラー氏(ヴィクター・ジョリー)に頼んだが、家に連れ帰ってしまった。家に帰った少女を再び甘やかすに違いない肉親たちを前に、アニーは自分の無力感をかみしめた。夕食の帰宅祝の席、家に帰ったことを知ったヘレンは2人だけの生活の時とは逆にあえて手掴みで食べ、水差しを倒す。家族たちの反応を探ろうとする少女の本能的な計算がそこに感じられ、今日は特別とひきとめる母親(インガ・スウェンスン)をふりきってヘレンを井戸に引きずり出し、こぼした水を水差しに汲ませた。井戸の冷たい水、それがヘレンをとりまくカベを破った。生後6ヵ月で<水>を知り、まわらぬ舌で発音さえしたヘレンの記憶がいまここで甦ったのである。理性の光が“理解"するという形で少女に初めてさし込んだ。








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加州サンタ・ローザの町に住むニュートン一家は平和な生活を続けていたが長女のチャーリーは家庭を生々としたものにしたいと思いそのためには母の弟のチャーリー叔父に来てもらいたいと思っていた。当のチャーリー叔父はある犯罪のため身に迫る危険を知って加州へ高飛びして偶然にもニュートン一家に仮寓することになった。一家は悦んで彼を歓待した。ある日、ジャック・グラハムとサンダースという二人の男がニュートン家を訪れて来た。彼等は政府の調査員として米国の中流家庭の調査に来たとのふれこみだったがチャーリー叔父は彼等が探偵であることを見破り二人を避けていた。ところがうっかりしたところを写真に撮られたので怒ってフィルムを奪ったが、そのただならぬ様子に傍らにいたチャーリーは怪しんだ。その夜チャーリーはジャックから、彼等が叔父をある殺人事件の容疑者としてその確証を握りに東部の警察から派遣されて来たのだといわれ、協力を求められたが、叔父を信用しているチャーリーは、彼の申し出を固く断った。だが叔父が破り棄てた新聞の記事にも疑いを持った彼女は、早速図書館へ行き新聞の綴込みを調べると、金持ちの未亡人を次々に殺害して金を奪った犯人が西部へ逃亡した形跡があり、目下厳探中であると書かれてあった。そして最後の被害者の名前が、叔父から土産にもらった指輪の裏に刻まれている頭文と符合しているので、もはや叔父の犯罪を認めないではいられなかった。チャーリーは家族の名誉を守るために、叔父が捕縛される前に家から出そうと決心した。叔父に対して自分が総てを知っていると匂わせたり、証拠となるべき指輪を示して退去を迫ったが、叔父は平気な顔で滞在を続けるのであった。そして逆に自分の身の安全を計るために、事実を知っているチャーリーを殺そうとして、排気ガズを充満させたガレーヂに彼女を閉じこめたが幸いにも彼女は救われることが出来た。やがて叔父は自ら出発すると言い出した。彼は町で知り合った金持ちの未亡人と密かに他所へ行く予定だったのだ。出発の日叔父を見送りに列車内に入ったチャーリーの手を叔父はしっかり握り、列車が動き出しても話さず、彼女を車から突落して殺そうと計った。しかし列車に轢かれたのはチャーリー叔父だった。サンタ・ローザの教会で、彼の葬式が行なわれた時、チャーリーとジャックは二人だけが知っている事実を胸に秘めて参列していた。






帰郷  1978年(アメリカ) ★★★★ 君へつづく道  2005年(アメリカ) ★★★★
主演:ジョン・ヴォイト ジェーン・フォンダ
アカデミー賞 主演男優賞/主演女優賞 /脚本賞
主演:ホアキン・フェニックス アカデミー賞主演女優賞
あらすじ あらすじ
1968年のロサンジェルス、サンタモニカ。貞淑な人妻サリー(ジェーン・フォンダ)は、夫である海兵隊大尉ボブ(ブルース・ダーン)をベトナム最前線へ送り出した後、ボランティア活動の一環として基地付属病院で働くことにした。バイ(ペネロープ・ミルフォード)という若い女性の紹介のおかげだった。バイもまた、恋人のモブリー軍曹(ロバート・ギンティ)を戦場へ送り出し、病院で働いていた。サリーの仕事は、ベトナムからの傷病帰還兵の身の回りの世話と看護だった。初めて病院へ出向いた日、サリーはハイスクール時代、同級生だったルーク(ジョン・ヴォイト)と会う。ルークはベトナム戦争で傷つき、下半身麻痺の患者としてその病院で治療を受けていたのだ。一方、バイにはこの病院で治療を続ける弟ビル(ロバート・キャラダイン)がいた。彼は五体満足ではあったが精神面で深く病んでいた。サリーとルークの間には単なる患者と看護婦という関係を越えた精神的な交流が芽生えていった。ルークはサリーと出逢ってから見違えるほど人間が変わり明るさを取りもどしていった。ある日、サリーはルークを夕食に招き、その夜、2人は結ばれる。精神的ともいえる結びつきがサリーにこれまでにない充足感を与える。それからしばらくして、前線のボブから香港で休暇を過ごさないかという連絡が入り、サリーは出かけるが、数カ月ぶりに接した夫は、どこか戦争の狂気にとり憑かれているように見えた。一方、病院では精神的にすっかり憔悴したビルが自殺するという事件が起きる。ルークの反戦意識は増し、ある夜、ベトナム戦争反対の無言の示威行動を実行する。以来、彼の行動はFBIの監視するところとなりサリーとの関係もキャッチされてしまう。やがて帰還したボブは髪型を変え、スポーツカーを乗り回す妻の変化に疑惑を抱き、銃剣を振りかざして妻を問い詰める。その場はかけつけたルークの説得で無事に終るが、英雄として帰還したボブの価値感は脆くも崩れ去るのだった。数日後、ルークはハイスクールのボランティアの集会に招かれ反戦の気持をぶちまける。一方、生きる気力をなくしたボブは結婚指輪をはずし沖へ向って泳ぎ出していた。同じ頃、ショッピング・センターには夫のために買い物をしているサリーの姿があった。
空軍を除隊したジョニー・キャッシュ(ホアキン・フェニックス)は、初恋の女性ヴィヴィアン(ジニファー・グッドウィン)と結婚し、テネシー州メンフィスで訪問セールスの仕事を開始した。向かない職業について塞ぎ込んでいたジョニーは、ある日、街角のサン・レコードに飛び込んで強引にオーディションの約束を取りつける。空軍時代に書いた曲を歌った彼は合格し、プロのミュージシャンとして活動を始めることになった。やがてツアー中、少年時代の憧れの的だったタレント、ジューン・カーター(リーズ・ウィザースプーン)と共演したジョニーは、彼女への恋心を燃やしはじめる。だが前夫との離婚の傷が癒えないジューンには、妻子のいるジョニーとの恋に向かう気力はなく、まもなく2人は仲違いしてしまう。彼らが再び音楽活動を共にするようになったのは、6年後の1964年。この間にジューンは再婚し、ジョニーはヴィヴィアンとの関係が悪化してドラッグに逃避する日々を送っていた。まもなくジョニーは覚醒剤を密輸して逮捕され、どん底へと落ちる。皆から見離された彼に、ジューンは手を差し延べた。そして68年、ジョニーは刑務所でのコンサートを成功させて復活。さらにカナダのステージ上でジューンに40回目のプロポーズをし、ついに彼女の承諾を受けるのだった。






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キング・コング 1933年版(アメリカ) ★★★★ キング・コング 2005年版(アメリカ)  ★★
主演:フェイ・レイ   ロバート・アームストロング 主演: ナオミ・ワッツ   ジャック・ブラック
アカデミー視覚効果賞/音響編集賞/録音賞
あらすじ あらすじ
カール・デンハムは猛獣映画等の撮影で儲けている男であるが、ノルウェーの一帆船の船長から手にいれた秘密の楽園によって世界未知の島に怪獣を撮影しに出かけた。従来デンハムの映画には1人の女性も出なかったので、色気がなさすぎるという評判だったが、今度の遠征撮影には、危うく倫落の淵に陥ろうとしていたアン・ダーロウという美人を救い、彼女を主役として同伴することとなった。一行は数週間の航海の後、スマトラ島の西南遥かに、普通の海図には記載されていない一孤島をついに発見した。この島にはどくろの形をした山と大きな城壁があって、コングという巨大なゴリラが棲んでいると言われていた。コングは島の「ぬし」で、原住民たちは毎年一人の処女を生け贄として捧げる風習があった。そしてデンハム一行が上陸した時は、この祭典を行う時季に相当していた。島の酋長は美しいアンを見て、黄金の女であると喜び、コングに捧げるには絶好と、夜半船に忍び込んでアンを誘拐した。アンはかくて祭壇に縛り付けられ、コングに奪われた。数週間行を共にしている間にアンに恋を感じるようになっていた若者ジョン・ドリスコルは、身を挺して彼女を助けに赴いた。コングの棲む深山には前世紀の怪獣が棲息していて、コングと闘うのであった。ドリスコルは苦心の結果、コングの虚を利してアンを救いだした。そして生け贄を奪還されて怒って襲来したコングは、毒ガス弾のために気絶して倒れ、生け捕られてしまう。デンハムは怪獣コングをニューヨークに連れ帰り大儲けをしようと考えた。ニューヨークの大劇場で初演の日、舞台に鉄鎖で縛りつけられたコングは、新聞社写真班のフラッシュがアンを殺すと誤解して打ち驚き必死の力をだして厳重な鉄輪と鉄鎖を切って逃げだした。コングはニューヨークの雑踏中に横行して、高架電車を破壊し、アンをホテルの窓から奪い、ニューヨーク第一の摩天楼エンパイア・ステート・ビルの頂上に登った。警察は飛行機4機を出動させて機関銃を乱射して、ついにコングを倒し、アンを救うことに成功した。
1933年、大恐慌時代のニューヨーク。売れない女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)は芝居小屋が突然閉鎖になり路頭に迷う。そんな彼女を救ったのは、出資者から見離された映画監督カール・デナム(ジャック・ブラック)。彼は幻の島へ行って冒険映画を撮ることに賭けていた。最初は彼の誘いに抵抗を感じたアンだが、脚本が憧れのジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)のものだと知り、承諾。こうしてデナムは、助手のプレストン(コリン・ハンクス)に命じ、主演男優のブルース・バクスター(カイル・チャンドラー)らスタッフと機材を3時間足らずで船に乗せ、急いで大西洋へと出航していった。唯一、本当の目的地をデナムから聞いていたエングルホーン船長(トーマス・クレッチマン)は、危険を承知で南インド洋の海域に近づいていく。そしてデナムが探し求めていた髑髏島に辿り着いた。上陸したクルーは、原住民たちの攻撃に遭って数名が命を落とす。まもなく彼らにアンがさらわれ、巨大な野獣、キング・コング(アンディ・サーキス)がアンを奪い去る。アンを追ってジャングルの奥地に進むクルーだが、恐竜や未知の生物に襲われ、次々と命を落としていく。一方、アンはコングと心を通わせるようになっていた。やがてジャックが、アンを連れ戻すことに成功。怒ったコングを、デナムは生け捕りにしてしまう。数か月後、コングはブロードウェイで人間たちの見世物にされていた。その最中に怒り出したコングは、拘束具を破壊してニューヨークで暴れ出す。街がパニックに陥る中、コングはアンを優しく捕まえて、エンパイアステートビルの頂上に登っていく。だが機銃掃射を全身に浴びて力尽き、落下。そして頂上に残されたアンのもとに、追い掛けてきたジャックが登ってくるのだった。




奇跡 1979年(ベルギー・デンマーク) ★★★ 奇跡の丘  1964年(イタリア) ★★★
主演:ヘンリク・マルベルイ  エミル・ハス・クスリテンセン 主演:エンリケ・イラソキ
あらすじ あらすじ
大きな農場を経営するボーエンは敬虔なキリスト教徒。みずからこの地に農場を開拓し、教会も立ち上げた。仕事と信仰にはとても自信をもっている。ボーエンは三人の息子と一緒に住んでいる。長男のミカエルには妻と二人の娘がいる。ミカエルはとても実直で、仕事にも熱心である。次男のヨハネスは神学を勉強し、キルケゴールを学んだあげく、精神に異常をきたした。三男のアーナスは人に影響を受けやすく、まだ頼りない。ミカエルの妻、インガーは二人の娘の母親であり、お腹に赤ちゃんを宿している。とても信仰深く、夫に良く仕え、家事をなんでもこなし、気難しい義父であるボーエンにもよく仕えている。夫のミカエルは神を信じてはいないが、インガーを心から愛し、ボーエンもインガーに心から信頼を寄せている。インガーの大きな愛がこのばらばらになりそうな家族全体をつなぎとめ支えている。
大富豪となり、社会的には成功したボーエンも心の底には悩みを抱えていた。
三人の息子がボーエンの悩みの種だった。長男は信仰から離れ、次男は神学校に行ったのだが精神に異常をきたし、三男は別の宗派の娘との結婚を望んでいる。三人の息子の悩みから、ボーエン自身の信仰の確信もゆらいでいた。
家族に問題がおこるとみんなが頼りにするのはインガーだった。アーナスは別の宗派の娘との結婚の話を父親に切り出すことができず、ミカエルとインガーに相談する。インガーはこの難しい話を父親にうまく話すことを引き受ける。ボーエンはアンダースの恋人の父親であり、別の宗派のリーダーである洋服屋のパターソンに会いにいくが、パターソンと言い争ってしまう。パターソンの家でもめているボーエンにインガーが難産で苦しんでいるとの緊急の連絡がミカエルから入るのであった・・・。
予言者の言葉通り、ヘロデ王の代にべツレヘムの大工ヨゼフの婚約者マリアは、聖霊によって懐妊し、生まれた子はイエスと名づけられた。迫害を逃れるため行っていたエジプトからイスラエルにもどり、ガラリヤで成人したイエス(E・イラソキ)は、ヨハネのもとで洗礼を受けた。その時天から声かひびきわたり、イエスが神の子であることを告げた。彼はただひとり、荒野で四十日間の断食、さらに悪魔と対決し、退けた。その後イエスはガラリヤ全地を巡り歩き、教えを広め始めた。群衆を伴って山にのぼっては、神の国の福音を説ききかせた。そしてイエスは数々の奇跡をも行なった。しかし、悔い改めるものばかりではなかった。イエスは、自分が長老や司祭たち、律法学者たちから苦しみを受け、殺されることを知っていたが、それでも怖れずエルサレムめざして布教の旅を続けた。エルサレムについたイエスは、長老や司祭たちの偽善を責め、最後の審判の日の近いことを説くのだった。やがて過ぎ越しの祭りの日、十二人の弟子とともに晩さんの席についた。そして「この中の一人が私を裏切るであろう」といった。預言通り、イエスは弟子の一人ユダに売られ、ゴルゴタの丘で十字架にはりつけになった。それから三日目、イエスは復活し、十一人の弟子の前に姿を現わした。
出典:goo映画
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北国の帝王  1973年(アメリカ) ★★★  キリング・フィールド 1985年(イギリス)★★★★
主演:リー・マービン . 監督 ローランド・ジョフィ 主演:サム・ウォーターストン  ハイン・S・ニョール
アカデミー賞助演男優賞・編集賞・撮影賞受賞 
あらすじ あらすじ
1933年。29年からアメリカを襲った経済史上空前の不況のために、失業者は浮浪者と化し、彼らはホーボーと呼ばれていた。ホーボーたちは鉄道を利用して野宿地から他の野宿地へ移動した。彼らは貨物列車や家畜車に乗るのが常套手段であったが、やむを得ない場合は車輪と車輪の空間に巧みに身を忍ばせて移動するという危ない綱渡りもした。だが、オレゴン州のウィラメット・バレーに来るホーボーたちは、そこを通過する19号車に乗ることは避けていた。この列車の車掌シャック(アーネスト・ボーグナイン)は冷酷無比な男で、彼はホーボーたちの無賃乗車は絶対に許さなかった。ハンマーを携え、ホーボーたちを見つけたらその場で殴り殺すというすさまじさだった。だが、この狡猾なシャックの裏をかいて、いつも悠々と19号車に乗っているホーボーがいた。Aナンバー・ワン(リー・マーヴィン)と呼ばれ、ホーボーから“北国の帝王"というニックネームを贈られている男だ。ある日、Aナンバー・ワンのニワトリを盗もうとして失敗したシガレット(キース・キャラダイン)という若者が彼の王座を奪おうと、行動を共にするようになった。そのために19号車で思わぬ失敗を犯したが、そんなことでひるむA・ナンバー・ワンではなかった。崖下でひと息いれると、彼はあたりに捨ててあった油の空きカンを集めて、それを持って再び線路に現われた。A・ナンバー・ワンはその空きカンの底に残っていた油を集めてレールに塗り始めた。シガレットもそれをまねた。これはやがてここを通過する客車の機関車の車輪を空回りさせて、1時停止させ、その間に列車に乗り込み、ある地点で19号車においついたとき、それに乗り換える方法だった。この計画は見事に成功した。それから3日目の朝、シャックは2人のホーボーが車の下に潜んでいるとにらみ、得意の鉄棒つきの綱で2人を撃退する手を使った。この戦法は効を奏してAナンバー・ワンはさんざん痛めつけられ危うくなった。シガレットはその気になれば彼を助けられたのに知らん顔をしていた。それでもAナンバー・ワンは降参しなかった。鉄棒の責苦をのがれるためにAナンバー・ワンは、車のエア・ブレーキをかけて列車を急停車させたからたまらない。シャックはふり落とされ、火夫は傷つき、機関士は気を失い、最後部に乗っていたブレーキ係りは死んだ。やがてシャックの指図により19号車は発車した。そして彼は、車によじ登ろうとしているシガレットを見つけ、鉄製のクサリで殴り殺そうとした。Aナンバー・ワンはシャックに怒鳴った。「シャック、貴様の年貢の納め時が来たぞ!」。無蓋車の上で鎖を手にしたシャックと、それに立ち向かうAナンバー・ワンとの血みどろの決闘が始まった。Aナンバー・ワンが無蓋車の羽目板にかけてあったマサカリをとって反撃に出て、シャックに重傷を負わせ、車から突き落とした。彼はシガレットをも突き落とした。19号車はばく進を続け、Aナンバー・ワンの叫び声だけが木霊する。「貴様のようなチンピラに“北国の帝王"をまねる資格はない。貴様のようなチンピラは物ごいをして歩くのが分相応だ、金輪際人まねをするんじゃねえぞ」。



1973年8月。ニューヨーク・タイムズの汽車シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、特派員としてカンボジアの首都プノンペンに来た。当時のカンボジアはアメリカを後楯にしたロン・ノル政権と、反米・救国を旗印に掲げた革命派勢力、クメール・ルージュとの闘いが表面化した時期でもあった。カンボジア人のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)が、現地で彼の通訳・ガイドとして仕事を助けてくれることになった。翌74年に入って、革命派のプノンペン進攻は目前に迫った。外国人や政府関係者は、必死に国外へ出ようとかけずりまわり、プランの家族も、シャンバーグの手を借りて、無事にアメリカへ旅立った。同年4月、プノンペン解放、ロン・ノル政権はついに崩壊、新しくクメール・ルージュを率いるポル・ポト政権が誕生した。シャンバーグ、プラン、そしてアメリカ人キャメラマンのロックオフ(ジョン・マルコヴィッチ)、イギリス人記者のジョン・スウェイン(ジュリアン・サンズ)は、病院に取材に行くが、クメール・ルージュの兵士に逮捕される。プランは三人の命の恩人となったのである。四人は最後の避難所であるフランス大使館へと逃げ込むが、やがて、カンボジア人であるプランだけが、クメール・ルージュに引き立てられ、どこかへ連行されていった。数日後、シャンバークたちは無事、国外へ避難することができた--。ニューヨークに戻ったシャンバークは、プランの身を案じながらも、カンボジアの取材記事でピューリツッァー賞を受賞した。この栄誉はすべてプランのおかげだった。受賞式の日、ロックオフがシャンバーグを訪れ「あの賞が欲しくてプランを脱出させなかったんだな」となじるのだった。--その頃、プランは、過去の身分を隠し、クメール・ルージュの監視下で労働していた。町の住人たちは農村で強制労働させられ、子供が親をスパイするという惨状の中で、数え切れないほどの人々が殺された。やがて、辛くも脱走したプランは累々たる屍を踏み越えて、とある村にたどりつき、村の長の家でハウスボーイとして働くようになる。しかしその主人もクメール・ルージュに殺されたため、託された少年とともに村を脱出。途中、地雷で少年は死に、プランが死ぬ思いをしながら、タイの難民キャンプにたどりついたのは、79年も秋になったころだった。プラン生存の連絡を受けたシャンバーグは、タイの難民キャンプへ飛んだ。「許してくれ」とシャンバーグ。「許すことなどないよ」とプラン。抱き合う二人をカーラジオから流れるジョン・レノンの“イマジン"が優しくつつみ込んでいた。


ピューリッツァー賞を受賞したシドニー・シャンバーグとディス・プラン(左)



奇跡の旅  1993年(アメリカ) ★★★  キッチン 1997年(香港・日本) ★★
主演: ベン (Shadow) Rattler (Chance) Tiki . 主演:富田靖子 カレン・モク チャン・シウチョン 
あらすじ あらすじ

ピーター(ベンジー・タール)、ホープ(ヴェロニカ・ローレン)、ジェイミー(ケヴィン・シェヴァリア)の3人兄弟の母ローラ(キム・グレイスト)は、ボブ(ロバート・ヘイズ)と再婚することになった。しかし子供たちは新しい父親になかなかなじめない。しかもボブの仕事の都合で引っ越すことになった新しい家はペット厳禁で、ゴールデン・レトリバーのシャドウ(声: ドン・アメチー)とヒマラヤンのサシー(声: サリー・フィールド)と、アメリカン・ブルドッグのチャンス(声: マイクル・J・フォックス)と別れなければならなくなった。シェラネヴァダの麓に住むケイト(ジーン・スマート)に預けられた3匹は、家族たちのことが心配でたまらず、ケイトの留守中荒野へと旅立った。最初はお互いになじめなかった3匹だったが、グリズリーと出会ったり、急流に流されたサシーが九死に一生を得たりといった冒険の旅を続けるうち、強い心の絆で結ばれていく。その頃、3匹の失踪を知った子供たちはパニック状態になるが、ボブが忙しい仕事の合間にペット捜索願いのビラを作っていることを知り、子供たちはボブを少し見直す気になる。旅を続ける3匹は、途中で迷子の女の子を助けるが、女の子を保護した捜索隊の一人がビラで見た3匹だと気づき、一家に連絡を取って動物保護センターに連れていくが、3匹はそこを野良犬収容所と勘違いして脱走を計る。そしてようやく山を越えると懐かしい町が眼下に広がった。しかしその時、シャドウが深い泥穴に転落してしまった。チャンスとサシーはなんとか助けようとするが、どうにもならず、家族のもとへ助けを呼びに急ぐ。家族の皆は家で3匹を待っていた。チャンスとサシーに少し遅れて、自力で脱走したシャドウも帰って来て、冒険の旅は終わりを告げるのであった。

唯一の家族である祖母を亡くし、天涯孤独の身になった少女アギー(富田靖子)は、絶望のあまり台所の床に身を横たえて毎日を過ごす。そんな彼女を案じて、祖母の美容師だった男ルイ(陳小春)が一緒に暮らすよう誘う。ルイの「父」エマは、妻を亡くしたあと、性転換で「母」になった人物。こうして三人の奇妙な同居生活が始まるが、やがてエマは殺されてしまう…。
原作の小説を書いたのは日本人。それを香港の監督が映画化し、日本人と香港人の俳優が演じ、映画の舞台は香港と本土中国。ストーリーは、原作に忠実。愛する人を「死」によって奪われた者たちの、成長と再生の物語。テーマもそのまま。原作との大きな違いは、舞台を日本から香港に移したこと、主人公・桜井みかげはアギーに。相手役の雄一はルイ。登場人物もすべて香港人に変わっているが違和感は全くない。アギーの絶望と再生の場面は、青。エマの死を暗示する場面は赤。ルイの絶望と再生を象徴するのは白。三つの色を使い分けた映像が、フランス映画のように美しい。巌監督は原作から脚本を書く作業に取りかり、 主演俳優もすぐに決まった。翌九五年の東京国際映画祭で審査員を努めた巌監督は、富田がやはり中国人役を演じた「南京の基督」を見て、彼女の演技力に注目していたからだ(この映画祭で富田は最優秀女優賞を獲得している)。「『キッチン』は非常にセンシティブな物語です。だから、繊細な女性が主役に欲しかった。富田は優しさと悲しさの両面を備えている。それこそが、私が探し求めていた資質だった」 「無常。この世に永遠に続くものは何もない。死は人生の一部である。『キッチン』は、それを若者が理解する、という成長の物語なのです」 



金色の嘘 2000年(イギリス・アメリカ・フランス) ★★★  北ホテル 2000年(イギリス・アメリカ・フランス) ★★★
主演:ジェレミー・ノーザム ユマ・サーマン  . 主演:アナベラ ジャン・ピエール・オーモン ルイ・ジューヴェ  
あらすじ あらすじ
1903年、没落したイタリア人貴族のアメリーゴ公爵(ジェレミー・ノーザム)は、恋人シャーロット(ユマ・サーマン)に別れを告げ、米国の富豪ヴァーヴァー(ニック・ノルティ)の娘で、シャーロットの親友でもあるマギー(ケイト・ベッキンセール)と結婚する。それから2年後、シャーロットはなんとヴァーヴァーと結婚してしまい、シャーロットとアメリーゴは義母と娘婿の関係になった。3年後のロンドン、社交界の華となったシャーロットは、アメリーゴと不倫の関係に陥ってしまう。マギーはひょんなことから2人の関係を知ってしまい、アメリーゴを叱責するが、やがて夫婦は信頼感を回復させていく。そしてマギーとの愛を貫くことに決めたアメリーゴは、ヴァーヴァーの庇護から離れてローマで暮らすことを決意。悲嘆の涙にくれるシャーロットは、ヴァーヴァーに抱きしめられアメリカへと旅立っていくのだった。







パリ。北停車場からほど遠からぬところ、サン・マルタン運河にそった石畳の町。運河には閘門があり、また山形に高くかけた橋がある。運河にそって細長い小公園もある。自動車もほとんど通らない。パリの市中とも思えないほど静かなこの界隈に北ホテルがある。ホテルのお客は小市民諸君である。その晩、北ホテルの食堂はにぎやかであった。小公園の番人マルタヴェルヌの娘リュセットがその日初聖体を受けたので、そのお祝いのささやかな宴会である。そこへ若い男女が一夜の宿を乞うた。女中ジャンヌが二階の一室へ案内する。若いピエールとルネは思いあまって心中を企てたのである。男は失業しているし、よるべない孤児のルネはピエールの外に頼る人もない。ピエールは最後の金でピストルを買ったのである。最後のキスを交して男は女を射った。あけに染ってベッドに倒れた恋人の姿を見ると、男はぼう然として銃口を己れの胸に擬するすべもない。銃声を聞いて隣の部屋の男が入って来た。四十がらみのその男は若い殺人者を取っておさえようともせず、目顔で逃げろと教える。つかれたようにピエールは表へ飛び出し、公園のしげみにピストルを捨てて走り出した。北停車場に近い陸橋の上から、走って来る貨物列車めがけて身を投げようとしたが、心おくしてそれも果さず、その未明、彼は自首した。併しルネは死んではいなかった。意外の軽傷で警官にひかれたピエールと共に検事が病院に訪ねて来た時、ルネは合意の心中であったと証言したピエールは未決監に入れられ、ルネはいくばくもなく全快した。ルネは北ホテルに来て主人夫妻に礼をのべ、行く処もないので、すすめられるままに女中として住み込んだ。泊り客、食堂の常連のたれ彼が美しいルネを口説いたり、からかったりする中で、そんな気振を見せないエドモンこそ実はルネに最も心引かれたまである。ピエールに射たれた時、ルネを病院に運んだ四十がらみの男が彼であった。ルネが女中に住み込むと、エドモンは情婦のレイモンドと手を切った。浮気な男殺しのレイモンドにいや気がさしたのであろう併し彼はルネを口説こうともしなかった。口説いたのはルネであった。刑務所に面会に行くと自分に対する恥と怒からピエールが別れるといったので、ルネはどこかへ行ってしまいたい気持になったのである。ルネはエドモンが昔の仲間につけ狙われていることを知った。それでエドモンにどこかへ逃げようと持ちかけたのである。二人は手を携えてマルセイユの港まで行った。併し未練のあったルネは男にだまって北ホテルへとって返した。そして再びピエールに会った。こん度は彼もルネの愛と心尽しを拒むことは出来なかった。彼は二人で更生の道を歩もうと約束した。折しも七月十四日、パリ全市は国際を祝って、音楽と花火の音にわき返った。北ホテルの前の通は踊る人々で埋まった。酒と菓子を運ぶのに忙しいルネに会いに来たのはエドモンであった。ピエールが明朝釈放されると聞くと彼はさようならといった。彼をねらっているナザレトが待っている北ホテルの一室へエドモンは入った。銃声と花火と音楽に消えたも知らず早朝迎えに来たピエールと手を取り合ってルネは北ホテルを去った。



 キャスト・アウェイ 2000年(アメリカ) ★★★  危険がいっぱい  1964年(フランス) ★★★
主演:トム・ハンクス ヘレン・ハント ニック・サーシー  . 主演:アラン・ドロン ジェーン・フォンダ ローラ・アルブライト  
あらすじ あらすじ
宅配便フェデックスのシステム・エンジニア、チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、恋人ケリー(ヘレン・ハント)と久しぶりに時間を過ごした後、南米行きの飛行機へ乗り込んだ。しかしその飛行機は、太平洋上で墜落。ふと気がつくと、チャックは無人島に流れ着いていた。近くを通る船はなく、彼はたった一人で、さまざまな工夫を凝らし、無人島で生活する術を身につけていく。友達はバレーボールのウィルソンだけだった。それから4年。原人のような姿になった彼は、ついにいかだを作って島を脱出する。荒れ狂う波でいかだは半壊になってしまうが、危機一髪で近くを通りかかった大型船に救出された。それから4週間後、彼は地元のメンフィスへ帰る。しかしケリーは、歯科医のジェリー(クリス・ノス)と結婚して、子供まで作っていた。チャックとケリーはまだお互いに愛し合いながらも、それぞれの道を歩むことを決意するのだった。 マーク(アラン・ドロン)はいかさまカード師。あるホテルで休暇を過していたが、ある日、四人のアメリカのギャングに連れ去られた。マークがボスの妻君に親切過ぎたためだ。だがマークは上手く逃げのび、救世軍施設に逃げ込んだ。ギャングはそこも嗅ぎつけた。マークはその追求を逃れるため、たまたまここを訪れ、食物を施すアメリカ未亡人バーバラ(ローラ・アルブライト)の運転手として雇われ、別荘に住むようになった。ところがこの家には彼女のいとこのメリンダ(ジェーン・フォンダ)の他に、秘密の部屋に住むバーバラの愛人ビンセントがいた。彼女がマークを雇ったのも、実は殺人犯のビンセントと逃げるためのパスポートが目的だったのだ。メリンダはマークを深く愛した。だが、彼はバーバラに想いを寄せている。彼がバーバラとこの家を逃げ出そうとしていることを知ったメリンダは二人の仲をさこうとした。彼女の打った一通の偽電報は、バーバラの裏切りを示すものだった。マークは激怒して、密室からのビンセントの看視も忘れて難詰した。彼女は彼を逃れるため、秘密の廊下に入った。が、二人の激しい話を盗み聞きしたビンセントが、バーバラを殺してしまった。そして運転手の姿をしたビンセントがマークに迫った。だが、銃声と共に倒れたのはビンセントであった。マークを追うギャングが間違えたのだ。マークとメリンダは二つの死体を処理しなければならない。車に死体を積み、二人は捨て場所を探しに出た。途中、メリンダは警官にその死体のことを告げた。彼はうまく脱出、別荘に逃げ帰った。しかし、お尋ね者になったマークはこの家を出ることは出来ない。メリンダの、愛する男を止めておく唯一の方法に、まんまとひっかかったのだ。マークはビンセントになり代り、秘密室の住人になった。



  キッチンストーリー 2002年(ノルウェースウェーデン)★★★   96時間 2008年(フランス)★★★
主演:ヨアキム・カルメイヤー トーマス・ノールシュトローム ビョルン・フローベリ  . 主演: リーアム・ニーソン マギー・グレイス リーランド・オーサー  
あらすじ あらすじ
ノルウェーの田舎で一人暮らしをしている、年老いたイザックの元へ、フォルケという男がやって来た。主婦の台所仕事が世界的に重要視され始めた1950年代初頭。キッチン棚の大きさや調理台の高さなど、台所の国際的な規格が出来上がっていた。そこでは製品開発など多くの面で「行動心理学」が大きな役割を果たしており、1944年にスウェーデンで発足した「家庭研究所」では、「ノルウェーとフィンランドにおける独身男性の台所での行動パターン」についての調査が開始されようとしていた。フォルケはその「家庭研究所」の調査員であり、トレーラーで国境を越えてスウェーデンからノルウェーにやってきたのだった。イザックは「馬」がもらえるという理由からこの調査に応募していたが、彼が手にしたものはスウェーデン特産の赤い「馬の人形」だった。応募したことを後悔したイザックは、フォルケを家に入れることを拒否。しかし、数日後、ようやくあきらめたイザックの家の台所には、彼を見下ろす奇妙な監視台が設置された。調査される側と調査員との間には、「お互い会話してはいけない」「いかなる交流ももってはならない」などのルールが厳しく決められていた。一日中、黙って自分を見下ろすフォルケに気を許せないイザックは、キッチンを使わず寝室でこっそり調理をする。弱った体を心配して、時々友人のグラントがお茶を飲みに尋ねてくる以外は、イザックの家に人が出入りすることは無かった。お互い気まずい観察生活が続いたある日、ついにフォルケとイザックは口をきいた。ゆっくりと確実に深まっていく二人の距離。いつしか、お互いにコミュニケーションをとることが楽しみになっていた。イザックの誕生日。フォルケは自分のトレーラーにイザックを招待し、いっぱいのロウソクを立てたケーキでお祝いする。トレーラーの外には、楽しそうな二人を窓から見て、持ってきたケーキを手に帰ろうとするグラントの姿があった。楽しい日々を過ごす二人だったが、フォルケは調査員としてのルールを破っていた。ついに頭のかたい上司に知られてしまい、フォルケはクビを言い渡されてしまう。そんなフォルケにイザックは、自分と一緒にクリスマスを過ごさないかと提案する。しかし、イザックの提案を受け入れたフォルケの元へ上司マームバーグが現れ、「スウェーデンとの国境までトレーラーを運べ」と命じるのだった 元合衆国秘密工作員のブライアンは家庭を顧みない以前の生活のせいで、退職した今も妻子と別れたまま、ボディーガードなどの仕事をしている。ある日、ひとり娘のキムが観光旅行でパリに向かうが、現地でキムは謎の一味に誘拐されてしまう。ブライアンはいても立ってもいられず飛行機で現地へ。統計によれば誘拐事件発生から96時間後、人質の救出は不可能に近くなる。ブライアンはアルバニア系人身売買組織の仕業とにらむが……。


本作に続きベッソン製作「パリより愛をこめて」も手掛ける撮影監督出身のP・モレル監督が、その男っぽい作風を先駆けて開花。愛するひとり娘を救うという、たった一つの目的に向かって邁進し続ける主人公像はB級テイストながら骨太の魅力だ。展開の速さは邦題のルーツとなったであろうドラマ「24 -TWENTY FOUR-」を凌駕し、バトルまたバトルという見せ場の畳み掛けはかつてのハリウッドのタフガイものの再来を思わせる。かつては演技派の印象が強かったL・ニーソンのワイルドな熱演にも惚れぼれ。



キューポラのある街  1962年(昭和37年) ★★★★★ 嫌われ松子の一生  2006年(平成18年) ★★★
主演:吉永小百合 ブルーリボン賞主演女優賞 主演:中谷美紀   瑛太  伊勢谷友介
あらすじ あらすじ
鋳物の町として有名な埼玉県川口市。銑鉄溶解炉キューポラやこしきが林立するこの町は、昔から鉄と火と汗に汚れた鋳物職人の町である。石黒辰五郎も、昔怪我をした足をひきずりながらも、職人気質一途にこしきを守って来た炭たきである。この辰五郎のつとめている松永工場には五、六人の職工しかおらず、それも今年二十歳の塚本克巳を除いては中老の職工ばかり、それだけにこの工場が丸三という大工場に買収され、そのためクビになった辰五郎ほかの職工は翌日から路頭に迷うより仕方なかった。辰五郎の家は妻トミ、長女ジュン、長男タカユキ、次男テツハルの五人家族。路地裏の長屋に住んでいた。辰五郎がクビになった夜、トミはとある小病院の一室で男児を生んだが辰五郎はやけ酒を飲み歩いて病院へは顔も出さなかった。その後、退職の涙金も出ず辰五郎の家は苦しくなった。そしてささいなことでタカユキが家をとびだすような大さわぎがおこった。タカユキはサンキチのところへ逃げ込んだ。サンキチの父親が朝鮮人だというので辰五郎はタカユキがサンキチとつきあうのを喜ばなかった。そのうえ克巳が辰五郎の退職金のことでかけあって来ると、「職人がアカの世話になっちゃあ」といって皆を唖然とさせた。しかしタカユキが鳩のヒナのことで開田組のチンピラにインネンをつけられたことを知ったジュンは、敢然とチンピラの本拠へ乗り込んでタカユキを救った。貧しいながらこの姉弟の心のなかには暖かしい未来の灯があかあかとともっていた。やっとジュンの親友ノブコの父の会社に仕事がみつかった辰五郎も、新しい技術についてゆけずやめてしまいジュンを悲しませた。街をさまよったジュンは、トミが町角の飲み屋で男たちと嬌声をあげるのを見てしまった。不良の級友リスにバーにつれていかれ睡眠薬をのまされてしまったジュンは、危機一髪のところで克巳が誘導した刑事に助けられた。学校に行かなくなったジュンを野田先生の温情がつれもどした。やがて石黒家にも春がめぐって来た。克巳の会社が大拡張され、克巳の世話で辰五郎もその工場に行くこととなった。ジュンも昼間働きながら夜間高校に行くようになった。克巳もこの一家の喜びがわがことのように思えてならなかった。石黒家は久し振りの笑い声でいっぱいだった。 53才で殺害死体として発見された川尻松子(中谷美紀)の半生を、甥の笙(瑛太)がたどっていく。 福岡で生まれ、病弱な妹の久美(市川実日子)と育った少女時代を経て、松子は中学の教師となった。しかし、教え子の龍(伊勢谷友介)が起こした窃盗を庇ったことで退職、その後は実らぬ恋愛を繰り返しながら堕落していく。ようやく得た新たな仕事は、中州にある特殊浴場のサービス嬢だった。一念発起した松子は、努力と研究を重ねて店のトップへのぼりつめる。しかし、風俗業界の変化の波に追われて、雄琴の店へと移る。そこで同棲していた男の浮気を知った松子は、逆上して殺害してしまう。逃亡して上京した松子は理髪店を営む島津(荒川良々)と出会い、彼の優しさに触れて同棲を始める。ようやく得たささやかな幸福もつかの間、殺人事件を捜査していた警察に逮捕される松子。それから8年間の服役生活を支えたのは、島津へのひたむきな愛だった。刑期を終えた松子は島津の店へ向かうが、すでに彼は家庭を築いていた。落胆した松子を支えるのは、刑務所内で同じ囚人仲間だった沢村めぐみ(黒沢あすか)との友情だった。ストリッパーからAV女優となっためぐみは、夫を得てたくましく生きていた。そして松子が、いまではヤクザとなった教え子の龍と再会する。お互いにすがる相手のいない二人は激しく求めあうが、その関係も龍の逮捕によって断ち切れた。ひとりアパートに閉じこもるようになった松子は、アイドルの追っかけだけを楽しみに生きる。無残に肥満化した松子は、公園で不良中学生たちから撲殺されるが、死体から離れた松子の魂は故郷へと向かって飛翔する。そんな松子の人生は不幸だけではなかったのだろうと、甥の笙は安堵した。




銀座の恋の物語 1962年(昭和37年) ★★★ 君の名(第一部)  1953年(昭和28年) ★★★
主演:石原裕次郎 主演:佐田啓二 岸惠子 淡島千景 
あらすじ あらすじ
伴次郎はジャズ喫茶のピアノひきの宮本と一つ部屋を仕切って同居する絵かきで、「銀座屋」の針子秋山久子を愛していた。そして二人は一緒に考えた“銀座の恋の物語”を大事に胸に秘めていた。次郎と宮本は苦しい生活の中で助けあった。次郎は久子の肖像画作成に没頭した。一方宮本はバーテンたちの企みで、クラブをクビになってしまった。次郎は久子と結婚するために信州の母のところへいくことになった。田舎いきのため、次郎は今まで売ろうとしなかった久子の肖像画を春山堂に売り払った。出発の日新宿へ見送りにいった久子は、横からとびだした車にはねられてしまった。久子は事故現場から姿を消したままになっていた。次郎にはやけ酒の日が続いた。ある日宮本のピアノをひきあげにきた月賦屋を次郎と宮本は悪酔いが手伝って殴り、留置所にいれられた。次郎と宮本が釈放されて帰ってみると、二人の家は消えてなくなり、「銀座屋建築用地」の立札。宮本は憤り、次郎のとめるのもきかず、何処かへきえ去った。幾週かがすぎ次郎は久し振りで宮本にあった。宮本は豪華なアパートに住み、次郎の描いた久子の肖像画をもっていた。宮本の部屋からでた次郎はデパートに流れる久子の声を耳にした。久子は記憶喪失症になっていた。次郎は久子の記憶回復につとめ、二人の記憶がつながる肖像画を買いとりに、宮本の所へ行ったが彼は絵を手ばなさないといった。その時電話がなり、宮本は蒼然と外へとび出していった。彼は偽スコッチ製造の主犯だった。彼はひそかに久子をおとずれ、例の肖像画をおいて、そそくさとでていった。数日後、春山堂で次郎の個展がひらかれ、会場に流れる“銀座の恋の物語”のメロディに久子の記憶は回復した。 昭和二十年五月二十四日の東京大空襲の夜、数寄屋橋の上で互いに命を助け合った若い男女後宮春樹と氏家真知子は、半年後の二十四日の夜、この橋の上で再会しようと約束した。青年は別れ際「君の名は」と聞いたが、彼女は名を言わず立去った。しかし約束の夜真知子は遂に現われなかった。彼女は頑迷な叔父の強制で縁談の為佐渡ケ島に滞在していたのだ。そこの料亭ひさご家の娘綾の協力で、やがて真知子は春樹を探し求めるが、ようよう尋ね当てた春樹の姉で戦争未亡人の悠起枝もなぜか冷ややかであった。一年後の二十四日の晩遂に二人は再会したが、それは真知子が浜口勝則と結婚する前日でもあった。勝則と結婚した真知子の生活はうまくゆかなかった。姑は意地悪く、勝則は春樹との間を疑った。その頃綾は上京して、或宴会の席で勝則に会い、真知子の不幸を打明けるが、綾も何となく春樹に惹かれるのだった。が、春樹は新課長に転任してきた勝則に失職させられる。真知子は夫の卑劣な態度に我慢がならず、春樹の下宿へ詑びに行くが、姑に目撃されて遂に浜口家を飛びだす。数日後、彼女は佐渡ケ島の叔父の家の病床にあった。彼女は離婚を決意するが、既に勝則のたねを宿していた。死の道を選んだ真知子が、巍々たる断崖に辿りついた時、飛んできて彼女の躰を抱きしめたのは春樹だった。結婚をせがむ春樹に、真知子は告げねばならなかった。「いいえ、出来ません、浜口の子供が生れるんです。もはや私の生きている限り、私と浜口は太い鎖でつながれているのです」。鳴咽する真知子と衝哭する春樹の脚下に、佐渡の怒涛が轟然と砕ける。



君の名(第二部)  1953年(昭和28年) ★★★ 君の名(第三部)  1954年(昭和29年) ★★★
主演:佐田啓二 岸惠子 淡島千景  主演:佐田啓二 岸惠子 淡島千景 
あらすじ あらすじ

傷心を抱いて佐渡から帰京した春樹は、じっと思い出の数寄屋橋に佇んだ。真知子に逢えた喜びと真知子と別れた悲しみが、思い出となって甦り、ただせつなかった。数日後彼は北海道で牧場を経営している友人末永の許へ旅立った。一方、真知子も佐渡から浜口家へ帰ってきたが相変らず姑の徳枝は意地悪く、遂に過労から彼女は流産した。その頃鳥羽から上京した悠起枝は街のゴロツキ横山にひっかかるが、偶然会った綾の世話で修造老人や梢達の果物屋を手伝うことになり、店の後援者仁科と結婚することになった。姉の結婚式に久々に東京へ帰ってきた春樹とは入れ違いに、真知子は遥々北海道を訪ねた。アイヌの若者サムロと許婚の間柄であるにも拘らず、春樹を熱愛する末永牧場のアイヌの娘ユミは、真知子の来島に心が騒いだ。やがて春樹は東京から帰って来たが、眼前の真知子に喜びの眼を輝したので、ユミは失望してコタン祭りの晩、摩周湖に身を投げた。サムロもまた彼女を助けようとして死んだ。しかし、春樹と真知子も別れなければならぬ運命にあった。勝則が同居請求手続きをとったため、裁判所の出頭命令が北海道まで真知子を掴まえにきたのである。雪模様の荒涼たる美幌駅で、真知子は春樹に別れを告げた。凝然と向き合った二人、その尽きぬ名残を断ち切るかのように、ゴトリと鈍い音を立てて動き出した汽車は、徐々に速力を増して行った。


出典:goo映画
goo 映画

勝則からの同居請求によって北海道から東京へ帰った真知子は、綾の許に身を寄せて、勝則との離婚調停を申し出たが、勝則が春樹を裁判所に訴えている事を知って、当分永橋の保護の下に春樹とは会わない条件で、告訴を取り下げて貰い、氷橋の計いで九州雲仙に行き、ホテルの事務員として働く事になった。或る日春樹の務めている女性評論社へ勝則が現れ、真知子が春樹以外の男と結婚するのなら離婚してもいいと云った。だが真知子には春樹以外の男と結婚する意志はなかった。夜の女から更生して果物屋を営む梢が、子供の怪我で知り合った医師野島を愛し始めたのも、丁度その頃の事であった。雲仙では真知子がホテルの客副島に求婚されていたが、春樹の存在を知った副島は表向きだけ僕と結婚するという事で勝則から離婚の承諾を得てもいいと道化役をかって出た。急にヨーロッパへ発つ事になった春樹が勝則を訪れた時、真知子と結婚するという副島からの便りを見せられた。春樹は、真知子がこの結婚によって幸福になれるとしたら、祝福したいと思った。その頃勝則は次官の娘美子と近々結婚する事になっていた。その美子から結婚後はお母様とは別居したいと云われた徳枝は、始めて真知子の優しさに気づき、真知子を迎える為に雲仙へ向ったが、途中急性肺炎を起し、真知子の看護を受ける身となった。折も折、ヨーロッパへ発つ春樹が真知子と逢う為にやって来る。しかしその幸福も束の間、春樹は去って行った。一方、勝則は上京して来た副島に離婚の印を渡し、美子との縁談も断った。真知子を愛する副島は再び彼女の許を訪れたが、真知子の純真な心を知って去って行った。上京しだ真知子は感冒をこじらせて病床に着いた。アヤは副島に頼んで急遽春樹をスイスより呼び寄せる。その時、真知子は危篤の状態だったが、春樹、アヤ、副島の徹夜の看病で漸く快方に持直した。三人は疲れた身体を思い出の数寄屋橋の方へ運びながら、もの思いにふけるのだった。




飢餓海峡 1965年(昭和40年) ★★★★ 球形の荒野 1975年(昭和50年) ★★★
主演:三國連太郎 松本清張原作 主演:芦田伸介   乙羽信子   島田陽子
あらすじ あらすじ
昭和二十二年九月二十日十号台風の最中、北海道岩内で質店一家三人が惨殺され、犯人は放火して姿を消した。その直後嵐となった海で、青函連絡船の惨事が起き、船客五百三十名の命が奪われた。死体収容にあたった函館警察の刑事弓坂は、引取り手のない二つの死体に疑惑を感じた。船客名簿にもないこの二死体は、どこか別の場所から流れて来たものと思えた。そして岩内警察からの事件の報告は、弓坂に確信をもたせた。事件の三日前朝日温泉に出かけた質屋の主人は、この日網走を出所した強盗犯沼田八郎と木島忠吉それに札幌の犬飼多吉と名のる大男と同宿していた。質屋の主人が、自宅に七八万円の金を保管していたことも判明した。弓坂は、犬飼多吉の住所を歩いたが該当者は見あたらず、沼田、木島の複製写真が出来るまで死体の照合は出来なかった。だが弓坂は漁師から面白い話を聞いた。消防団と名のる大男が、連絡船の死体をひきあげるため、船を借りていったというのだ。弓坂は、直ちに犬飼が渡ったと見られる青森県下北半島に行き、そこで船を焼いた痕跡を発見した。犬飼が上陸したことはまちがいない。その頃、杉戸八重は貧しい家庭を支えるために芸者になっていたが、一夜を共にした犬飼は、八重に三万四千円の金を手渡し去った。八重はその恩人への感謝に、自分の切ってやった爪を肌身につけて持っていた。そんな時、八重の前に犬飼の件で弓坂が現われたが、八重は犬飼をかばって何も話さなかった。八重は借金を返済すると東京へ発った。一方写真鑑定の結果死体は沼田、木島であり二人は、事件後逃亡中、金の奪い合いから犬飼に殺害されたと推定された。その犬飼を知っているのは八重だけだ。弓坂の労もむなしく終戦直後の混乱で女は発見出来なかった。それから十年、八重は舞鶴で心中死体となって発見された。しかしこれは偽装殺人とみなされた。東舞鶴警察の味村刑事は女の懐中から舞鶴の澱紛工場主樽見京一郎が、刑余更生事業資金に三千万寄贈したという新聞の切り抜きを発見した。八重の父に会った味村は、十年前八重が弓坂の追求を受けたと聞き、北海道に飛んだ。樽見が犬飼であるという確証は、彼が刑余者更生に寄附したことだ。弓坂と味村は舞鶴に帰ると、樽見を責めたが、しらをきる樽見の大罪は、八重が純愛の記念に残した犬飼の爪と、三万四千円を包んだ、岩内事件の古新聞から崩れていった。

昭和三十六年、初夏。関西での取材を終えた新聞記者添田は、大和路で婚約者の野上久美子と合流した。大和路は久美子の亡き父・野上顕一郎がこよなく愛した処であり、彼女は亡父に自分の第二の人生の出発を告げに来ていた。ところが唐招提寺の拝観者芳名帳の中に、亡き父にそっくりの、中国の古人・米帯の書に習った筆跡を発見した。翌日、久美子は添田を伴って筆跡の確認に向かうが、その部分だけが破りとられていた。二人は帰京すると、久美子の母・孝子にこの事を話すが、とりあってくれない。しかし、添田は何となく判然としなかった。久美子の父・顕一郎は、第二次大戦末期、ヨーロッパの某中立国公使館で、一等書記官を務めていたが、終戦一年前、任地で病のため客死した、と当時の正式な公電によって伝えられている。添田は、当時野上の部下で、現在外務省欧亜局課長の村尾、当時現地の特派員で公使館に出入りしていた滝に会ったが、不思議に二人とも反応は冷淡だった。添田が、ますます野上の死に疑問を持った頃、久美子の周辺に奇妙な出来事が続いた。名も用件も告げない電話や、商品が届けられるのだ。元公使館付軍人、伊東が訪問したのもこの頃だった。ある日、久美子と孝子は何者かに歌舞伎座に招待された。添田も内緒で二人の後に歌舞伎座に入ると、そこには村尾、滝、伊東も来ていた。この不思議なめぐりあわせに、添田は久美子の父が生きて、この日本に来ている事を確信した……。長崎。天主堂の見える墓地にひとりの男が佇んでいる。ロベール・ヴァンネード--野上顕一郎である。必死の調査によってヴァンネードが野上である事を知った添田も長崎へやって来た。だが、野上は京都へ発った後だった。京都。野上は滝と当時を回顧していた。野上は、戦争末期、国を捨て、妻子を捨て、日本人である事を喪失してまでも日本を破滅の淵から救うために連合国側と接触した。こうした和平工作を、野上を、伊東たち軍人が憎しみぬいていた。突然、二人に村尾から電話がかかり、当時公使館付書記生で、久美子に会わせるべく野上を日本に呼んだ内田が殺されたと知らされた。犯人は伊東に違いなかった。やがて、野上は伊東に呼び出された。だが、約束の時間に伊東は姿を見せなかった。翌日の新聞に、伊東が自殺した事を報道していた……。村尾、滝から野上の行方を聞き出した添田は、久美子に会いに行くように言った。だが、久美子は会いたいと思いながらも、自分たちを捨てた父を許すことができなかった。観音崎。岩にくだける白いしぶきを見つめている久美子に、東洋的な顔だちをした白髪の紳士が近づいた。「海がお好きですか」「はい……あなたも?」まじろぎもしないで紳士を見ている久美子。久美子は、全身で“父"の存在を感じていた。



疑惑  1982年(昭和57年) ★★★ 霧の旗  1965年(昭和40年) ★★★
主演:桃井かおり, 岩下志麻, 鹿賀丈史 主演:倍賞千恵子 露口茂 滝沢修
あらすじ あらすじ
富山県新港湾埠頭で車が海中に転落、乗っていた地元の財閥、白河福太郎は死亡したが、後妻の球磨子はかすり傷ひとつ負わなかった。しかも、球磨子は過去に情夫と共謀して数数の犯罪を起こしていたことが判明。彼女は夫に三億円の保険金をかけており、この事故も、泳げない福太郎を殺すための擬装ではないかと誰もが疑った。北陸日日新聞の秋谷が積極的に報道を始めた。物的証拠がないまま球磨子は逮捕された。強気の球磨子は弁護士の原山を通じて、東京の花形弁護士、岡村に弁護を依頼するが、彼女の不利な立場に拒否され、原山も健康を理由に辞退。そして、女弁護士の佐原律子が国選弁護人として選ばれた。球磨子は同性でありながら自分とは違いすぎる立場にいる律子に反感を待った。律子も同じ気持だったが、ふとした偶然の事故から福太郎が自殺を企みようとしたことをつきとめた。球磨子は無罪となるが保険金は手に入らなかった。律子は真実をつきとめたが、球磨子を許すことは出来なかった。


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柳田桐子は高名な大塚欽三の法律事務所を今日も訪れた。だが返事は冷たい拒絶の言葉であった。熊本の老婆殺しにまきこまれた兄のために、上京して足を運んだ桐子は、貧乏人のみじめさを思い知らされた。「兄は死刑になるかも知れない!」と激しく言った桐子の言葉を、何故か忘れられない大塚は、愛人河野径子との逢瀬にもこの事件が頭をかすめた。熊本の担当弁護士から書類をとり寄せた大塚は、被害者の致命傷が後頭部及び前額部左側の裂傷とあるのは、犯人がギッチョではなかったかという疑問にとらわれた。この疑問は大塚の頭の中で雲のように広がった。数日後桐子の名前で「兄が死刑になった」と知らされた。大塚は弁護をひき受けなかった自分を悔んだ。兄の死後、上京した桐子はバー“海草”のホステスとなった。そして常連の記者から「大塚が事件の核心を握ったらしい」と聞かされて復讐の念にかられた。その頃桐子は同僚のホステス信子から恋人杉田健一の監視を頼まれた。ある夜尾行中の桐子は、健一が本郷のしもた屋で何者かに殺害される現場に来あわせた。そして桐子は偶然いあわせた大塚の愛人径子に冷たい視線を送った。桐子は健一の死体の側にあった径子の手袋を残すと、健一の親友であった山上のライターをバッグにしまった。径子は殺人犯として逮捕され、大塚の社会的地位もあやぶまれた。大塚は証拠品のライター提出と、正しい証言をもとめて桐子の勤め先に足を運んだ。そんなある夜、桐子はライターを返すと大塚をアパートに誘い、ウイスキーをすすめて、強引に大塚に関係を迫った。翌日桐子は担当検事に「大塚から偽証を迫られ、暴行された」と処女膜裂傷の診断書をそえて訴えた。いまや大塚は完敗した。九州に向う連絡船上、桐子の胸に虚しさがつきあがって来た。




 紀ノ川 第一・二話 1966年(昭和41年)★★★★  祇園囃子   1953年(昭和28年)★★★★
主演: 司葉子 田村高廣 岩下志麻 主演: 木暮実千代 若尾文子 
あらすじ あらすじ

◇第一話・花の巻・明治三十二年、二十二歳の春を迎えた紀本花は紀州有功村六十谷の旧家真谷家に嫁いだ。夫敬策は二十四歳の若さで村長の要職にあった。婚儀は盛大なものだったが、花を好いていた敬策の弟浩策はうかぬ顔たった。翌年の春、ようやく真谷家の家風に慣れた花は妊った。そして花は、実家の祖母豊乃に教えられて慈尊院へ自分の乳房形を献上し、安産を祈った。紀ノ川が台風に荒れ狂う秋、長男政一郎が産れた。長男穣生の報に喜んだ敬策は紀ノ川氾濫を防ぐ大堤防工事を計画するのだった。日露戦争が始まった年、浩策は持山全部をもらって分家し、敬策は県会議員に打って出ようと和歌山市内に居を移した。やがて花は、日本海海戦大勝利の中で長女文緒を産んだ。
◇第二話・文緒の巻・十七歳の文緒は和歌山高女に学び、新時代に敏感な少女に成長した。そして、新思想の教師が追放されると学校当局と派手に渡りあったりして花を嘆かせた。東京女子大に進学した後も、男女平等を標榜しカフェに出入りしたり、「女権」という同人雑誌の編集に参加したりして敬策や花を心配させた。文緒には真谷家という家門や昔風の美徳に生きる花に対する反撥があったのだ。卒業後文緒は同人仲間の晴海英二と結婚した。晴海は日本正金銀行の社員で家柄もよく、二人の結婚は花や敬策の望むものでもあった。昭和初年、真谷敬策は中央政界に進出した。一方、夫の転勤と共に上海に渡った文緒は生後間もない長男を失い、二度目の出産のため日本に帰った。文緒はすっかり変っていた。以前はことごとく花に反撥した彼女が、花とともに乳房形を作って慈尊院へ詣でるのだった。昭和七年、文緒は長女華子を生んだ。そして大戦が始まる少し前、長年政界にあった敬策が急逝した。花の表情はうつろだった。そんな花を見て、文緒は華子に、真谷家の明治・大正時代がこれで終るのだとささやくのだった。花は真谷家を守ろうと六十谷へ戻った。やがて華子が花のもとに疎開してきた。華子は母と違って琴や古い道具を好み、花に可愛がられた。華子が空襲で炎上する和歌山城を眺めていると花は、和歌山は燃えても華子の祖父の事業は残っている、というのだった。終戦を迎えて真谷家は地主の地位を失った。そして、文緒は今では世間の常識を身につけた中年女性になっていた。夏の日、古くから家に伝わる道具類を虫干ししている時、真谷家のために生きた花、家風に反抗した自分、真谷家に素直になじんでいる華子と、三代にわたった母娘のことを感慨深く思うのだった。ある日、敬策の何回目かの法事を迎えた花は突然、真谷家の家財を売り払い、お祭り騒ぎの宴会をやってのけた。文緒は花の人間復活だと喜んだが、翌日花は床についた。そして、晩春のある日、花は峯子に髪を梳いてもらいながらその生涯を閉じた。明治、大正、昭和と三つの時代を生きぬいた花の臨終だった。

祇園では名の売れた芸妓美代春は、彼女に入れ上げて勘当になった若旦那の小川を、強い言葉で追い返した。丁度その時舞妓志願に来たみすぼらしい少女栄子は、美代春も旧知のメリヤス問屋沢本の二号の娘で、零落した沢本の栄子の面倒は一切見ないという言葉にも拘わらず、栄子の健気な言葉に舞妓に仕込む決心をした。そして一年。栄子は愈々舞妓として店出しする事となったが、美代春はその費用三十万円を、祇園一流のお茶屋「よし君」の女将から借りた。やがて栄子の美貌とアプレの奇抜な行動は俄然遊客間の人気を呼んだ。中でも車輛会社の専務楠田は彼女に食指を動かし始めた。実は栄子の披露目の費用は楠田から出ていたのだ。楠田は得意先の某官庁課長神崎と上京する事となり、美代春と栄子も同行した。その夜楠田は美代春に、大事な得意先神崎を客にとるようその部屋へ連れて行き、自分は別室に栄子を呼び接吻しようとするが、栄子は悲鳴を上げて楠田の唇を噛み切った。この騒ぎで美代春も事なきを得たが、これを聞いた「よし君」は面目の潰れた事を怒り、二人は出先の茶屋から出入差留を喰い、祇園祭が近ずいても美代春のやかただけは淋れ切った。





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 祇園の姉妹 1936年(昭和11年)  ★★★  ギターを持った渡り鳥 1959年(昭和34年) ★.★★
監督:溝口健二〔出演〕山田五十鈴、 梅村蓉子 主演:小林旭  浅丘ルリ子 中原早苗  
あらすじ あらすじ
自前芸者の梅吉のもとに、昔のひいき客が無一文になって転がり込んでくる。梅吉の妹芸者おもちゃは、これを追い出すため男達を手玉にとって画策をはかるが・・・。人情家の姉と打算的な妹、姉妹の対照的な生き様を描きながら、芸者人生の悲哀を厳しい視点でみすえた作品。数々の名作を生み出した溝口健二監督、依田義賢脚本によるコンビ2作目で、前作「浪華悲歌」とともに高い評価を得た傑作。





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神戸に近いある港町にギター背中に流れて来た伸次は、喧嘩で危い流しのサブを救ったことから親分の秋津にひきあわされた。秋津は自分の娯楽センター拡張のため、親切ごかしに金を貸し利子の期限切れを種に暴力的に土地を立退かせていた。伸次の腕力と嚇しはマーケットの住民をふるえあがらせた。秋津は沖合にある小島にもセンターを作る関係上丸庄漁業に伸次を使にたてた。しかし丸庄の女房澄子が秋津の実妹と知るとこの仕事を断った。会った時から伸次に惹かれていた秋津の娘由紀は叔母のために手を引いた彼に一層の好意を寄せた。ある日神戸の田口組のジョージがヤクの密輸を沖合で取引きするので舟をかりに来た。秋津の用心棒馬場は丸庄のあかつき丸を担保にとりあげた。秋津組とジョージは取引きのため沖合に出た。挨拶がわりのダイス遊びで見せた伸次の手さばきに、ジョージは彼とどこかで会ったような感じを持った。そこで厭がる伸次にむりやり拳銃を弾たせた。“判ったお前は神戸市警のデカだ。昔俺の舎弟を殺してサツを首になった奴だ”二人が拳銃を構えた時巡視艇が廻って来た。決闘は明晩までのばされることになった。その夜丸庄が溺死体となって発見された。サブの口から秋津の仕業と知った伸次は秋津と手を切る決心をした。翌晩再び海に出た。密輸取引きが終り二つの影が向い合った。その瞬間を狙って馬場の拳銃が二人に向って火を吐いた。伸次は海に消えた。ジョージは傷つきながら馬場を倒した。組のことを知り過ぎた伸次を消し密輸を一人占めしようとする秋津のたくらみであった。秋津の事務所へ伸次は飛び込んでいった。が秋津は拳銃を構えて待っていた。しかし何時の間にか裏口よりやってきたジョージに倒された。深夜の岸壁に対峙した二つのシルエット、同時に二つの影が光った。バシッとジョージの拳銃がフッ飛んだ。パトカーのサイレンが近づいた。沼田刑事と流しのサブ実は大沼刑事である。もう一度デカになれよ、沼田の言葉も聞えぬよう夜霧の中へ伸次は消えていった。ギターのむせび泣きと由紀の涙を残して−−。



木村家の人々 1988年(昭和63年) ★★ 北の国から(1〜24話) 1981-1982年(昭和58-59年)★★★
出演:鹿賀丈史 桃井かおり 主演:田中邦衛 吉岡秀隆 中嶋朋子  竹下景子 岩城滉一 大滝秀治  
あらすじ あらすじ
木村家の家族は財テクというより、小銭集めに忙しい毎日を送っていた。仕出し弁当づくり、老人を使っての新聞配達、妻・典子の色っぽいモーニングコール・サービスなど。夫の肇はサラリーマンでありながら、こういった副業に異常な執念を燃やしていた。照美と太郎もまたちゃっかりしていて、伯父さんから肩たたきを頼まれると必ず後から請求書を出すのだった。しかし、太郎だけはこのような金儲けに後ろめたさを感じており、伯父からもらった聖書を読むうちその思いを強くしていった。典子の実兄・雨宮夫妻は太郎を引き取ろうとするが、肇に追い返された。しかし、木村夫妻も子供は可愛い。思い切って小銭稼ぎをやめることにした。それでも隣の高倉家が自分たちに代わって商売を始めたとなると、木村家も黙ってはいられなくなった。老人会も巻き込んで木村家と高倉家の激しい商売合戦が始まった。一時金儲けをやめていたので、客をすっかり高倉家に取られていたが、太郎の吹くハーモニカでまた木村家に客が戻ってきた。
北海道・富良野を舞台とする大自然の中で暮らす黒板家、黒板五郎(田中邦衛)、純(吉岡秀隆)、螢(中嶋朋子)が繰り広げる自然の中での生活や親子愛、家族の成長などをテーマにしたドラマで、脚本は倉本聰、主題歌・音楽はさだまさしが担当。1981年から2002年の間に、幾度となく新作が発表され、そのたびに大きな話題を集めた。その中でも最高傑作の呼び声が高い、最初の放送(1981年10月〜1982年3月放送・全24回)。

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喜劇 女は度胸 1969年(昭和44年)  ★★ きなこ 〜見習い警察犬の物語〜2010年(平成23年) ★★★
出演:渥美清 河原崎建三 倍賞美津子 主演:夏帆, 寺脇康文, 戸田菜穂  
あらすじ あらすじ
桃山学は自動車修理工で、夜間大学の受験勉強に励んでいる。というのも、父泰三は怠け者だし、母ツネは働く以外は生きる術を知らないし、ダンプカーの運転手をやっている兄勉吉は衝動的な若さを爆発させる動物のように思えたからだった。学はこんな人間の集った桃山家を「家庭」だとは思わなかった。彼は白い柵に囲まれた小さな芝生の庭のある「家庭」を夢みている。そんな学が恋をした。彼女の名前は白川愛子、学は愛子にゲーテの詩集を贈り、二人で別の世界を築いてゆこうと心に決めた。そんなある日、勉吉が見覚えのある詩集を持って帰って来た。勉吉は酒くさい息で「あんないい子がコールガールやってんのかな……」と囁いた。学の疑惑に苦しめられる毎日が始まった。学は連れ込み旅館で問題の女に逢った。その子は愛子ではなかったが、友達からあの本を借りたという。学はホッとしたものの、恋人の仲間にこんな女がいるかと思うと気が狂わんばかりだった。学の苦しみを見て泰三は愛子の友人笑子に会った。この一件より勉吉は泰三と大喧嘩し、学も笑子とつき合っている愛子と絶交してしまった。それからというもの、泰三も勉吉も学でさえも寝るため以外には家に戻らなくなった。そんなある日、愛子と笑子が訪ねて来た。愛子は学と、笑子は勉吉とよりを戻しにやって来たのだ。二人を迎え入れたツネは、いつになく優しく「うちの倅と結婚してくれないかね……」と頼むのだった。 幼い頃杏子は、シェパードに混じって活躍する父とラブラドール・レトリバーのエルフを見て、父のような警察訓練士になる決心をした。成長した杏子は警察犬訓練所の門をくぐったが、初日から寝坊してしまう始末。さらに自分の理想とかけ離れた日々に心が折れそうになるが、ある日生後間もない弱ったラブラドール・レトリバーに出会う。子犬をきな子と命名した杏子は、周りが反対する中「自分がきな子を警察犬にする!」と宣言した。






キクとイサム 1959年(昭和34年) ★★★★ 金環蝕  1975年(昭和50年) ★★★
監督:今井正 出演:高橋エミ子 奥の山ジョージ 北林谷栄 主演:仲代達矢 京マチ子 三國連太郎  
あらすじ あらすじ
キクは小学六年生だ。からだは人一倍大きい。村一番のおテンバである。ガキ大将の少年もかなわない。弟のイサムは四年生だ。これも相当なワンパクなのだ。しげばあさんは孫の姉弟を乳呑児の時から育ててきた。もう二人はばあさんの手におえない。初秋のある日ばあさんはキクに野菜籠を背負わせて町へ連れて行った。病院で診察を受けるためだ。キクが野菜を売り歩くと、人々の好奇の目が集った。病院でも−−キクは一向気にしなかった。ばあさんから貰った十円で行商の雑貨屋から赤いくしを買うと楽しそうに先に帰った。ばあさんは診療を終えた院長に二人のハーフのことを問わず語りに話した。院長はアメリカの家庭へ養子縁組の世話をするところへ頼んであげるといった。−−カメラを下げた見知らぬ男が村へ現れ、仲間と遊んでいたイサムの写真をとった。キクの方は舌を出して逃げた。が、その夜キクは気になって、その男のことをばあさんにたずねた。姉弟のどちらかを養子縁組するのだという。キクはいやだった。しみじみさびしかった。−−イサムは学校で友達から「クロンボ」とののしられた。「おら、クロンボでねえど」友達の頭をガンとなぐった。−−秋祭だ。となりの清二郎夫妻に連れられて鎮守の森へ行った。見物の衆がみんなキクとイサムにたかった。見世物の連中は商売にならぬと怒った。イサムはまた友達とケンカし、ムキになって見世物の棒の足場へ登り、大騒ぎになった。外務省から知らせがきていた。イサムがアメリカの農園主に引きとられるという。イサムは疲れて眠っていた。出発の時、写真の男に連れられて、黒白のハーフたちの汽車に乗りこんだあとで、イサムは急に不安になった。「おら、いくのやンだ」写真の男がイサムをおさえた。「姉ちゃーん、ばあちゃーん……」イサムは必死に泣きわめいた。キクもわあわあなきながら、汽車を追って夢中で走った。−−キクが子守していた赤ン坊が行方不明になる事件が起きた。友達に「売れ残り!」などとはやされ、夢中で組み打ちをしていた間にである。村中大騒ぎになった。キクが出発する芝居一座のオート三輪の上に置いたので、そのまま走って行ったことがわかった。子の母はタチの悪いいたずらと見た。ばあさんは思いあまって、村人たちの前で、キクをなぐった。「お前は、やっぱり尼寺サ行け……」考えあぐねた末のことばをしんみり言って聞かせた。キクはしょげた。−−夜明け。キクがいなかった。納屋の前に赤いくしが落ちてい、中にキクがポカンと立っていた。梁から縄をつるしたが、重くて切れたのだ。「キク……バカタレ……」ばあさんはキクにしがみついてたたいた。そして、キクはその時、大人になっていた−−。ばあさんは赤のご飯をキクのベントウにつめた。「お前をどこにもやんねえ。ばあさんと一緒にいてエつうなら一人前の百姓になれ」ばあさんはキクを上の小豆畑に連れて行った。登校する子供たちがからかっても、「年頃だからナおら。かまってやらねえじエもう……」キクはそっくりかえって歩いていった。 昭和39年5月12日、第14回民政党大会で、現総裁の寺田政臣は、同党最大の派閥酒井和明を破り、総裁に就任した。この時、寺田は17億、酒井は20億を使った。数日後、星野官房長官の秘書・西尾が、金融王といわれる石原参吉の事務所を訪れ、二億円の借金を申し入れたが、石原は即座に断った。そして、石原は星野の周辺を部下と業界紙の政治新聞社長・古垣に調査させ始めた。政府資金95%、つまりほとんど国民の税金で賄っている電力会社財部総裁は、九州・福竜川ダム建設工事の入札を何かと世話になっている青山組に請負わせるべく画策していた。一方、竹田建設は星野に手を廻して、財部追い落しを企っていた。ある日、星野の秘書・松尾が、財部を訪れた。彼は寺田首相夫人の名刺を手渡した。それには「こんどの工事は、ぜひ竹田建設に」とあった。首相の意向でもあると言う。その夜、財部は古垣を相手にヤケ酒を飲んだ。古垣は財部の隙を見て、首相夫人の名刺をカメラにおさめた。昭和39年8月25日、財部は任期を一カ月前にして、総裁を辞任した。彼の手許には、竹田建設から7000万円の退職金が届けられていた。新総裁には寺田首相とは同郷の松尾が就任し、工事入札は、計画通り竹田建設が落札し、5億の金が政治献金という名目で星野の手に渡された。そんな時、石原は星野へ会見を申し込んだ。すでに星野の行動全てが石原メモの中に綿密に記されていた。この会見で、星野は石原に危険を感じた。数日後、西尾秘書官は名刺の一件で、首相夫人に問責され、その西尾は自宅の団地屋上から謎の墜落死を遂げた。警察は自殺と発表した。昭和39年10月6日、寺田首相が脳腫瘍で倒れ、後継首班に酒井和明が任命された。ある日石原はマッチ・ポンプと仇名される神谷代議士に呼び出された。神谷は、福竜川ダム工事の一件を、決算委員会で暴露するといきまいた。石原は神谷に賭けることにした。昭和40年2月23日、決算委員会が開かれた。参考人として出席した松尾電力会社総裁らは神谷の追及にノラリクラリと答え、財部前総裁は、古垣と会ったこと、名刺の一件を全て否定した。一部始終をテレビで見ていた石原は、古垣に首相夫人の名刺の写真と、石原がこの汚職のカギを握っていること、を古垣の新聞に載せるように言った。彼は星野らが自分を逮捕するであろうことを予測したのだ。派手に新聞に書きたてれば、よもや彼らも自分と心中はすまいと睨んだのだった。だが、その夜、古垣は、義弟・欣二郎に殺され、何者かに古垣の原稿と名刺写真のネガを持ち去られてしまった。翌朝の新聞には「三角関係のもつれ」とあった。石原参吉がついに逮捕された。「数億の脱税王」などと新聞記事は大見出しをつけていた。民政党本部幹事長室で、斎藤幹事長は、神谷代議士に2000万円渡し、三カ月ほど外遊するように、との党の意向を伝えた。翌日の決算委員会に、すでに神谷の姿は無かった……。昭和40年3月21日、死去した寺田前総理の民政党葬が行なわれ、酒井総裁が、厳粛な表情で故・寺田を讃える弔辞を読んでいた。



危険な斜面 2012年(平成24年)フジTV ★★★  北のカナリアたち 2012年(平成24年)★★★
出演:渡部篤郎 長谷川京子 溝端淳平 主演:吉永小百合 満島ひかり 宮崎あおい   
あらすじ あらすじ

秋場文作(渡部篤郎)は西島電機の一社員、郊外の工場勤務で、出世とはほど遠い生活を送っていた。新年のある日、「西島電機HD新春全体会議」に出席した秋場は、会社のトップ西島会長(中村敦夫)に出会う。西島会長はグループ全ての実権を握っているワンマン会長だ。その側に寄り添う美しい女性…秘書室長であり会長の愛人でもある野関利江(長谷川京子)に秋場は気付く。視線が絡み合う二人…秋場と利江はかつての恋人同士。11年ぶりの再会だった…。 秋場には妻子があったが、利江との再会後二人の関係は一瞬で燃え上がる。時を経てさらに美しさを増した利江にひかれる一方、秋場の心にはこれまで抑えてきた出世欲が湧きあがっていた。“利江を利用すれば、会長に近付けるかもしれない”と…。そして利江も“秋場にはもっと力がある”と信じていた。利江からの情報で秋場は徐々に会長の信頼を得ていく。そんな秋場を見て喜ぶ利江。そして利江は次第に秋場の愛を独り占めしたくなっていく…。「妊娠している、一緒になってほしい」と秋場に告げる利江。その瞬間出世欲にかられた秋場の心中に殺意が芽生える。
 利江には秋場と出会う前にもう一人恋人がいた。飲料会社のサービススタッフ沼田仁一(溝端淳平)だ。西島会長と付き合いながら、若い沼田とも付き合っていた利江だが、秋場と再会してからは沼田とは距離を置いていた。そんなある日、利江が突然失踪する。そして数ヶ月後、京都市郊外の山中から白骨化した利江の遺体が見つかる。捜査が難航する中、独自に犯人を突き止めようとする男がいた。沼田だ。彼はある一つの手掛かりを頼りに、利江を殺害した犯人を追いつめる…。

夫・川島行夫(柴田恭兵)と共に北海道の離島にやってきた小学校教師、はる(吉永小百合)が受け持つことになったのは6人の生徒たち、鈴木信人(小笠原弘晃)、戸田真奈美(渡辺真帆)、生島直樹(相良飛鷹)、安藤結花(飯田汐音)、藤本七重(佐藤純美音)、松田勇(菊池銀河)だった。彼らの歌の才能に気付いたはるは、合唱を通してその心を明るく照らしていく。「先生が来るまで学校がつまらなかった」とこぼしていた子供たちの顔にも笑顔が溢れるようになり、大自然に響き渡るその歌声は島の人々の心も優しく包み込んでいった。そんな時、担当した事件が原因で心に傷を抱えた警察官・阿部(仲村トオル)が島へやってくる。人知れず悩みを持っていたはるは、陰のある阿部と自分を重ねるかのように心動かされていく。ある夏の日、生徒たちと行ったバーベキューで、悲しい事故が一同を襲う。子供たちは心に深い傷を負い、はるは心配する父(里見浩太朗)を一人置いて、追われるように島を出ることになる。だが、島を離れた後も心に残るのは6人の生徒たちのことだった……。20年後、東京で図書館司書として暮らすはるに生徒の一人が起こした事件の知らせが届く。その真相を知るため、はるは6人の生徒たち(森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平)との再会を心に決め、北へ向かう。久しぶりに再会した彼らの口から語られるのは、20年間言えずにいた想いだった。それぞれが抱えていた後悔が大きな傷となり、今も心に残っていることを知ったはる。そして自身もまた、心に閉じ込めていた想いを6人に明かすのだった……。



 奇跡 2011年(平成23年) ★★★  鬼龍院花子の生涯 1982年(昭和57年) ★★★
監督:是枝裕和 出演:前田航基 前田旺志郎    主演:仲代達矢 岩下志麻 夏目雅子    
あらすじ あらすじ
九州新幹線が全線開業の朝、博多から南下する“つばめ”と、鹿児島から北上する“さくら”、二つの新幹線の一番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起きて願いが叶う……。そんな噂を耳にした小学6年生の大迫航一(前田航基)は、離れて暮らす4年生の弟・木南龍之介(前田旺志郎)と共に奇跡を起こし、家族4人の絆を取り戻したいと願う。二人の両親は離婚し、航一は母・のぞみ(大塚寧々)と祖父・周吉(橋爪功)、祖母・秀子(樹木希林)と鹿児島で、龍之介は父・健次(オダギリジョー)と福岡で暮らしているのだ。兄弟は、友達や両親、周りの大人たちを巻き込んで、壮大で無謀な計画を立て始める。そしてその計画は、様々な人々に奇跡を起こしていくのだった……。






大正十年、松恵は土佐の大親分・鬼龍院政五郎の養女となった。松恵は政五郎の身の回りの世話を命じられたが、鬼龍院家では主屋には正妻の歌が住み、向い家には妾の牡丹と笑若が囲われており、その向い家に政五郎が出向く日を妾二人に伝えるのも幼い松恵の役割りだった。ある日、政五郎は女や子分たちを連れ土佐名物の闘犬を見に行った。そこで漁師の兼松と赤岡の顔役・末長の間で悶着がおき、政五郎の仲介でその場はおさまったが、末長は兼松の持ち犬を殺すという卑劣な手段に出た。怒った政五郎は赤岡に出むいたが、末長は姿を隠していた。帰りぎわ、政五郎は末長の女房・秋尾の料亭からつるという娘を掠奪した。この確執に、大財閥の須田が仲裁に入り一応の決着はついたが、以来、政五郎と末長は事あるごとに対立することになる。これが機縁となってつるは政五郎の妾となり、鬼篭院の女たちと対立しながら翌年、女児を産んだ。花子と名付けられ、政五郎はその子を溺愛した。勉強を続けていた松恵は、女学校に入学した。昭和九年、土佐電鉄はストライキの嵐にみまわれ、筆頭株主である須田の命を受けた政五郎はスト潰しに出かけた。そこで政五郎はストを支援に来ていた高校教師の田辺恭介と知り合い意気投合、須田から絶縁されるハメに陥った。だが政五郎は意気軒昂、田辺を十六歳になった花子の婿にし一家を継がせようとしたが、獄中に面接に行かされた小学校の先生となっていた松恵と田辺はお互いに愛し合うようになっていた。やがて出所した田辺は政五郎に松恵との結婚を申し出、怒った政五郎は田辺の小指を斬り落とさせた。そして数日後、政五郎に挑みかかられた松恵は死を決して抵抗、転勤を申し出、鬼龍院家を出た。十六歳になった花子と神戸・山根組との縁談が整い、その宴の席で歌が倒れた。腸チフスだった。松恵の必死の看病も虚しく歌は死んだ。松恵は再び家を出、大阪で労働運動に身を投じている田辺と一緒に生活するようになった。だが、花子の婚約者がヤクザ同士の喧嘩で殺されたのを機に、田辺と共に鬼龍院家に戻った。南京陥落の提灯行列がにぎわう夜、花子が末長に拉致され、これを救おうとした田辺も殺された。政五郎が末長に殴り込みをかけたのはその夜のうちだった。それから二年後、政五郎は獄中で死んだ。そして数年後、松恵がやっと消息を知り大阪のうらぶれた娼家に花子を訪ねた時、花子も帰らぬ人となっていた。



  2013年(平成25年) ★★★  球形の荒野 1978年(昭和53年) フジTV ★★★★
 出演: 役所広司 大泉洋 佐藤浩市 妻夫木聡       主演: 栗原小巻 村井国夫 滝沢修    
あらすじ あらすじ
天正10年(1582年)。本能寺の変で、一代の英雄・織田信長(篠井英介)が明智光秀(浅野和之)に討たれた。跡を継ぐのは誰か……。後見に名乗りをあげたのは、筆頭家老・柴田勝家(役所広司)と後の豊臣秀吉・羽柴秀吉(大泉洋)であった。勝家は、武勇に秀で聡明で勇敢な信長の三男・信孝(坂東巳之助)を、秀吉は、信長の次男で大うつけ者と噂される信雄(妻夫木聡)を、それぞれ信長の後継者として推す。勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市様(鈴木京香)は、最愛の息子を死なせた秀吉への恨みから勝家に肩入れ。一方、秀吉は、軍師・黒田官兵衛(寺島進)の策で、信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方に付け、秀吉の妻・寧(中谷美紀)の内助の功もあり、家臣たちの心を掴んでいくのだった。そんな中、織田家の跡継ぎ問題と領地配分を議題に“清須会議”が開かれる。会議に出席したのは、勝家、秀吉に加え、勝家の盟友で参謀的存在の丹波長秀(小日向文世)、立場を曖昧にして強い方に付こうと画策する池田恒興(佐藤浩市)の4人。様々な駆け引きの中で繰り広げられる一進一退の頭脳戦。騙し騙され、取り巻く全ての人々の思惑が猛烈に絡み合っていく……。

昭和36年のこと、奈良の唐招提寺を訪ねた芦村節子は、その芳名帳に、大戦中に外交官であった亡き叔父・野上顕一郎に相似した筆跡を発見する。名前は違っていたが、懐かしさを覚えた節子は、夫の亮一や野上未亡人・孝子にこの件を話す。彼らは野上顕一郎の死亡は確認されているとして取り合わなかったが、孝子の娘・久美子のボーイフレンドである添田彰一は、野上顕一郎の死亡前後の事情を調べてみようと試みる。しかし、当時の関係者は一様に冷淡な反応を示し、村尾課長は「ウィンストン・チャーチルに訊け」との謎めいた言葉で添田を煙に巻く。ところが間もなく、当時の公使館関係者の一人が、世田谷で絞殺死体となり発見された。さらに、野上久美子の行く場所で、拳銃狙撃などの怪事件が相次ぐ。久美子も添田も、一連の事件に見えない糸が張りめぐらされているのを感じていた。やがて、終戦間際の公使館に端を発する悲劇が、徐々にその貌を現わしていく。




君に届け 2010年(平成22年) ★★★   ★★★
 出演:多部未華子 三浦春馬 蓮佛美沙子        主演:
あらすじ あらすじ
高校1年生の黒沼爽子(多部未華子)は、見た目が暗く何もしていないのに周りから怖れられ、“貞子”というあだ名まで付けられている。しかし、その見た目とは裏腹に、実はとても健気で善意のかたまりのような女の子であった。ただ、周囲のことを第一に考えすぎるため、自分のことをうまく伝えることが出来ず、“貞子”としてクラスからは浮いた存在だった。一方、爽子のクラスメイト風早翔太(三浦春馬)は、明るく誰に対しても分け隔てなく接する男の子。爽子に対しても皆と同じように明るくフレンドリーに接してくれるので、爽子は憧れと尊敬の念を抱いていた。風早はいつも人知れずクラスのために働いたり、本当はとても前向きな爽子に特別な感情を抱いているのだが、爽子の尊敬の眼差しにしばらくは恋愛感情を温かく見守ることを誓う。そんな中、爽子は少しずつクラスにも打ち解けるようになり、義理人情に厚く涙もろい吉田千鶴(蓮佛美沙子)や、沈着冷静な矢野あやね(夏菜)と仲良くなっていく。そんな友人たちに、爽子は初めて自分の気持ちを話せるようになり、心の中にある風早に対しての“特別な気持ち”に気付き始めるのだった。だが、風早を中学時代から知る胡桃沢梅(桐谷美玲)が爽子の前に現れ、風早への想いを告白、爽子に協力して欲しいと告げる……。
    
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